― 総広告費は 2 年連続で増加、成長軌道へ
テレビスポット、屋外、交通、POP、展示イベントが好調 ―
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/pdf/2014014-0220.pdf
お待ちかね、媒体やネット系広告の人は、自社の取扱高の伸び率と比較して一喜一憂するシーズンの到来である。
早速、ネットのところだけピックアップすると、
・ インターネット広告費(媒体費+広告制作費)は 9,381 億円、前年比 108.1%。総額と比較すると伸びているのだが、これだとそれしか分からない。
・ インターネット広告媒体費は 7,203 億円、同 108.7%。併せて
・ インターネット広告制作費は 2,178 億円、同 106.2%。つまり、制作費が媒体費より伸びていないという事から、オウンドメディアに思ったほどカネが掛けられていないんじゃないかという懸念が出てくる。
・ インターネット広告媒体費のうちの運用型広告費は 4,122 億円、同 121.6%。運用型広告が121.6%と大幅に伸びて構成比を高めていることから、リスティングとネットワークでバナーをぶん回す広告が、その実は増えた正体と見える。
ならば、制作費は伸び止まっていて当然だし、媒体枠を売っていたところは急速に萎んでいることになる。
・ 広告プロモーション活動の活発化に伴い、案件数は増加。しかし、大型案件数の減尐や制作単価の下落が続いている。ぐわぁ・・・、Webプロダクションは辛いよ。
以下、単なる感想。
広告主にとっての不幸は、絞り込んだ対象を効率よく回していくという部分で新規や見込顧客の獲得が、より精度を持ったものでないと無駄金になる。特に対象の動機やタイミングがぴったり一致しないと、レスポンスはない。耐久消費財は辛いね。
広告会社は、売ったら終わりのスペースブローカーから、ひたすら効果効率を上げる日々の運用に追われる。本当に売れるようにするには、もっと他のところで発揮しなければならないリソースが喰われるはずだ。
媒体社はネットから収益を上げられない状態が酷くなるばかりで、コンテンツを生み出す資金や人員を確保できなくなる。アナログの利益があるうちは生きていられるだけとなりそう。
Webプロダクション、Web制作会社は効果効率の名のもとに、競争激化による疲弊。
クリエイティビティを評価される機会も少なくなってしまう。統計的に好ましいとされるサイトと生活者に期待を抱かせるブランドサイトは(誰にとって?)一致しないのだけど、「正しく」ターゲティングされていない広告からやってきたユーザが母数となるのだし・・・。
いや、もちろん悲観ばかりでもない。
ブランディングを目的に運用型広告の活用が拡大・浸透しつつある。本当に拡大するだけの希望があるのかという問題はさておき、「ブランド」という言葉が広告だけに留まらない領域だけに、創発が起きるかも。