2016/10/17

火の中の栗を拾う特集、WD「インターネット広告の費用対効果」

マイナビ発行のWD12月号は、世の中を騒がしているネット広告特集。
ストーリーは編集部が広告掲載するところから、わからないことに躓きつつ専門家に話を聞いていくというスタイル。
良いんじゃないか。

でも、不正事件にかかわった会社が誰も出てこない安心感はあるのだが、その社員の多くが持っていた資格取得団体などの記事があったりして、当事者だけ出てなきゃいい感じになると、業界全体で抱えている根深いネット広告の闇が怖い。

特集はSNS系の広告掲載になっている。
読者はプロか準じる人たちなんで、違いは分かっているだろう。
リスティング広告をメインにするところから、編集で内容差替えとかしたんじゃないかなと、タイトル見ながら思ったんだが、それは読み手次第かな。
インタビュー相手がオプト、ソールドアウトなので、そう感じただけだけど。他意はない。

最初はネット広告の概論があって、その後にSNS系の広告媒体紹介になっている。親切。
ここに書いてあることを、広告会社のみんながやっているのかと思うと、コスト合うんだろうかと思ってしまうのは俺だけか。
広告主側と制作会社側にも、同等の知識と経験があるならショートカットもあるだろうけど、どこかで分からない人が出てきたり、教えなければならなくなると、無理っぽい。
この特集に書かれていることを、引っかかりなく読み流せる人って少ないと思うんだよね。
WDって広告専門誌じゃないのに・・・。

さて、相手を絞って掲載されるってことは、大きなメリットと致命的なデメリットがある。
大きなメリットは、訴求メッセージが対象に合わせたものにできること。
致命的なのは、対象を誤解したりメッセージを誤ると、逆効果になる。
そして、試行錯誤とかPDCA回しているうちに、焼き尽くしてしまう。
AIが運用する前に、ネット広告自体が破たんしていないことを祈るばかりの今日この頃。

2016/10/12

コンテンツ化する広告へ!?

広告がブロックされてしまう時代に、広告主の姿勢はどう変わるべきか | AdverTimes(アドタイ)
https://www.advertimes.com/20161011/article236054/

今回は広告ブロックからの、生活者からスルーされているネット広告の話。
広告主様のお話なので、首を縦に振る次第。

いやいや、広告主が媒体を選ぶというステップを入れてくれれば、結構改善するんですよ。
CTRだけじゃなくて、ほら、なんか、あるでしょ。
ネット媒体はたくさんあるけど、アドネットワークでぶん回すだけじゃなくて、最低限のフィルターを通すとか。

2016/10/08

ネット広告業界で怖いと思う人

つまんない奴だなぁ、と思ったことが重なった一方で、
本当に怖いなぁ、敵にしたくないなぁと思う人がいらっしゃったので、
書き留めておこう。

・偉くなっても、ちゃんと対応してくれる人。
・どう見ても立場が上なのに、腰の低い人。
・圧倒的な実力があるのに、ごり押ししない人。

この逆パターンは最悪なんだけどね。
・役職が上になると、急に尊大になる人、滑稽。
・会社の規模で、相手を見下したりする、アホ。
・自分本位で、横車押してくる、バカ。

別軸では、受け入れるしかない人もいる。
・興味がなくなると、音信不通になる自由人。
・最初は中心で盛り上がっているけど、気が付く後ろで煽っている人。
・火を点けといて、すぐ逃げる人。
・気が付くと、何処でもいる人。

どうにも掴めない人もいるよね。
・どんな意思決定もしない人。
・自分の事を話さない人。
・空想交じりのオリエンする人。
実害が大きいのが、空想オリエン。
会社の方針とか部署の会議で決まったことや上司の意見、指示と、
自分がやりたいことや感想をごっちゃにして話す人が相手だと、
何が決定事項で修正されたのか、目的すら分からなくなることが多い。
すべて作り直しになったり、惨憺たる結果しか生まない。
相手の同僚や上司に裏取りして進めたりすると、空想オリエン担当はブチ切れるんだよね。
次の異動で、大抵はいなくなってたからいいんだけど。

それから、個人的なあるあるなんだけど、
・業績好調
・優秀な人材
を上場してもいない社長が触れ回り始めるとヤバイ。
実際は行き詰っている場合が多いように思う。
次の一手が無かったり、狙った事業が育っていなかったり、思うように進まない時だよね。
なるだけ、生温い目で見守ることにしているが、こういうのに引っかかると火傷する。

2016/10/05

広告もレビューも、根っこは同じ

アマゾン、報酬付きレビューの取り締まりを強化
http://japan.cnet.com/news/service/35090039/

アマゾンの電子書籍で不正に利益--「キャットフィッシング」詐欺の実態
http://japan.cnet.com/news/commentary/35089790/

最初の記事は、報酬付きレビューを排除するという話。
まぁ、口コミでも問題になったが、その評価が何らかの影響を受ける可能性があるなら、ちゃんと記載しなきゃダメだよってことだったんだが、もう全部ダメにして排除したほうが早いことになったようだ。

最初の記事のリンクにキャットフィッシングがあったので、これもピックアップ。
この仕組みがクラウドを使って個人で行われたらしい。
これにAI使ったら、なんだか怖いことになりそうである。

「食べログ」標準検索に「広告優先」と明記 - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1610/04/news071.html

例の炎上した件であるが、広告優先という明示がされたそうだ。

広告なのかレビューなのかコンテンツとしては違ったものだが、報酬を得られる行為を第三者に関係ない者です・・・という感じでだましているのが問題である。
広告といったら効果が落ちるとか、それは広告に対する背信行為である。
広告は広告として、堂々と明示して掲載すればいいのである。ぷんぷん。

2016/09/28

広告が生活者に敵視される理由

思わず記事を読んでしまう徳力さんの切り口。
社長を辞めてCMOに就任した方ならではである。

超アウェーな現状を受け止めたうえでの「広告の未来」とは? | AdverTimes(アドタイ)
http://www.advertimes.com/20160927/article234919/

基本、同意である。
同じ内容を15年くらい前に書籍に書いたけど、「マス・プロダクション=マス広告=スーパー」という大量消費に向けたプロセスを整えた高度成長期、認識は同じ。

後段は徳力さんと、一か所ちょいと認識が違う。
顧客の趣味趣向が多様化している以上、1種類で日本全国1億人に感動される商品やサービスの開発が難しいのと同様、1つのテレビCMで日本全国1億人の賛同を得ることは非常に難しい行為なわけです。
「分衆」という言葉が定着したころ(1990年代)に、同様の話が出てたと記憶してる。(※ググったところ、博報堂生活研究所が1985年に定義しているそうだ)
まぁ、その頃は下っ端社員なので、いろんな意味で分かってなかったんだけど、「広告が届かないよね~」という話は毎日してて、クライアントの担当者とともに頭抱えてた。
つまり、インターネットの登場は、潜在的なものを加速的に顕在化させただけだと思っている。

しかし、具体的にはどうしたらいいものか、悩ましい課題だ・・・。


ウナギを美少女化したら炎上した動画

志布志市、“うなぎ擬人化”PR動画を配信停止 「性的差別」など批判受け - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1609/26/news113.html

エロくて犯罪助長する差別的な内容だからダメとのこと。
少女が「養って」というところからダメ出しのようで、恐ろしい事態が連想される方がたくさんいらっしゃるようである。
ペットボトルを「ぬるっ」と掴めないところもダメだとのことで、いったい何を連想されたんだろう。

もう、動画は削除されて確認することができない。

2016/09/23

ネット広告で不正請求、あの電通が!? からの過労死問題

日本国内のデジタル広告サービスにおける不適切業務の発生につい
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0923-009050.html

電通のプレスリリースに直リンク。
報道は、シルバーウィークの谷間だが、続々と挙がっている。

電通、ネット広告で過大請求 4年で最大2億円か 午後4時から会見し説明 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/economy/news/160923/ecn1609230016-n1.html

電通、ネット広告で不適切取引 過大請求の可能性:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASJ9R4R83J9RULFA01S.html

電通、2億円過大請求 ネット広告に冷や水も  :日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ23HPH_T20C16A9000000/

電通、ネット広告で過剰請求など「不適切な業務」 広告主111社・約2億3000万円 - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1609/23/news107.html

どれも、発表通りの内容。
電通のリリースを読んだ方が早い感じなので、冒頭に直リンクを持ってきた次第。

気になる箇所があるんだが、順にリリースから引用する。

当社および国内グループ会社の一部が国内で行った運用型をはじめとする広告主向けのデジタル広告サービスにおいて、複数の不適切業務が行われていた事実が判明いたしました。
これは、電通本体とネット広告関連子会社という解釈で良いらしい。
「運用型をはじめとする」という表現から、物事の発端は「運用型広告」なんだけど、業務の関連性から他の広告やサービスまで芋蔓式に不正があったらしいとも読める。
故意または人為的なミスに基づく広告掲載期間のずれ、未掲出、運用状況や実績に関する虚偽の報告が含まれており
「故意」って言語道断なのだが、「人為的なミス」というのは気になる。
理由として「広告掲載期間のずれ、未掲出、運用状況や実績に関する虚偽の報告」が挙げられているのだが、
実態とは異なる請求書が作成されて、過剰な請求が行われる結果
これを逆から読んで解釈すると、基幹システムへの登録が面倒なんで在版流用にして定期請求にしてたら多くなったんじゃないかと推測する。
これは旧来の広告会社なら同じことがあり得るわけで、今後の展開が怖すぎる。

当該調査は、具体的には、請求データなど実態の把握と不適切業務が発生した原因の解明に必要とされるデータが保存されている2012年11月以降のデジタル広告サービス全般を対象
過去四年分しか遡れませんよって話だが、媒体社側のデータやら含めて検証するだけでも膨大な件数と金額で、死にたくなる。
問題は、法的には適正な書類や資料の保管がされていても、事態の経緯を調査するに足りるデータとは何か、どのくらいの期間の保管が必要かは、議論されていないと波乗りペンギンは認識している。
業界的にも法律的にもだ。
ちょうどいい機会なので、広告業界団体だけでなく、関連団体も含めてガイドラインの作成を始めてみたらどうだろうか。
少なくとも、「広告主側」「制作会社側」「広告会社側」「媒体社側」「配信会社側」という立場のが話し合う必要があるはず。
保管するデータの種類や定義、フォーマットは共通化しておかないと、重複したりゴミを貯めるだけになるしコストも嵩む。最適化しましょうよ。
(合意形成は課題かな、もはや声が掛かる立場にはないが。)

追記

電通、不適切な広告取引で謝罪 | AdverTimes(アドタイ)
http://www.advertimes.com/20160923/article234779/

関わった子会社名が記載されている。
なんか、詳細や経緯については別の情報もある。
有料記事なんで中身を読めていないけど、記者会見の全文書き起こしとか。
でも、偉い人の話だと丸まるのが世の常。

追記

登録しないと読めない記事を読んできた。
つまり、引用とかリンクは貼れないので感想だけ。

とりあえず、重要な順番に対応いうことて、実際の架空請求は300万円が記者会見時の見積もり。
掲載期間ずれや金額調整を含めると2億越えという話だが、全文書き起こしらしいので前後の文言とか語尾も正しいとすれば、結構正直に話しちゃってる気がした。

以上が感想。
以下はソーシャルとかの反応を見つつ追記。

ネット広告業界にいらっしゃる方々もクローズドであっても慎重な物言いが多い。
まぁ、不正に関与した会社名を見たら知り合いなんて沢山いるだろうし、当事者もいるだろう。
もし、これが電通特有の問題ではなかった場合、明日は我が身である。

さて、違った視点で分析。
人材不足が原因というが「運用型広告」に関する人材教育はどうだったんでしょう。

かかわったグループ会社はDAサーチ&リンクとサイバー・コミュニケーションズ、旧ネクステッジ電通(現在は電通デジタル)。
ということで、
cciはリクルートページを確認。全社員向けの研修を見る。
流石である。新人や中途採用も含め電通の研修もあって充実ぶりが凄い。
が、選抜型にある「WEB解析士研修」があるけど、役立っていないのか?

DAサーチ&リンクの差異を確認。研修のページを見る。
cciとは違って、運用型広告に特化した細かい指導内容が売りのようだ。
これだけ一人一人に手厚く育成を行っていたとしたら、何が足りなかったのかが分からないほどだ。

次はネクステッジ電通なのだが、衣替えして「電通デジタル」。
採用ページはあるものの研修内容はない。
本文中には「各領域のプロフェショナルがそろっています。」とあるので、数は揃っていなかったと解釈すべきだろうか。

と、関係した子会社を見るに研修は文字通りなら、かなり充実しているはずだ。
もはや電通本体には人材が残らないかと思うくらい新会社(電通デジタル)にいるんじゃないのだろうか。
そうすると、運用スキルには問題がなくて人員不足だったのか、運用以外の部分で人材不足だったのかだろう。
自動化ツールもたくさんあるが、運用型広告はPDCAが肝であるため、常に改善のために設定変更しての分析という実務(これこそが運用のハズ)は人手が必要だ。
AIはレポート分析やアドバイス機能で活躍し始めの段階で、システム間の連携も一部が自動化されている程度だ。
グーグルだけなら問題ないんだけど、それでもタグの管理は面倒である。
自動化といっても、対象となるデータや設定について、すべてを知っている人は多くないはずである。( 調べてもわからない、理解できないことも多い。 )

1万クリックを消化するために、どのくらいの期間と費用が必要だろうか。
キャンペーンの期間や月跨ぎ、期跨ぎの請求処理はどうしたらいいのか。
そのための契約や確認作業フローは、どうあれば良いのか。
この予算はブランド別なのか全社なのか、何処まで確認されているだろうか。
ネットワーク型広告配信の場合は、掲載サイトを指定することができるのか。

うむ、いろいろみんな知っておくことが必要な知識は少なくない・・・。

経営側が知らないというか分からない事は、現場業務が日進月歩のインターネット広告じゃなくても、マス広告だってある。某地方局のテレビスポット間引き問題とか、波乗りペンギンと同じ年代なら覚えているだろう。
今回の騒動と共通点があるなと、メディア担当の役員になるぐらいだから、たぶん、脳裏をよぎったはずだ。うっかり検索したら、違う記事がリストアップされたんだが・・・。

追記

電通の女性新入社員自殺、労災と認定 残業月105時間:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASJB767D9JB7ULFA032.html

この業界にいれば、残念なことに珍しくない事象である。
毎月、120時間を超える残業などやった日にゃ、若かりし波乗りペンギンですら数か月でダウンした。もう、うん十年前の話だが・・・。

さて、リンク先は新聞社なので半年でリンクは切れる。
引用しつつ、話を進めよう。
今回の舞台は
インターネット広告を担当するデジタル・アカウント部に配属された。
そうです。不祥事が起きたネット広告部署です。
記事でも言及されています。
電通は先月、インターネット広告業務で不正な取引があり、広告主に代金の過大請求を繰り返していたと発表した。担当部署が恒常的な人手不足に陥っていたと説明し、「現場を理解して人員配置すべきだった」として経営に責任があるとしていた。高橋さんが所属していたのも、ネット広告業務を扱う部署だった。
東京新聞:電通新入社員自殺 繰り返された悲劇 長時間労働是正、道半ば:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016101002000122.html

別の新聞の記事を見ると、
高橋さんが書き込んでいた会員交流サイト(SNS)では、上司からパワハラとも取れる発言を受けていたことも明かしている。
という記載があり、単なる超過残業による過労自殺ではない可能性も示唆している。

電通新入社員:「体も心もズタズタ」…クリスマスに命絶つ - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161008/k00/00m/040/117000c
「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」などと上司からパワハラ発言を繰り返されていた様子も書かれていたという。
パワハラなのか?確かに、締め切りまでに業務が仕上がらなくて追い込まれた若手には、死刑宣告にも似た気持ちになるかもしれない。
頑張って良い大学入って、電通に入社したのにね。報われない気持ちに苛まれたのだろうか。

毎日新聞の記事にはSNSのつぶやきが表にまとめられている。
女子力のなさをいぢられて凹んだようだ。

ネット広告だからというわけじゃないが、何か荒んでいたんだろうか。

合掌。

追記

電通社員過労自殺 厚労相「地方の子会社も調査」 | NHKニュース   http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161018/k10010733541000.html

立ち入り調査が子会社に入り、二人目の過労死認定が報道されて、不正請求から労働問題へと話は変わっている。
どちらもコインの裏表なのだと思うが、そういう論調は少ない。

いったん整理すると、
・社員を管理するには業務理解が必要
・イレギュラーは営業がコントロール
・急激に拡大しすぎた人事の歪
・業界のルールを関係者間で調整
という部分に課題があるわけで、残業時間を減らして効率化するなんて絵に描いた餅だ。

いまだ広告はマス広告が中心の会社と、デジタル専門では社員の知識や経験が段違いなので、管理する側は研修教育が必要なんだけど、既に老化し始めているので覚えられない。
波乗りペンギンですらGAIQに四苦八苦でクリアできていないのに、尚更だろう。
的確な業務指示や改善指導ができないよ。

もちろん、オーダーは広告主や営業から来るわけだが、防波堤というか緩衝役は営業の仕事のはずだ。内勤に負荷が掛かって死なないように調整しなければだめなんだけど、どれだけ大変なのかが分からないからという事だろう。
現場で無理って言ったら、上司同士で殴り合うくらいはしてもらわないとね。

それもこれも、人間関係があっての調整になるので、中途や異動で寄せ集められた上に、子会社や関係会社の出向者が入り乱れると、カオスでしかない。
大人の決着を社内ですらできなくなるはずだ。
同期や出身大学とか、横つながりの調整は期待できない。

かといって、業界ルールは用語統一すらできていないので、絶望的なレベルである。
いや、作っている間にプロセスは変わるし、市場が無くなっているんだけどね。
しかも、マス広告と違って24h/365dでPDCA回しちゃうから、人力限界は突破してしまう。
秒速の広告枠取引は、ターゲットを焼き尽くすだけでなく、人も殺すんだ。
けどね、だから辞めるって選択肢を選べっていうのは違うと思うんだ。
そうならないように、設計し直さないとならないんだ。

追記

話の矛先を「無理難題を言う広告主」にしているコラムも散見されるが、これを根本的な原因とするとネット広告の扱いはしない方向になりそう。(だから、デジタル部門を分社化して切り離したのか)
そもそも、マス広告だって「広告」には変わりがないのだが、インターネット上で行われることで知識と経験不作から来る人材不足に陥っているだけじゃないか。
その原因は各広告会社の黎明期にいた人材を保持しなかった自身の失策である。

続いて育成ではなく中途、出向、契約社員などによる一時的な補強策が事態を悪化させたのではとみている。
スピードが格段に速いネット広告で、一定の市場シェアを確保するには仕方ないという話もあるが、そもそもネット専業が生まれる以前から手掛けていたはずなので、人材は居たわけだ。
兼務も含めて業界全体でネット広告担当は、1990年代は100名もいなかった(媒体説明会の参加者とか名刺交換の実体験値)時に、大手は二桁ほどの人員を擁していたのだ。
まぁ、当時の皆さんも転職やら独立、部署異動して残っている人は一割程度だ。

モバイル広告やら運用型広告、Web解析やらと知っておくべきことは増えたにしても、黎明期からの積み上げが使えないってのは、魂のない仕事・・・作業しか引き継がれないと思うよ。

広告主側に「残業できないので、納期は遅れてもいいですか。」なんて、言えるわけがない。
それを工夫してナンボという切り返しをされてしまうだけだし、現場はさらに闇深いところへ追いやられるだけだろう。
システム連携よりも、人的連携を。

「IT化・メディアの多様化で業務量激増」 電通社員の過労自殺受け、広告労協が声明 - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/01/news085.html

追記

加藤さんのインタビュー記事。

電通不正が暴露した“悪しき体質” 「費用対効果ブラックボックス」 ネット広告の革命児が語る業界の真相(withnews) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161104-00000002-withnews-sci&p=1

実務的な問題として、加藤さんが指摘しているのは
「管理画面を見せていなかった。理由はそれだけです。うちは必ず見せます。だから、急に数字が落ちれば『何があったんだ』と思って企業側も連絡してきます」
これ、見せてなかったのか、見せなかったのか、という二択なら簡単なんだけど「見なかった」場合も想像できるが、真実は如何に。
広告管理画面は見る側に一定の知識がないと分からないし、指摘する事すらかなわない。
広告主側が要求しない限り見せないだろうし、そのためのレポート(エビデンス)だったろう。
確かに、通販だと販売とデータが直結しているので、売り上げの変化で察知ができる。
ほぼリアルタイムで注文されるから、流通に乗っけて月締めでしか把握できない企業とは比較できないだろう。

追記

長時間労働、異例の立件へ 電通を強制捜査  :日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07HFO_X01C16A1EA2000/

もはや生贄として確定感が強いが、こんなことやっても何も解決しないわけで、インタビューに応じてた電通社員なる人の「外的影響力で改革を期待」なんて、なんか仕込みなのか?
残業しないで帰る社員だけになったら生産性が落ちるどころの騒ぎではない。
別の抜け道を作ってでも、その売り上げを守るために闇深くなるだけだろう。
戦後の気概は社員から無くなったとはいえ、腐っても鯛なんだ。
放さないよ・・・、いろんな意味で。

上層部こそ「意識改革を」…電通社員冷ややか : 読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/national/20161108-OYT1T50015.html

なんつーか、インタビューは「広報を通してください」とか言わないのね。
答えちゃうんだ・・・という、自由な感じが電通だな。
ただ、地域電通で深夜残業しまくりなのは多くないはずだし、本社だって一部の社員だけのはずだ。業務配分とは言うものの、能力がある人に仕事は集中するので、無理があるかなぁ。
今回の新入社員については、別の問題だと思う(行政がどう判断するのかな)。
作業は分配できるんだけど、仕事は分配できない
分配できるはずの作業を傾斜負担で分散させられなかったこととは、労務管理の問題だろう。

追記

「電通鬼十則」、社員手帳からも削除へ
http://www.yomiuri.co.jp/national/20161117-OYT1T50108.html

単なる言葉狩りになってしまい、根本的な解決がなされない危惧がある。
そもそも、鬼十則なんて暗唱できないだろう。
どちらかというと、就職とか電通のことを調べているときに、歴史の一ページとして出てくるに過ぎない気がしている。経験的に、本社内や100%子会社や関係者との飲み会でも、出たのは、裏十則だった・・・。気がする。
50歳を超えた波乗りペンギンですら、こんな調子だ。
鬼十則の削除は象徴的で分かりやすいけど、ほんとうにそれでいいのか。

すくなくとも、「死んでも放すな・・・」という一節がニュースで問題だとされているが、死んだら死後硬直で掴んだままという事はあるかもしれないが、目的完遂はできない。
目的完遂が主であって、死んでも放すなが従である。
目的を果たせるなら、放しちゃっても構わないと解釈してたよ。
先輩からは、「仕事の代わりはいくらでもいる、だが、お前の代わりはいない。」って自分と家族を大切するように説教された。
恵まれていたんだろうな。

企業文化という点では、上場の前後辺りから、電通はおかしくなったと思っている。
失くしてはいけない人たちと想いを捨てちゃったんじゃないかな。

追記

紺屋の白袴。
炎上は鎮火せずに年末となった。
組織が大きくなると機械的というかシステマチックな対応になるんだが、こいつは厄介だ。
何がどのように大変だったか、上層部はたぶん理解できていないだろう。
もはや、退社時間を早めるなどの一律的な方法では、現場が潰される。
売上が落ちるだけでなく、荒んでくる。
申請とか承認とか、社内ルールとシステム化は、原因を取り除いた後でないと意味がない。

欠陥商品は広告できないだろ。いや、しちゃいかんのだ、我々の矜持として。

追記

ということで、人事も動き始めたようだ。

【人事】電通(2017年1月1日、1月4日、2月1日付) | AdverTimes(アドタイ)
https://www.advertimes.com/20161219/article240919/

半年前は、電通本社から電通デジタルに異動していたはずだが、今回は数人戻っている。
出向者がローテーション、または定期的な異動で一部が動いたのかもしれない。

しかし、現実問題として作業軽減による労務環境の改善は難しいはずだ。
特に運用型広告は、前提をひっくり返さないと、作業を簡略化したりシステム化するだけでは追いつかないからだ。

ところが、掲載レポートの簡略化による広告掲載の負担軽減策は、グーグルと解析大好きな方々によって崩壊してしまった。せっかく、当時の最大手ポータルと歩調を合わせてガラケー広告で切り込んだのに・・・。

何を言っているか分からない?だろうね。
そもそも論ではあるが、広告の効果検証は有償で広告主の発注により、行うものだ。
広告の買い付けと掲載までが役務だったんだが、ネットによってデジタルだとデータが出てくるものだから、効果検証となる解析まで広告会社の役務になってしまった。
もちろん、利益に含まれていないわけだし、そこまで考えたビジネスモデルでもない。
破綻するわけだ。

また、不正問題に関しても、モニタリングや視聴率に関して、広告会社や媒体社が出資した会社がやっているというのも変だと思う。グーグルみたいに広告媒体として事業してる会社が解析ツールを提供しているのも、同じ観点からすれば変な話だ。
この点について、誰も触れないよね。

追記

あけましておめでとうございます。
広告業界新聞に電通の名刺広告も社長インタビューもないという異常事態だが、社長の引責辞任が発表されたので仕方ないか。
年明け、パラパラと落ちてくる情報も悲しいものがある様子。
年頭所感にもあるダイバーシティは、去っていった方々に対してではないかと思いつつ。


追記

まだ、追及は終わらないという事です。な、何したんだ電通・・・。

電通「社長1人の引責辞任で済まない」…厚労相 : 読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/national/20170106-OYT1T50055.html

昨年末で決着したかと思ったんだけど、少なくとも2016年度内は終わらない模様。
これって、ビジネス的にも大きな打撃になるんだが、社員が捜査の対応で過労死するなんて本末転倒な事態を危惧している。

追記

不正請求について記者会見があったそうだ。

電通がデジタル広告の不適切業務で会見、「業務を統括する経営の問題」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/092302776/

過労死の書類送検で、JRAに続き地方自治体も対応。

書類送検の電通 滋賀県が入札参加停止へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170118/k10010843821000.html

金額の多寡は別として、この指名停止で何が起きるのだろうか。

追記

バタバタしてしまってニュースに追いつけていないが、人事異動を見なおしてテレビ局出身者がデジタルのトップを電通は占めているのを改めて知る。
出身媒体の派閥はないという話だが、炎上している現在では火の中の栗。
しかし、ここで拾い切らないと分社した電通側にボディーブローのように効いてくる気がする。
懸念は、電通一社にとどまらずネット広告全体に影響が出る事態だろうか。
頑張ってほしい。

一方で、がっさり複数社をまとめて作った会社が、うまくマネジメントされた例を多く知らない。
トップが頻繁に変わり、管理職も少なからず異動している。
どうやって立て直すのだろうか。
いい意味での企業文化という武器を使えない状況と見ている。
しかも600名という大所帯だ。
いくら優秀な人間がいるといっても、マーケティングの知識と経験の差は大きいだろう。
資金を投入して業務のシステム化だけでも、相当困難な気がしている。
責任分界点とか・・・、調整というか社内政治も入るし。
割り切れなかったり、イレギュラー処理が増えたり、分社した故の問題もあるだろうし。

追記

年度末も差し迫ってきたが、広告業界も第二の電通とならないためなのか、動きが出てきている。いや、関係ないと思っていたんだが、籍を置いている会社から「働き方改革」のお知らせ。
ビックリしたぜ、永遠のお暇を言い付けられたかと思ったよ・・・。
とりま、年次付与される分の有給消化をしろとのことだ。
うーん、うーん、目標達成のためには連続だと一ヶ月、小分けしても月に二回のペースで有給取得しないといけないんだよね。
日々の業務が大変になる気がするけど、ほとんどの中小企業は残業規制も有給消化もできない中で、俺休むわ~帰るわ~って取引先に言ったら、「仕事できないのに何言ってんだよ!」と思われそう。
結構、ルーティン業務は削って効率化してるけど、ほとんどがイレギュラー対応に時間割かれているんだよね。新しいことだったり、前例がない事は調整と相談の積み重ねになる。これを変えるってことは、権限委譲による調整・承認先の工程を削減するとか、構造を改革しなきゃダメだよね。

あれ、俺いらないんじゃないか・・・。

追記

電通デジタル、トランスコスモスと業務提携 戦略から実行までトータルサポートする新会社設立:MarkeZine(マーケジン)
http://markezine.jp/article/detail/27090

これを見て、あぁ、外出しに舵を切ったなと思った。
つまり、電通本体からネット広告を電通デジタルという子会社にして切り離し、電通デジタルからトラコスに問題となった運用型広告を外注するってことじゃないか。
電通グループ内のマーケティング手法を結集・高度化した“人”基点の統合フレームワーク「People Driven Marketing」(ピープル・ドリブン・マーケティング)を活用
この一節の解釈にも拠るんだろうけど、昔からあるフレームワークに名前とデジタル要素が変更された以外に、違いを感じられない。
取って付けた感が拭えない。なんだ、この違和感は・・・ということ。

さて、人的リソース不足は回避したかのように思えるが、社員の運用負荷が減っただけで、プロセス改善は今後の課題だとリリースから想像している。
いや、一番の問題は社員のデジタルリテラシーが低い点にある。
業務はデジタルとアナログとに分断されている状況は、PDMフレームワークを提唱しなきゃならない社内事情が透けて見えるからだ。
プロセスを変えるのはシステム(ソフトウェア)だけじゃなくて、人のシステムを変えなきゃならない。この人的な改革が難しいというか、解決できないでいる企業の方が圧倒的に多いんじゃないかな。広告主も、媒体社も、制作会社も。