2022/02/24

電通 日本の広告費2021、インターネット広告費は2兆7,052億円、前年比121.4%でマス4媒体を抜く。

 ども、通常のタイミングで発表されました「日本の広告費2021」です。
今回は、ネット広告がマス4媒体をまとめても市場規模が大きくなったという触れ込みです。

電通のニュースリリースはこちら

そして、ネット広告費の中に「マス4媒体」が分類されるという演出方法が生きてます。
素晴らしい配慮です。
そして、対象プラットフォームはアマゾンと楽天とY!ショッピングで良いのか不明な「物販系ECプラットフォーム広告費」が不気味です。

■コロナ禍は色濃く

今回の推計もコロナウィルス感染対策の影響が出ている。
オリンピックという大イベントでマス媒体やプロモーションは「ググッ」と伸びたはずなのに、炎上も相まって低調な感じ。

全体ではコロナ禍前が、6兆9,381億円(2019年)で昨年が6兆7,998億円(2021年)なので、戻りきってはいない。
構造変化が2020年から一気に来ているので、数字的には戻っても中身は別物になっている。

■電通報の解説

「2021年 日本の広告費」解説-広告市場は大きく回復。インターネット広告費がマスコミ四媒体の総計を初めて上回る

以上

○蛇足

広告分類が変わっていてるので、遡って比較するのが難しくなってしまっている。
気が付かずに使うと痛いよ・・・。あ、業界関係者も注意してね。
推計範囲の拡大もあったことも忘れないように。


2022/02/15

2021年10-12期の広告会社四半期または2021年度決算

 〇サイバーエージェント 決算説明会資料

売上高 878億円 前年同期比+14.7%

営業利益 57億円 営業利益率 6.5% 前年同期比+0.7%


「営業利益率6.5% AIやDXへの先行投資を継続」ということで、広告事業の利益率は過去を見ても低くなっている。NTTコミュニケーションズ、ヤマダ電機、サツドラHDと事業提携も布石として進んでいる。仕込みは早くしておかないと、既存の広告商材が失速してからでは間に合わないので、さすがである。どっかの子会社には見習ってほしい。


〇博報堂DYホールディングス 2022 3月期年連結決算概要説明資料

売上高 9,117億円 前年同期+1336億円 前年同期比+17.2%

売上総利益 1,992億円 前年同期+352億円 前年同期比+21.5%

「国内ではインターネットメディアが引き続き強い伸びとなっている」ということで、2,169億円(+26.1%)とグッと伸長している。同時に発表されたソウルドアウトの買収など、事業強化も進んでいる。
「計画の前提となる経済/広告市場の見方に大きな変動が生じたため、中期経営計画の数値目標は取り下げ」ということで、先行きは不透明感が強い。
半導体不足による自動車、精密機器への影響が怖い。このまま減産や工場の操業停止となると、広告活動もなくなることから、悪影響は必至である。

〇デジタルホールディングス 2021年通期決算説明会資料

売上高は761億円 前年度比-0.1%
営業利益32億円 前年度比+88.8%

広告事業からDX事業への転換で、業績的にも利益が増えているようだ。
ソウルドアウトも売却するので、いろいろ加速するんじゃないだろうか。
課題となってるDXけの事業転換だが、社内の人材育成はどうなっているのか資料から読み取れない。商材はうれているようだが、広告主名がわかる導入事例は一件だけである。
せめて、3件は出すものだと思うが・・・。


〇アドウェイズ 決算説明資料

国内売上高 115億円 前年同期比+17.0%
うち、スマホ 76,91億円、PCとモバイルWeb 38.19億円

海外売上高 52億円 前年同期比+37.6%
営業利益(国内+海外) 5.07億円 前年同期比+13.7%

「博報堂DYグループとの協業案件の増加」ということで、回復。販管費(採用・教育)が増加している。会社としては、どうなっていくのか見守り期間かな。


〇電通グループ 2021年度決算説明会資料

国内事業
売上総利益 4,159億円 前年同期比+19.2%
営業利益 953億円 前年同期比+52.0%
※本社ビル売却益1,189億円を除く。

国内インターネット 10-12四半期
売上高 862億円 前年同期比 +23%

こちらもネット広告が伸長したのと、テレビ広告の復活でプラスに戻った。
バックオフィスをまとめるために「電通コーポレートワン設立によるコーポレート基盤の高度化&効率化」と、事業部門の再編とは別の動きもある。
P9「2021年度 電通ジャパンネットワーク 業績」にあるCT&T(カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー)構成比をどう見たらいいんだろう・・・。

以上

2021/11/03

2021年7-9期の広告会社四半期または2021年度決算

 緊急事態宣言も終わって、感染者数が激減するも理由は不明という不気味な今日この頃。

○サイバーエージェント 決算説明資料

通期売上高: 6,664億円 YonY 39.3%増
通期営業利益: 1,043億円 YonY 3.1倍

ウマ娘で激増の営業利益、主軸の広告事業も増収増益だ。

通期 広告事業 売上高: 3,213億円 YonY 19.3%増
通期 広告事業 営業利益: 225億円 YonY 7.1%増

で、P13にある利益率の推移補見ると、7.0%に下がっている。
売上は増えているので、利益額も増えているんだけど、2018年8.7%から1.7%落ちている。
ネット系なので利益率は15%以下になるのは仕方ないのだが、良い商売とは言い難い状況になっている。
ということで、P17の拡大施策ということだろう。どっかの会社も、こういった手の打ち方は参考にした方が良いんじゃないか。

連結売上高 4Q 1,797億円 (YonY 48.7%増)
連結営業利益 4Q 268億円 (YonY 400.4%増)

四半期で見ても、ウマ娘で跳ねてしまっているので、数字としては参考にならない感じ。
これ見ると、ヒットしたコンテンツの収益力が恐ろしい。

○セプテーニホールディングス 2021年9月期 第4四半期(通期)決算説明会資料

こちらは、電通グループの増資後(52%)に子会社になる。
電通Gでの立ち位置というか、役割がどうなるのか気になる。電通デジタルとか、カルタホールディングスとか、電通テックとか、似た役割と機能があるからねぇ。

以下、決算短信より抜粋
売上高 976億円  前年比27.6%
営業利益 36,5億円 前年比60.5%

決算説明会資料のP8にあるとおり、電通からの取扱いが太くなっている。
また、クリエイティブの外注費が増えているようなので、制作部隊を抱えて内製化するという方向もあるだろう。ということで、電通ダイレクトに制作機能はあるのか?
P32には、ダイレクトマーケティング領域に出ていくようなので、ここが役割ということになるのかな。


2022年1月にグループ再編だそうで、HDが直接子会社を監督する組織になる。
運用型テレビCMのテレシーは、順調なようだ。ナショクラも積極的に利用するようになると世界が変わりそう。スポットを打ちまくる大型キャンペーンとか、ちよっと、今後は想像できないんだけどね・・・。
あとは、コンシューマー事業で1,000万人規模の媒体が欲しいところ。

売上高   :58.3億円(前年比+12%)
売上総利益 :52.1億円(前年比+14%)
営業利益  :  6.1億円(前年比+4%)
EBITDA   :  9.6億円(前年比+25%)

〇博報堂DYホールディングス 2022年3月期上期決算説明資料

グループ全体では復調して、コロナ前を上回る。
「計画の前提となる経済/広告市場の見方に大きな変動が生じたため、中期経営計画の数値目標は取り下げ」なので、第六波を考えると手放しで喜べる状況でもない。
HDなので細かいことは書かれていないが、デジタル事業に関して1Pだけというのも寂しい。
あと、アドウェイズにHDYHDからも資本を入れるとのこと。HDYMPと合わせて議決権ベース15.42%になるそうだ。

2022年3月期第2四半期 全体 P16より抜粋
売上高 3,344億円  前年同期比 +22.5%
売上総利益 884億円  前年同期比 +35.9%
営業利益 161億円  前年同期比 +1053.1%

 地域別業績(日本:投資事業除き) P19より抜粋
売上高 2,912億円  前年同期比 +19.0%
売上総利益 678億円 前年同期比 +30.2%
営業利益 196億円 前年同期比 +170.6%

〇電通グループ 第3四半期 説明会資料

山本さんが退任し、五十嵐さんへ社長をバトンタッチするとのこと。
電通コーポレートワンを設立し、パックオフィス系を一元化。
「通期の業績予想を上方修正。2019年度比で、売上総利益はプラス、調整後営業利益は20%以上成長の見込み。」ということで、好調。

全体 第3四半期
売上高 13,227億円 前年同期比 +29.8
売上総利益 2,558億円 前年同期比 +32.5

電通 日本国内
売上総利益 1,165億円 前年同期比 +51.6

電通 日本国内 第3四半期
インターネット売上高 735億円 前年同期比 +35.6

以上




2021/07/30

2021年4-6期の広告会社四半期または2021年度決算

 東京五輪は開催されたけど、緊急事態宣言下の東京。コロナ感染は拡大と日本代表の活躍で、悲喜こもごもの日々。

○サイバーエージェント 四半期決算資料

もう、ウマ娘でフィーバー状態。

売上高: 1,922億円 YonY 70.3%増
営業利益: 445億円 YonY 5.4倍

広告事業だけ見ても伸びている。売上で前年同期比3割アップ。
P16で売上推移をみると、コロナ前の水準を上回っての過去最高とのこと。すごい。
ただし、P18の営業利益をみると、利益率が6.4%と低下している。
効率が悪くなっていそうだが、P20でのAI自動化で運用広告は労力をかけなくて済むようにしそうだ。

売上高: 818億円 YonY 27.3%増
営業利益: 52億円 YonY 9.7%増

人員も新卒が入って約6千名。大企業だ。

[連結役職員数] 6月末 5,958名 (4月に新入社員300名入社)

気になるのは、メディア事業かな。AbemaはDL数は伸びても、売上と利用者数が伸びていない。媒体力は何人が見ているか(アプリを使っているか)が大事だが、細分化されているネット世界だと、集客力のあるコンテンツを自前で用意するのは大変だ。

○セプテーニ・ホールディングス 決算説明資料

2021年9月期第3四半期
収益 159億円 前年同期比 23.1%
営業利益 32億円 前年同期比 153.1%

デジタルマーケティング事業、つまりネット広告は

収益は14,036百万円(前年同四半期比23.9%増)、Non-GAAP営業利益は5,348百万円(前年同四半期比52.6%増)

かなり伸長している。だが、P15見ると営業利益率はガクッと落ちている。
前四半期が41.1%→30.8%と、低下している。しかし、コロナ前を上回る数字であり、実数で見ると復調したとみるべきか。もっとも、P17で電通からのテコ入れが効いているからだろう。

課題は、広告以外をどうするか・・・。

〇博報堂DYホールディングス 決算説明資料

売上高 3,236.8億円 前年同期比 +26.6% 前前年同期比-2.0%
売上総利益 750億円 前年同期比 +26.6% 前前年同期比+7.3%

と復活。コロナ前に戻った感じだ。
メディア別(P7)見るに、テレビが伸びてネットも伸びている。
リアル系の比率が高いはずなので、人出が戻ってきている感はある。
感染者は爆発的に増加しているけど・・・。(執筆時点の2021.8)

広告主業種は、情報通信が突出して伸びているが、テレワークや楽天参入に5Gと宣伝合戦になっているタイミングなので、しばらくは出稿量も落ちないはず。
とはいえ、メディアでは雑誌だけが落ち込んだままだね。

〇電通グループ 決算説明資料

売上高  12,270億円 前年同期比+31.6%
売上総利益  2,180億円 前年同期比+20.0%

日本だけで見る(P49)と、テレビとインターネットが二桁で伸びて回復。
なんか、五つの輪っかの影響が見える気がするメディア別は今一つな感じだ。
同じく日本の広告主の業種別を見る(P50)と、食品・飲料・嗜好品が最も大きく、次に情報・通信・マスメディア・ソフトウェアとなっている。
海外と比較(P51)すると、業種の伸び率が違っているので、日本と海外の経済回復の違いが見える気がする。(※国によって違うので、海外でまとめると、気のせいになる。)

〇カルタホールディングス 第2四半期決算資料

売上高 6,146億円  前年同期比+18.9%
営業利益 1,265億円 前年同期比 +73.5%

コロナ禍前より売り上げ利益とも上昇。(P8,P11)
広告事業系は好調だが、コンシューマー向けが厳しくなりつつある感じだ。
統合から二年が経ち、数字を見る限り上手くいったのではないだろうか。

これから、個人特定ができなくなる環境(2022年4月)に向けて、広告配信は先行きが見えない(P41)ので、広告以外の柱はやっぱり大事だと思われる。

〇デジタルシフトHD 第2四半期決算説明会資料

売上高 192億円 前年同期比 +7.4
営業利益 -5.97億円

デジタルシフト事業、つまりDXへ主軸を変えつつあり、四半期の営業利益はマイナスになったが、1Qで利益を出しているので問題はなさそう。(P16)
DXのプラットフォーマーになろうという理解で良いのかわからない(P21,P22)が、広告を配信するのか情報なりコンテンツを配信するのかって軸で言えば、同じなのかもしれない。
ただ、結局はシステムは自己増殖してくれないので、人が問題になってしまうんだよね・・・。

広告事業は一桁前半台の伸び率(P11)になっているが、地方が主軸のソウルドアウトは厳しかったんじゃないだろうか。コロナが収束しない限りは、今後も続くだろう。


以下、適宜追加。

2021/07/20

何故に。東京五輪はトラブル続きなのか・・・と、トヨタの判断。

 コロナ禍で一年延期からの叩かれまくりで東京五輪が開催される。
もはや、一週間前を切った状態で

小山田氏が音楽担当辞任 過去のいじめ発言、批判浴び―東京五輪〔五輪〕

時事通信の記事を選択したが、末文が効いている。同期時から抜粋すると、

大会の式典をめぐっては、クリエーティブディレクターの佐々木宏氏が出演候補者だった女性タレントの容姿を侮辱する演出案を出したことで批判され、3月に辞任している。

ちなみに、新国立競技場の設計問題やら、エンブレムの問題やら、どこぞの企業みたいにトラブル続きである。どうしてこうなった・・・。

一方で、読売新聞オンラインでは

五輪テレビCM、味の素は「流すかどうか未定」…最高位スポンサーのトヨタは見送り

スポンサーであるトヨタが、五輪用のCM放映を取りやめたという。
また、開催地である東京が、緊急事態宣言下であることからスポンサーの一部は参加を見合わせたとのこと。

リスク管理という点では、トヨタの判断は素早かった。
取るべきリスクを把握しているわけで、他のスポンサーは協賛費の元を取ろうというリスク管理になっている気がしているのだが、大丈夫だろうか。
調査時期にも因るが、概ね日本国民のうち、
開催に対してい否定的:開催はやむ無し、が拮抗している感じだ。

そもそも、広告ってヘイトを稼ぐためにするものではないからね。
確かに、表現的にはインパクトを与えるために突飛な演出で話題を作る手法もあったが、インターネットの登場によって、マイナスの感情が増幅され易い環境に変化したのだ。
(※生活者が発信力を持った一方で、企業側の情報発信力は相対的に低下したと思う。)

組織委員会が何とかしてよ、というのがスポンサー側の気持ちだろうけど、開催にネガティブなメディアや生活者が狙っている状況なので、今後とも神経を使うだろう。
現在のトレンドだと、生活者の購買体験をよくするといったCX視点を重視したマーケティング活動が増えているので、流れで判断する必要があると思う。


2021/06/11

アフィリエイト広告等に関する検討会の開催

 どうやら、アフィリエイトは提携販売ではなく、「成果報酬型の広告」としてfixされて規制対象になったようだ。

第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2021年6月10日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_003/024308.html

いわゆる法令違反のデパートともいえるアフィリエイト広告は、検討会の資料にも事例が上がっているような状態だ。
管理できない広告主にも、開き直っているアフィリエイターにも、相応の法的な処分が及ぶ方向

この先に、炎上動画で稼ぐユーチューバーとかタレントも、規制対象になるのだろうか。
ん?広告関係してないから飛躍してるって?

いやいや、広告収入はガッポリ入ってますやん。BANされない限り。

2021/06/07

YouTubeプレミアムのCMで広告はユーザに不都合な存在と訴求

 インターネットにおける広告はどうあるべきなのか?
環境が変わりつつある事象の一つです。
徳力さんが記事にしてます。

議論を呼ぶYouTubeプレミアムのテレビCMから考える、動画広告の未来

これをテレビでやると、広告会社とスポンサーが激おこ、になるのだが、ネット広告ではならない。もう、この時点で世界は変わっているということだ。
昔、トイレはCM中に、と発言したタレントとテレビ局が謝罪したなんて話もあった。

一方で、解決できない課題もクローズアップされてきた。
・「アドフラウド」「ビューアビリティ」「ブランドセーフティ」のアドベリフィケーション
・ユーザによる広告ブロック、嫌悪感の増大
・ネット広告によるウィルス感染(マルウェア)、犯罪への間接関与(資金供給)

いやいや、ネット広告じゃなくても課題だよって分かってらっしゃかる先達たちは、もう少なくなってしまったかな。

たとえると、課金したら広告がなくなるというのは、書店で販売されている雑誌や新聞だと広告がなくなるということだ。
テレビだと、国営は受信料、民法はCMが収入になっている。そして、ネットに通じる部分としては、受信料を徴収している(課金している)国営は広告は流さない。(過剰なほど、企業の宣伝になるところは消してましたが、現在は緩い気がする。有名なのは、山口百恵のプレイバックパート2の歌詞。)

で、購読料を取っていながら広告も載せている紙媒体ですが、どういう理屈で広告を掲載しているのか気になって調べた人はいるのかな。
今まで見たことないなぁ。(※波乗りペンギンは口頭で教えて貰ったことはあるが、その根拠となる文章とか記録は入手できなかった。)

ということで、購読料/視聴料/課金と広告の関係は媒体社の収入の問題でもあるが、編集/記事/編成と広告といった主権だったり、広報と広告といった分類だったり、曖昧としていたものの明確な境界線が求められていることでもあると思う。
たぶん、この議論ができる人は多くないんじゃないかな。
もっとも、生活者から見た場合は、「騙すな、嘘つくな、馬鹿にすんな」ということで片付けられることだろう。

2021/06/02

一般社団法人 デジタル広告品質認証機構

 時間を要した3団体によるJICDAQ設立。

サイトはこちら

広告主側のイベント記事なんかもある。

ネット広告の不正問題から身を守るには? デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)の設立の背景と狙い
https://webtan.impress.co.jp/e/2021/05/11/39623

問題は、アナログ媒体と違って目視確認できないインターネット広告の特性にあるのだが、根本的な解決策はない。

■自己申告でOK

媒体や配信会社は、第三者の検証が必要なレベルと自己申告の二階層になっている。(※細かくは海外認証があるので三階層)
広告主については、賛同を表明するだけである。

参照 https://www.jicdaq.or.jp/information.html

まぁ、やらないよりは、やった方が良いといった感じがする。

■厳しくすると、悪貨が良貨を駆逐する

実際問題、第三者が検証したものをホワイトリスト形式で管理し、広告主にも発注制限をかけるとなると、この枠組みに入ると共倒れになってしまうのだ。
そのため、確信犯的に登録しない事業者(ネットは海外との境がない)との競争で、負けないようにしておく必要がある。

プラットフォームをGAFAに取られてしまったので、これ以上の打ち手はないともいえる。

また、某国のようにネット回線を遮断できる政府であれば、法律で規制して強制的に海外との制限も可能なのだが、これができない。
下手に国内の規制をすると、海外から好き勝手されるだけになる。(あ、今と変わらないか・・・)

むむっ。

2021/05/31

2021年1-3期の広告会社四半期または2020年度決算

 ○博報堂DYHD 2021年3月期 決算説明会資料

昨年よりマシになったけど、ネット広告でプラスにならなかったのは残念なところだ。
ただ、資料は通期で第4四半期の数字がP19の補足資料までページ送りで面倒だ。

日本4Q 売上高 3,650.07億円
日本4Q 営業利益 825.44億円 

日本売上高 通期 11,431.03億円 対前年-158,287 、-12.2%
日本売上総利益 通期 2,465.39億円 対前年-14,332 、-5.5%

インターネットメディア
日本売上高 通期 2,470.68億円 対前年同期比 -7,497 、-2.9%
日本4Q 売上高 749.84億円 +7.0%

ネット系広告会社は二桁の成長になっていることを考えると、総合広告会社系は構造的に動けなかったところがありそうだ。 

P23以降に業種別の回復がグラフで見られるので、市場には追従していると思える。
ただ、コロナ禍によって各業種業態が変革をし始めているところもあり、また、変革ができずに低迷しているところもある。
三度目の緊急事態宣言からの延長、オリンピックで盛り上がらないとすると、今年も厳しい状況になりそう。

○電通グループ IR財務資料ページ

湿った雑巾なら、搾れるもんなんですよ。

日本4Q 売上高 4,487億円(前年同期4,976億円)
日本4Q 利上げ総利益1,073億円(前年同期1,037億円)

環境はHDYHDと変わらないのだが、ここは金融機関系も手掛けるISIDがあったりして、ちょっと有利かもしれない。
まだ、広告に多額の投資をするタイミングじゃない。また、基幹システムもクラウドなど低額なものにシフトしている様子。

○サイバーエージェント 第二四半期決算資料

なんでしょうね。コロナが追い風になっているという業績。

売上高: 1,634億円 YonY 26.6%増
営業利益: 258億円 YonY 2.1倍

大きな勝因は「スマホゲーム」で、ウマ娘。万馬券だったね。
広告事業も復調って、それも二桁かよ。(P19)
メディア事業の-34億もダメージにすらなっていない。(P35)
俺Tueeeeee、無双状態である。
しかし、「中長期で応援してもらえる企業を目指す」としているので、これも過程に過ぎないと・・・。
AbemaTVが黒字化したら、次は何を仕掛けるんでしょうね。
エイベックスの次ね。

○デジタルホールディングス 第一四半期決算資料

利益がイレギュラー。

売上高 35,785 +52.9%
営業利益 10,571 +2,133.7%

広告事業だけだと、
売上高 21,809 +1.8%
営業利益 1,209 +27.4%
と、利益が二桁伸び。
あの事件が響いたのだろうか・・・。
デジタルシフトに社名まで変えて挑んでいるので、広告事業はプライオリティが下がっているのかどうか不明だ。

金融投資で保有株を売却したそうで、
売上高 12,054 +8,312.3%
営業利益 10,107
これが、異常値の原因だね。

課題は、デジタルシフト事業が軌道に乗るのかどうか。
地道に社内から変えて、社外へと・・・という感じらしい。(個人の感想です)

○カルタホールディングス 第1四半期決算資料

統合は大変だよね。(P5)

売上高  6,483 +9.1%
営業利益 1,675 +32.6%

「ブランド広告もコロナ影響から回復し、大幅な増収増益」(P8)とあるが、これは一時的なものなのか継続的なものなのか、どっちだろうか。

あと、大化けしそうな事業があるんだろうか。
ネット広告業界で一定のシェアを維持するのであれば、二桁成長し続ける同業他社の開発投資に負けないようにしなければならないから。

○セプテーニHD 第2四半期決算説明会資料

電通から流入も増えてなにより。(P17)

収益 5,367  +20.8%
営業利益 1,039 +122.5%

やはり、広告事業が中心。(P7)
メディアプラットフォーム事業は赤字でも、カバーされてしまうのは幸いだったか。
新たな事業が望まれる。

2021/04/25

ハウスエージェンシーが増えるのか、広告業を定款に入れるのか

 普通、そんなことは妄想しない。
そんな妄想を毎日している波乗りペンギンです。

さて、引っかかったニュースが

【独自】三井住友FGと電通が広告新会社設立へ…銀行アプリに広告表示
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210420-OYT1T50082/

独自ってなんだよ・・・という突っ込みはさておき、広告会社というより媒体社なんじゃないかと、おじさんは思った次第。

銀行のハウスエージェンシー出身としては、今更、銀行が広告子会社を持っても目新しいことはない。
しかし、都市銀行が合併を繰り返していくなかで、グループ内利益の環流だったり天下り先の確保だったりという意味合いで、ハウスAgがデジタル対応できるかと言ったら、困難であったのかもしれない。

とすると、銀行に限らずデジタル化が進みDXとなっていくと、収益機会を増やすという意味でアプリやサイトに広告を出すというのも、手掛けやすい事業だと言える。
(※コカ・コーラパーク、サントリーのアド缶など似たアイデアは過去事例がある)

ただし、本業で収益が出なくなったという理由だけで、収入の多角化を図るというのは宜しくないと思う。
顧客側のメリットがないよね。
今回の銀行アプリに広告が出たり、広告メールが来るとしよう。
セキュリティ的に大丈夫なのか、ただでさえ偽メールでログイン無効とか釣りが多い中で、危険が増すと思われる。
金利も十分につかないし、いろいろ支払いを集中しても、多少ATM手数料が安くなるだけだ。取引がないと、口座維持費用も取られるようになる。
なんていうか、ゲームの課金ユーザみたいな扱いだよね。

それと、トラッキングができなくなる未来が近々やってくるので、本体でファーストパーティクッキーを使うことを考えたら、別会社にしない方が良いかもしれない。
許諾や管理含めて、収益に見合うのか・・・と疑問もある。
ATMに広告出すというのも、コロナ禍で滞在時間を減らさなきゃならないので、難しいはずだ。うん、店頭に来てもらっても困るしね。(店内のディスプレイ広告とか、手続きの待ち時間に見てもらうものは、視聴数も稼げない。)

2021/04/19

広告は必要か、常に心に留めておくべき問題

 コロナ禍で、すっかり事業環境が変化してしまったこの頃。
在宅勤務だと通勤がないのと業務パソコンがあるので、ついつい、忘れていたことを思い出したら仕事をしてしまえる。波乗りペンギンだけじゃないみたいだ。

さて、今回は良いコラムを見つけたのでピックアップ。

広告は必要か?ニュースが教えてくれた答え
https://www.advertimes.com/20210419/article347153/

ニュースを届けられるのは広告のおかげ、では終わらなかったところにある。

とはいえ、企業とユーザの良好な関係を築くプラットフォームは、難しいチャレンジだよね。
なかなか、成功しない。バランスをとれずに炎上したり崩壊したりだ。

どうしてなのかという話は書籍にも書いたんだけど、ユーザは受け手じゃなくなってしまったからだ。送り手でもあるのね。
だから、媒体側の送り手視点でモノを言っても、受け取ってもらえなくなってしまったし、下手すると反発されて炎上しちゃうんだよね。

広告会社の人なら媒体特性の分析とか、一覧表にして提案書の資料として使ってたと思うけど、「双方向性」という文言の深みを考えたことがある人は少ないよね。

2021/02/26

電通 日本の広告費2020年、コロナ禍でインターネット広告だけ成長+ネット広告詳細分析

コロナ禍で災害級の落ち込みを見せた広告業界が数字になった。
もっと下がっている気がしたんだが。

電通ニュースリリース 2020年 日本の広告費

全体は6兆1,594億円(前年比88.8%)と、インターネット広告の2兆2,290億円(前年比105.9%)がなければ、過去最悪だったと言える。

グラフもある電通報の解説はこちら。

「2020年 日本の広告費」解説──コロナ禍で9年ぶりのマイナス成長。下期は底堅く回復基調に

後半は復調しているという記載もあるが、2021年は年初から緊急事態宣言パート2が発出されているため、ちょい厳しい予測が頭を過るが、一年後の推計が出る時まで考えないようにする。

インターネット広告以外が一割以上落ち込んでいるが、理由は書かなくても分かるレベル。

一方で、ジワジワとネット化で追い詰められた媒体は、コロナ禍で一気に追い詰められた格好になった。生き残っていくには決断を遅らせれば、会社が無くなってしまうだろう。
ネット広告でも、格差はあるし海外勢に大半を持っていかれている(グーグルやフェースブックの市場占有率はないよね~)ので、広告会社も媒体社も辛い。

問題は、この後どうするかだ。

打ち手としては、コストカットに繋がる効率化なんだけど、パソコンとインターネットで置き換えるだけではカバーできない。10%とかじゃ焼け石に水なので、半分の人員で2倍の業務を処理するレベルが要求されるはず。
たぶん、新しく会社を作った方が早いと思える。

コンテンツを作る、コンテンツを売る、コンテンツを配信する、機能別に会社を作って集約するしかないかも。
現状のままではペイしないから、構造や流通を変える必要があるだろう。

■追記 2021.03.12

恒例のネット広告詳細分析が発表。

2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析

動画広告が前年比121.3%(3,862億円)と伸びたが、運用広告が広がっている点も大きい。
また、SNSへの出稿も拡大しているので、コロナ禍で動画SNSをしていたんだというユーザ動向も大きいだろう。

今後もこの傾向は続くものと思われる。
ただし、動画広告は強制視聴(コンテンツの前、途中)タイプと広告スペースには配信されて流れるだけのものがあって、効果/評価が難しい。
あと、媒体の売上構成比率とか欲しいよね。Youtube一択なんだろうが。

最後に、2021年の予測があって、

1兆8,912億円(前年比107.7%)

うむ、DXが促進されたら2兆円に行ける感じの予測。

2021/02/04

2020年10-12期の広告会社四半期、随時追加

 

○サイバーエージェント 2021年9月期 第1四半期決算説明会資料

全体では、
売上高: 1,310億円 YonY 13.3%増
営業利益: 70億円 YonY 8.7%減

広告事業は、
売上高: 765億円 YonY 13.8%増
営業利益: 57億円 YonY 0.8%増

コロナ禍による低迷期が明けた感じ。でも、広告事業の営業利益が伸びていない。
P16で営業利益率の推移をみると、金額的には伸びているので気にすることはなさそうだ。

なんとなく、あっさりした内容に感じる。
コロナ禍で熱量を上げた取り組みができないからであろうか、それとも何か仕込んでいるんだろうか。
このコロナ禍でも社員数は増えている。

P6 連結役職員数] 12月末 5,549名

すごいなあ。

○セプテーニホールディングス 2021年9月期 第1四半期決算説明会資料

収益は5,275百万円(前年同四半期比20.9%増)
営業利益は1,205百万円(前年同四半期比110.4%増)

電通の子会社になって大正解という構図(P14参照)。増収増益。
コロナ禍で在宅勤務により販管費が減少したとのこと。
「データ・ソリューション領域への拡張」(P15)ということで、DXの文脈で成長をしていくそうだ。
うーん、親会社もグループ子会社もDXだから、シナジーが出るのか食い合いになるのか、気になるところ。
マンガからアニメ化は厳しいと思われ、子会社設立か・・・。

○博報堂DYホールディングス 2021年3月期 第3四半期決算説明会資料(決算パート)

2021年 3月期 第3四半期(累計) 連結業績は、
                実績                対前年同期比
売上高         883,038     -185,176         -17.3%
営業利益     18,860         -18,832         -50.0%
経常利益     21,402         -18,401         -46.2%
(金額:百万円)            

国内は、
売上高             778,096     -174,620     -18.3%
売上総利益        163,994     -23,109     -12.4%
売上総利益率     21.1%     +1.4pt
営業利益         29,153        -15,432     -34.6%

というこでは、前四半期より回復はしているが、対前年同期比ではマイナスからは脱していない。
p23から業種別売上高と前年比が掲載されているのだが、コロナ禍で直接打撃を受けた観光から波紋のように影響が広がっているように思える。
広告しなくても売れる状況もあるし。

○カルタホールディングス 2020年12月期通期 決算説明資料

ということで、
四半期でみると、10-12月 売上 61.66億円 前年同期比 -6,8%と、引き摺っていることが分かる。
どこかの会社と同じようだが、電通と頑張るって戦略なので、もともとグループ内の整理統合と合理化でコスト効率を上げるにも限界があることが見えている。
かといって、これだけ大きくなった会社が喰っていけるだけの新規売上は、そうそうないんだよね。ページ数は多いけど、後半は会社統合の話だし。


P6にある前年同期比で      
売上高   11,961 +2,835 +31.1%
売上総利益  2,192 +512   +30.5%
販管費   1,795  +219  +13.9%
営業利益     396 +293   +282%
経常利益     438  +275  +168.9%
伸びている。一年前の赤字体質改善。
HDYMPの資本業務提携が効果的ということか。
好調の原因として「スマートフォン向け広告サービス「UNICORN」の機能学習が更に向上し、高い広告効果を得られることで認知度が高まり、広告主(クライアント)や当社以外の代理店からの広告費が増加した」という記述が第3四半期決算短信にある。
商材の準備があったという事実も大事だろう。


全体では、
売上総利益 (百万円)    835,042    -9.8%
調整後営業利益 (百万円)    123,979    -10.6%
という状態で、p6にエリアごとに記載がある。

電通国際情報サービス    37,472    12.2%
電通デジタル    25,102    15.6%
デジタル系は二ケタ台の成長ということで、コロナ禍でDXという大義が与えられたシステムが強いISIDは伸びている。電通デジタルもネット専業並みに伸びた。
立場的には、本体のDXが急務だろうか。P20から記載がある。ただ、今年も、五輪が・・・。

あと、P31の人材問題。コロナ禍による急速なデジタル化もあるが、資産であるはずの人脈を持った年齢高めを切り離してきたために、腹芸が使えない。
他の部分では新興企業の方が圧倒的に優位だからね。同じ土俵で戦うと、内外の軋轢で急減速するんじゃないかという危惧がある。

ちなみに、報道では「大赤字」という見出しになっていたが、海外進出に失敗して数倍の損失を出したことを知っているので気にしなかった。

2021/01/26

日本語でOK、説明会動画が増えて気になること

 ども、波乗りペンギンです。

緊急事態宣言二回目中だが、一回目から在宅基本の企業も増えた影響かオンラインセミナーが激増した。
お陰で、動画セミナーを視聴する機会も増えたのだが、気になることも増えてしまった。

まず、日本語が話せていない・・・。
リアル参加のセミナーでは気にならない事でも、動画で視聴していると何が言いたいのか不明なことがリプレイで確認できてしまう。

気にしていないのかわからないが、頭文字三文字、カタカナの略はハッキリ発音したりスライドで図示してくれないと、何の説明をしているのか混乱する。
SNSと言ってみたり、UGCと言ってみたり、統一した方が良い。
ソシャゲは会話ではいいけど、ビジネスセミナーではソーシャルゲームの方が良いと思う。

それと、言い間違いなのか読み間違いなのか誤用なのかわからないのが、
顕著化する・・・顕在化する、だよね。
ユーザーが流入したくなる・・・ユーザーがクライアントサイトを見たくなる、だよね。
みたいな、ケースかな。

こういう言葉遣いとか言いまわしって、広報担当者でも気にしない時代なのかプレスリリースでも散見されるので、昔気質の広報人が見たら卒倒しそうである。

それから、話す人はマイクを使おうね。

2020/11/25

2020年7-9期の広告会社四半期

コロナ禍は第三次感染拡大となって、感染しないように引きこもる日々。
医療関係者並びにインフラを支えるために動かざるを得ない皆さんに感謝。

さて、このコロナ禍で広告業界もダメージを受けた7-9月期は、どんな業績発表になっただろうか。

○電通 2020年度第3四半期連結決算概況

四半期は資料の後半(P18)になるが、4-6期より対前年比は改善している。
が、国内売上は悪化していたよ。
メディア別の売り上げ(P26)を見ても、制作が落ちているということはメディアも使い回しになって落ちていくわけで、新規キャンペーンが中止になったことが原因でないかと推測される。
また、ネット広告(P27)が前年でギリプラス。
業種別(P28)では官公庁に支えられている。

2020年度第3四半期ビジネスアップデート

東京五輪の開催が見えない中、内容的にはこれといったものがない。
DXは成長しているそうだが、具体的に何かは書かれていない。


四半期はP17の補足資料からだ。
P20で国内と海外の数字があるが、海外は数字が小さいので見なくていいだろう。国内がちょっと回復している。
メディア別(P21)だと、ネット広告も前年同期-10%。業種別(P22)を見ても、プラスはない。

気になったのは「2021年3月期業績予想について」P13の記述。
「景気や広告市場はコロナ禍から緩やかに回復に向かう前提(いわゆる第三波は到来しない)」
という部分。
執筆時点(11/25)で、GO TO事業の停止など、いわゆる第三波の到来が感じられる。

○サイバーエージェント 2020年通期決算発表 決算説明会資料(注ミドルページ)

7-9月は4Qなので、P47から見る。
P48を見ると、「[連結営業利益] 4Q 53億円(YonY 27.8%減)」とある。利益はちゃんと出しているのが、凄い。
ABEMA投資を続けて、コロナ禍で、それでも利益出すって・・・。

事業(P50)が「ネット広告」「ゲーム」「その他」でちょうど売上金額で3分割されてるんだよね。IT企業であって、広告会社じゃないということもあるだろう。
3本の矢は折れない。

○オプト改めデジタルホールディングス 2020年12月期第3四半期決算説明会資料

連結では増収増益。(保有株式売却等により増収増益 P12)
P9「2020年Q3 マーケティング事業概要」では、売上が前年同期比 -8.3%。
地方中小領域が-3.8%で踏みとどまっているのに注目。
月別の売上推移をグラフにしてあるのは親切。(P10)

投資事業が良かったのね。
P19の業績予想では、ネット広告が回復する見通しだそうだ。
P45「2020年Q3 マーケティング事業 大手領域」だが、数が減っているのだが、脱広告事業を考えると妥当なのだろう。
ちなみに、P33「デジタルホールディングスの目指すデジタルシフトとは」にある「デジタライゼーション」はイメージできるのだが、「デジタル トランスフォーメーション」が全く分からない。事業モデルのデジタル化(広告事業の場合)・・・って、Saasのサブスクリプション事業なのか?

○セプテーニ・ホールディングス 2020年9月期 第4四半期(通期)決算説明会資料

増収増益。
たぶん、P11とP23にある電通の資本が入ったことで、広告主が増えていることが大きいと想像。
あれ、本体の電通はネット広告落ちてたと思うけど・・・。
P50、漫画アプリが不調が続いている。
次の一手が急がれるところだろう。

○カルタホールディングス 第三四半期決算説明資料

P5にあるとおり、増収増益。
げっ、PDFなんだからテキストのコピーぐらいさせてくれよ。めんどくさい。
7-9月のコロナの売上高マイナスは3.5億円とある。(P15)
CPM低下が書かれているけど、ゲームするぐらいしかやることないかも。
お金無いし・・・。GO TO停止だし。

P30に電通の取扱高が鈍化したとある。
コロナの所為なのか・・・?セプ・・・。

2020/09/03

クリエイティブが弱すぎるネット広告

 なぜかというと、

ヤフー、「コンプレックスを露骨に表現した」広告禁止を改めて通知 「差別を助長する」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2009/03/news074.html

レスポンスを稼ぐためには、嫌悪感というインパクト勝負になっている。
これは、センシティブ広告だけではなく、他も同じ。

ブランド広告だと世界観とか言われるけど、実際のバナー広告とか世界がない。
アフィリエイトとか広告記事を騙るアウトな表現と内容ばかりではないか?

ABテストで量産されるバナーは費用対効果を考えるうえで大事ではあるが、その前の話が薄くなっているのではないだろうか。
何のために広告するのか、なぜこの画像やフォントやコピーなのか、ターゲットは正しいのかも分からずに作っているとしか思えない。
※だから、ちゃんと制作しているところに任せると費用対効果は改善されていくし、やってないところは一時的に好転しても必ず下がってしまう。

ノウハウを公開しているところの話を鵜呑みにしちゃだめだよ。
公開していないところにこそ、強さの秘密があるんだから。

2020/08/27

2020年4-6四半期決算 広告会社など

コロナ禍で社会環境が変わってしまった今日この頃ですが、感染しても症状がない人がいるため、イベントなどの人が集まる事業がメタメタにやられるし、高齢や基礎疾患のある人は重症化しやすいなど、日々の生活でリスクが大きくなった人も多いはず。

緊急事態宣言やオリンピックの延期など、経済に打撃が始まるのがこの4-6四半期からで、この後は二年近くが暗黒期になると思っているが、「危機感煽ってんじゃねぇよ」という声が後ろから飛んだりしてるが、振り返って言い返す時間はない。


項目            2020/4-6                2019/4-6    (百万円)
売上高         932,415 (26.2)     1,194,431 (1.7)
収益            206,344 (16.3)     252,737 +0.9
売上総利益     181,697 (17.9)     227,170 (0.4)
国内事業         74,544 (12.2)     103,715 +2.1
海外事業         107,337 (21.3)     123,210 (2.6)

世界的なコロナ禍に、為す術はない。
とかあるんですけど、「トランスフォーメーション」だらけ。
いろんな意味で、変えなきゃならないということだろう。
委託事業問題も加わって、大変である。


(百万円)    実績             対前年同期比
売上高         261,023         -71,950    -21.6%
営業利益             398         -6,556     -94.3%
経常利益          1,542         -6,340     -80.4%

世界的なコロナ禍に、為す術はない。
電通と違って、社会的な問題がない部分で負担がないはずだが・・・。

○サイバーエージェント 決算説明会資料

売上高: 1,128億円 YonY 0.7%減
営業利益: 82億円 YonY 12.3%減

なんと、微減に止めている。AbemaTVで-40億もあるのに。
好感が持てるのが、なんとかトランスフォーメーションがないところ。
一方で、AbemaTVのマネタイズはコロナ禍で影響を受けそう。
tiktokの日本事業を買収するとか、裏技が必要な気がする。

○オプトことデジタルホールディングス 2020年Q2決算説明会資料

売上高     41,327 百万円     前年同期比 (0.9) %
営業利益     (295) 百万円     前年同期比 (174) 百万円

こちらも、微減に止めている。
しかし、デジタルシフトが事業として先が見えない気がする。
また、ソウルドアウトの社員逮捕という問題がある。地方経済がコロナ禍で崩れているので、厳しいと思われる。
事業会社のデジタルシフト支援は、デジタルの知見だけあっても意味はなく、デジタル化される前の経験が重要になってくるわけで、そこは遡って経験できないために困難が付きまとう。言語化できない部分だが、まぁ、やってみればわかることだ。

○カルタホールディングス 決算説明資料

(百万円) 2019 2020 増減
売上           4,730 5,169 +9.3%
売総         4,197 4,477 +6.7%

なんと、プラスだ。
今後の業績予想では、減じていくようだが、何処まで落ち込むかだよね・・・。
また、第三者配信が広告ID規制により使えなくなる問題も今後あるわけで、どう切り抜けるかだよなぁ。より、厳しい事業環境になっている気がする。

○セプテーニ・ホールディングス 決算説明会資料

収益 4,124百万円 前年同期比-3.7%
売総 3,314百万円  前年同期比-7.7%

ぐっと踏みとどまった印象もあるが、電通のおかけです。
電通の下請け的な業務をこなそうとしているのだろうか。漫画や音楽はゲームは作品次第という賭け事と同じ世界だ。
あれと、カルタとセプテーニを合体すると事業バランスが取れると思うんだが、もはやサイバーには追い付けないか。なら、このまま朽ちていくのを受け入れるしかないよね。

後は、大手に吸収されていくか整理されてしまうと思われるる
ハウスエージェンシーは生き延びるので、そっちの方を模索した方がいいかも。時間はない。3年くらいかな。

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マスク作ったり、感染検知アプリを作り始めたときに、日本のDXは盛大にズッコケたね。
担当大臣、内閣参与は誰だったんでしょうか。一度、マスク配布の裏側をお聞きしたいです。

これで、2020年8月に総裁選の不出馬を安倍さんが言い出すだろーか。
この中身のない行政プロジェクト、誰が進めるんでしょうか。
民間企業に丸投げッという定番でしょうか。
あ、博報堂とかコンサル、大手ITベンダーも動きだしましたからね。
ちょっと面白くなってきたと思うわけです。

2020/07/22

医薬品医療機器等法違反だけでなく法令順守を

コロナウィルス感染者が、世界で、日本でも増え続けている7月中旬。本当なら東京オリンピックで、これから盛り上がった時期だったことすら忘れそうだ。

さて、ネット広告では「ちゃんと、広告配信されてるのか?」という問題に、広告主も取り組み始めたところだが、媒体によらず「広告の表現」や「法令順守」はあるわけで、目に余ると逮捕されるという記事を久々に見つけた。

ステラ漢方、KMウェブ、ソウルドアウト社員の薬機法違反逮捕、大阪府警「情報提供あった」
広告は広告主の責に帰すわけで、媒体にまで及ばないとされる。
また、広告会社や制作会社が逮捕されるなんて、普通は考えないだろう。
広告主の指示で制作したんだし~、というヤツだ。

記事にもあるが、「広告内容は誰が作ったのか」が問題で、広告主の指示で逆らえなかったかどうかになる。
アナログ系では起きにくい違法広告だが、ネットではセーフティ機能がない。
具体的には、「ベテラン」や「媒体社の広告審査」である。
この業界に長くいると、気を付けるべき業種や商品は、経験として蓄積される。
業界団体の研修で一通りは教えてくれるが、覚えている人は皆無だろう。
実務経験でしか身につかないこともある。
また、運用型広告は事前審査が行われるようになってきているが、アフィリエイトだと媒体が個人だったり法規制を知らなかったりと、緩いのも現実だ。
真面目に業界団体に加盟して、広告審査や法令研修を受けてるなんて、貴重な存在である。

健康増進法だったり、著作権法だったり、景表法、特商法・・・、etc。
Webサイトのデザイン盗用とか、画像の無断使用とか、違法行為って身近にあるのよ。
番組の違法アップロード、漫画村事件とか過去に問題となったことも、知識にないとダメだし。
広告掲載のガイドラインはあっても、それを運用できる機能と人材が揃うケースは多くない。また、人権問題は日々アップデートされるから大変だよ。

ということで、危機感を覚えた広告関係者は、所属する業界団体の研修に出て知識と事例を蓄積しよう。広告審査経験のある人を、確保しよう。
ちなみに、広告審査は経験者自体が少ないうえに、普段は表に出てこない。
採用する側も知識ないから判断は難しいだろうが、そこは先達者に相談すればいい。

さて、もう一つ大きな根深い問題だ。
グノシー子会社の株式会社 digwellが違法な広告を制作して、親会社のアドネットワークに流し込んでいた件だ。
報告書は固い文書で書かれているが、上辺だけという感じだ。
関係業界団体からの指導、改善に向けた協力を仰ぐべきだ。具体的に見える行動がほしい。
広告審査を厳しくすると業績が低迷するというなら、また、数字のプレッシャーで再発しかねないからだ。

2020/03/31

新型コロナウィルス対策にインターネット広告で貢献できないのか

東京五輪の延期、コロナによる春先以降のキャンペーンの中止や延期、在宅勤務による混乱、ネット広告業界も先が見えない状況なのは同じだ。
とはいえ、ネット広告系はダメージが少ない方だと思われる。何かできるんじゃないかと思っていて、目に留まった記事がこちら。
新型コロナウイルス Googleの闘い方
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/29/news010.html
広告の部分だけ記事から抜粋すると
世界保健機関(WHO)や世界中の政府が正しい関連情報を人々に届けられるようにするための広告助成金。これとは別に地域団体にも2000万ドルの広告助成金を提供済みです。
Googleに広告を出している中小企業向けのGoogle広告クレジット(無料で広告を出せる権)。過去1年間アクティブだった広告主であれば、年内に使えるクレジットがもらえるようになります。1広告主当たりいくらくらいになるのかまだ分かりませんが。
という二つがあります。お金を使うのは難しくても、工夫すればできる事があるんじゃないかとおもんだよね。

〇広告配信事業者

広告在庫があるはずなので、新型コロナウィルスに関するキーワードに、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症について」を見るバナーやテキストを配信する。
エリアターゲティングで各都道府県の「新型コロナウイルス感染症」ページにリンクを張る。
という事を検討してみては如何。

ただし、実行前に厚生労働省に相談すること、できれば同業者と相談すること、可能であれば業界団体を窓口とした方が、行政側の負担が減ると思う。
やりすぎると、厚生労働省のサーバがダウンするので。

〇広告主

すでに、事業では手を打っているなら、
自社サイトやSNSなど、「3密を避けましょう。」と数行書き加える事でも貢献できるはず。

〇広告会社

広告で培ったノウハウが使えるはずです。
伝わる表現方法、ターゲットの選定、デマや勘違いの拡散抑止につながるアイデアが出せるはず。
キーワードは、「乳酸菌」や「死滅」とか「ロックダウン」などデマになりそうな言葉に、「それ、デマじゃないですか?」という広告をぶつけるとか。
広告主や媒体社が悩んでいたら、惜しみない協力を。

・・・たとえば、そんなところです。

2020/02/28

2019年 日本の広告費、発表はあるのか?ありました。

前回は発表が後ろに倒れて、気を揉んだ「日本の広告費 2018」だが、今年はどうだろうか・・・。
って、今年も2月28日 金曜日 15時を過ぎたがサイトにリリースは( 電通ニュース )掲載されていない。
やはり、新型コロナウィルスによる在宅勤務の影響だろうか。

3月3日を過ぎ、3月4日となったが発表されていない。
データはできているはずだが、その後が進んでいないのか?また?

ちなみに、世界の広告費は予測ということで電通イージスが発表している。

■日本の広告費 2019(1-12通年推計)

やっと出ました。

電通リリース 2019年 日本の広告費
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0311-010027.html

冒頭部分から抜粋すると、
「日本の広告費」は急速に成長する広告市場を正確に把握するために、推定領域を随時拡張している。2019年(1~12月)の日本の総広告費は、新たに「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」と「イベント」領域を追加推定し、通年で6兆9,381億円。なお、前年同様の推定方法では6兆6,514億円(前年比101.9%)となり、8年連続のプラス成長だった。
今後のために、拡大推計を続けていくということだ。
つまり、推計部分の見直しは滅多になかったのだが、ネットの浸食によって拡大せざるを得ない環境変化になったということだろう。
統計って、推移変化を見るために、あんまり変えられると困るんだけど。

参考:電通報の解説はこちら

とりあえず、大まかなポイントを見ていこう。

電通のリリースから図表を拝借。
テレビ広告費をネット広告費が上回りました・・・ということです。

説明を読んでも分からないのだが、Yahoo!ショッピングや楽天、アマゾンなどの広告売上も入れたということだろう。具体的な広告商品が不明なんで、メディアの方は取材入れてほしいです。(参考 電通報)
テレビで言うところの通販番組が「EC物販」とするなら、イメージしやすいんだけどなぁ。

〇6兆円の内訳
マスコミ四媒体広告費 2兆6,094億円
インターネット広告費 2兆1,048億円
プロモーションメディア広告費 2兆2,239億円
なんか、よくある広告グループ企業みたいな感じだが、テレビ:ネット:イベントという感じ。

〇媒体別

これ見ると、ネットが伸びたという部分だけでなく、マス4媒体が勝手に下がったという感じを受ける。
新聞広告費 4,547億円(前年比95.0%)
雑誌広告費 1,675億円(前年比91.0%)
ラジオ広告費 1,260億円(前年比98.6%) 
テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連) 1兆8,612億円(前年比97.3%)
次にネットを見ると・・・
インターネット広告媒体費 1兆6,630億円(前年比114.8%)
「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」 1,064億円
 インターネット広告制作費 3,354億円(前年比107.9%)
媒体費で考えると、地上波とネットは同等の感じがしないでもない。
しかし、ネット広告費にはマスメディア由来成分があるという書き方は、苦しいというか辛いものを感じる。
マスコミ四媒体由来のデジタル広告費 715億円
(インターネット広告媒体費の一部、同122.9%)
・新聞デジタル 146億円(同110.6%)
・雑誌デジタル 405億円 (同120.2%)
・ラジオデジタル 10億円 (同125.0%)
・テレビメディアデジタル 154億円(同146.7%)
プロモーションは、
屋外広告 3,219億円(前年比100.6%)
交通広告 2,062億円(前年比101.8%)
折込 3,559億円(前年比91.0%)
DM(ダイレクト・メール) 3,642億円(前年比99.0%)
フリーペーパー・電話帳 2,110億円(前年比92.3%) 
POP 1,970億円(前年比98.5%) 
イベント・展示・映像ほか 5,677億円
オリンピックの影響で、設備が増えたり更新したりと、屋外広告は前年並み。
観光が増えたことによる影響は限定的と思うが、伸びた要因だろう。
小売店のデジタルシフトは進んでいないので、POPが低調なのも止む無しか。

■追記2020.03.18.

続いて、ネット広告の推計内訳が、発表。

D2C/CCI/電通/電通デジタルが共同でインターネット広告媒体費の詳細分析を実施
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0317-010029.html

ポイントは4つ挙げられている。
1.    ビデオ(動画)広告が前年比157.1%の3,184億円となり、大きく伸長
2.    運用型広告が全体の約80%を占め前年比115.2%と成長、予約型広告も前年比117.4%と2桁成長
3.    ソーシャル広告は4,899億円で、イン¬ターネット広告媒体費全体の約30%を占める
4.    2020年インターネット広告媒体費は、全体で1兆8,459億円(前年比111.0%)まで成長する見込み
で、取引手法の定義もしっかり書き出されている。ありがたい。
しかし、実は外資(GAFAや中国)の市場占有率が一番知りたかったりする。
動画広告が伸びているとかSNSが伸びているとか、それも大事なんだけど、その大半を持っていかれているよね~という現実を知るべきだと思うんだ。
google adsの営業を受けている(改善提案)中小広告主も多いはず。

2020年のインターネット広告媒体費は前年比111.0%、1兆8,459億円となり、近年と比較し成長率がやや緩やかになるものの、引き続き成長が続くと予測。

あと、2020年の市場予測がある。
新型コロナの影響をどう見るか、なんだけど。
プラス要素としては、引きこもり消費によるEC伸長、メディア接触の増加。
マイナス要素としては、インバウンドの落ち込み、感染規制による業績低下。
成長がどの程度「緩やか」になるか、なんだよね。

以上