2014/02/20

日本の広告費2013、伸びるには伸びた。

「2013 年 日本の広告費」は 5 兆 9,762 億円、前年比 101.4%
― 総広告費は 2 年連続で増加、成長軌道へ
テレビスポット、屋外、交通、POP、展示イベントが好調 ―
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/pdf/2014014-0220.pdf

お待ちかね、媒体やネット系広告の人は、自社の取扱高の伸び率と比較して一喜一憂するシーズンの到来である。
早速、ネットのところだけピックアップすると、

・ インターネット広告費(媒体費+広告制作費)は 9,381 億円、前年比 108.1%。
総額と比較すると伸びているのだが、これだとそれしか分からない。

・ インターネット広告媒体費は 7,203 億円、同 108.7%。
 併せて
・ インターネット広告制作費は 2,178 億円、同 106.2%。
つまり、制作費が媒体費より伸びていないという事から、オウンドメディアに思ったほどカネが掛けられていないんじゃないかという懸念が出てくる。
・ インターネット広告媒体費のうちの運用型広告費は 4,122 億円、同 121.6%。
運用型広告が121.6%と大幅に伸びて構成比を高めていることから、リスティングとネットワークでバナーをぶん回す広告が、その実は増えた正体と見える。
ならば、制作費は伸び止まっていて当然だし、媒体枠を売っていたところは急速に萎んでいることになる。
・ 広告プロモーション活動の活発化に伴い、案件数は増加。しかし、大型案件数の減尐や制作単価の下落が続いている。
ぐわぁ・・・、Webプロダクションは辛いよ。

以下、単なる感想。

広告主にとっての不幸は、絞り込んだ対象を効率よく回していくという部分で新規や見込顧客の獲得が、より精度を持ったものでないと無駄金になる。特に対象の動機やタイミングがぴったり一致しないと、レスポンスはない。耐久消費財は辛いね。

広告会社は、売ったら終わりのスペースブローカーから、ひたすら効果効率を上げる日々の運用に追われる。本当に売れるようにするには、もっと他のところで発揮しなければならないリソースが喰われるはずだ。

媒体社はネットから収益を上げられない状態が酷くなるばかりで、コンテンツを生み出す資金や人員を確保できなくなる。アナログの利益があるうちは生きていられるだけとなりそう。

Webプロダクション、Web制作会社は効果効率の名のもとに、競争激化による疲弊。
クリエイティビティを評価される機会も少なくなってしまう。統計的に好ましいとされるサイトと生活者に期待を抱かせるブランドサイトは(誰にとって?)一致しないのだけど、「正しく」ターゲティングされていない広告からやってきたユーザが母数となるのだし・・・。

いや、もちろん悲観ばかりでもない。
ブランディングを目的に運用型広告の活用が拡大・浸透しつつある。 
本当に拡大するだけの希望があるのかという問題はさておき、「ブランド」という言葉が広告だけに留まらない領域だけに、創発が起きるかも。

2014/02/14

ディスプレイ広告は腐っている!?

第2回:今の『ディスプレイ広告』の枠ってクズだよね!ワイルドな広告枠開発の提案だぜぇ~?! | “加藤公一レオ”の「広告業界的ぶっちゃけ話」 ファインドスター
http://www.findstar.co.jp/columuns/view/4140

加藤レオさん、実はネット広告の黎明期で何度かお会いしていて、その後は九州に移ってから親交は無くなってしまった。
でも、氏のセミナーや記事は結構好きである。
高広氏の次に。

今回は、アドテクでブンブン回って薄利多売の商品化した広告として象徴的なディスプレイ広告をディスっている。(すまん、受け売りダジャレで)

加藤レオさん(加藤さんだと、ウミガメの話の加藤さんと混同するかと思う)は優しいのか、売れるネット広告社だからなのか、根っこのところまでは突いていない。

今もこれからも広告主が広告に求めるものは一つ。
『レスポンス』だ!『売上』だ!『費用対効果』だ!
言い換えると、「期待価値」に見合うだけの広告商品が欲しいという事がある。
今のディスプレイ広告、というかネット広告は、広告主の期待に添えていないという事だ。いまだ、ネット広告媒体費が14%程度と20年経とうとしているにもかかわらず増えていないのは、テレビ広告に対する「期待価値」を上回れていないからである。
既に雑誌や新聞については抜いているのだが・・・。

ということで、マスメディアを参考にせよ、という加藤レオさんの提言は奥深いのであった。

2014/02/13

就活、広告業界?ネット業界?入りたいのかよ・・・

いま、波乗りペンギンが飼われている水族館では、再来年の新卒に向けた企業説明会が行われている。
書類からの倍率は例年だと500倍前後の狭き門。面接でも10倍だ。
大変だよね。
それで入社したら、波乗りペンギンの講義受けるんだから、まぁ、災難だ。
親会社の新人ともどもなので、安心して逝ってくれていいぞ。

でだ、内定貰うの大変なんだけど、学生の皆には「入社してからが本番」ということを、改めて考えて欲しいと思うんだ。
入社して社員試用から正社員になるのは、それほど難しくはない。
それよりも、これから40年以上もお仕事をしていく、その始まりでしかないということを忘れないで欲しいんだな。

まず、会社でやりたいことができるなんて考えるのは止めよう。口を開けていたってできない。他に出来る人がいないか、それを上手く出来る人になるか、任せて貰える人にならないとダメ。
逆を言えば、やりたいことが無ければ、誰でも出来る事を言われるままに上手にやれば、クビにされることはない。(※これが一番難しいと思うよ、「上手」になんかできないもの)


日本語20万冊のkobo、それで行けるのか?

目標の日本語コンテンツ20万冊は達成 Kobo、1万円台のAndroidタブレット「Kobo Arc 7」発売 - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/12/news138.html

世の中は数字で誤魔化されるウマウマな消費者で溢れかえっているだろうか?
とにかく日本語という部分が問題なんだけど、20万冊あるのかという確認は出来ない。
そういうサイトに出来ていない上に、非常にコンテンツが探しにくい。
某ジャンルで調べると英語の本ばっかり出てくるんだけど、検索で排除できなかったりとか、ノートパソコンの画面に収まらないとか、えーっとデザインした会社は何処なんだろう。内製なら仕方ないが、これ、外注だとしたらヒドイネ。

この状態だとユーザー体験は良くないだろうから、どんなに端末などハードがハイスペックで20万冊あったとしても、それを実感することはできないだろうし、期待価値には程遠いはずだ。
ソフトバンク的手法で言えば、「日本語20万冊」はオケーな売り文句なんだけど、アマゾンがやっている事に対して、魅力的に思える取り組みがあるだろうか。
楽天は英語が社内公用語かも知らんが、日本語で商売するところは日本語でね。

2014/02/10

広告代理店は死滅する!?

【横山・有園・菅原鼎談・後編】データマーケティング時代に広告代理店が生き残る勝機とは?:MarkeZine
http://markezine.jp/article/detail/19169

日本で第三位の広告売上である広告会社の役員までした人物がおっしゃるのだが、望まれるスピードでネット対応という変革は行われていないという事でしかなくて、潰れる前に再編や統合によって生き残ってしまうのが大手でもあったりする。
身も蓋もないが。

で、一言で言い表している個所が、横山氏が冒頭で言ってること。
マスメディアの広告枠を売るための構造に、企業の仕組みがなってしまっているのです。「枠から人へ」という観点から言うと、このような総合広告代理店の業態は、変わらざるを得ないでしょう。
これを読んで、「そうだね~」とか「そうなんだ~」とか思う人もいるはずだけど、波乗りペンギンは最近本を読んで見つけてしまったんだ。
ネット時代に始まった話じゃないんだってこと。
嘘だと思うなら読んでみ。
・ダイヤモンド社 「マーケティング発想法」セオドア・レビット著 土岐坤翻訳
残念ながら絶版なので中古本を探すか、図書館にしかないがな・・・。
1972年刊行なので、実に40年以上も前だ。
当時はインターネットは無かったけど、コンピュータの登場やマスマーケティングの問題なども、現在と変わらない課題が書かれている。
スゲーよ。

日本マーケティング界の御大が、波乗りペンギンに事も無げに話していた背景を、10年以上かかって垣間見た気がしている。
温故知新。

という事で、テクノロジーは急激に進化しても、人は変わらない。
その人へシフトしているというなら、変わるべきはテクノロジーの使い方でしかない。
ターゲットへの到達効率や投資対効果よりも、「伝わったのかどうか」がメディアについては大事だと思うワケで、「何を伝えるのか」という根幹の課題をテクノロジーが解決するわけではない。

2014/02/03

翻弄される大企業、ドコモに任天堂

携帯シェア低下止まらぬドコモ グループ再編も回復策見えず (1/3) - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/03/news045.html

「Wii U」は何が問題なのか 任天堂挽回へキャラクタービジネスも選択肢に (1/3) - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/03/news053.html

当事者にとって、外野がどーのこーのは聞く耳持たんという事だろうが、その周辺で生きている会社にとっては、死活問題だ。
ドコモも任天堂も、その大木にしがみついていると美味しい樹液(収入)が得られていたわけだが、枯れてくると虫たちも逃げ出してエコシステムは回らなくなる。
ただ、共生関係にあると逃げようにも逃げられない。合掌。

ただ、両社は対照的だなと思う。
ドコモは主軸の端末販売と通信料収入から、軸足を移そうとしている。
任天堂はゲーム専用端末でのソフト一体販売で踏ん張る。
どっちが正解というのは無い。企業は生き残ってナンボである。
中の人達は大変だが。

さて、両社とも広告会社とのつながりは多層的に持っているが、広告業界的にはメッキリな感じだ。まぁ、CMはたくさん出しているという事はあっても、いろいろな取り組みが・・・ね。
仕掛け続けないと、マグロと一緒で止まれば死ぬ。
かといって失敗とか考えナシに動ける人材が残っているのかというと、そこが問題じゃないのかな~と思う。

2014/01/28

スマゲーを支えているのは中年だっ!

スマホゲームを長く遊ぶのはファミコン世代、ニールセン調査 - ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20140128_632665.html

調査結果から、
18歳~34歳ではSNS利用時間のシェアが最も高く29%を占め、ゲーム利用時間のシェアは12%だったのに対し、35歳~49歳ではゲーム利用時間のシェアが最も高く20%を占めていました。
可処分時間は若者の方が多いが、可処分所得は独身中年の方が多い。
そして、コミュニケーションの中にゲームがある若年層とゲームの中にコミュニケーションを求める中年層が見えるような気がする。
課金ゲームの社内データを見ればわかるんだろが、個人情報保護により厳重に隔離されているから、汎用調査結果で推し量るしかないのが悲しいけど、仕方なし。

さて、次の図。

不可解なのが50%がその他なんだけど、コレハナニ!?
メールやメッセージ、ブラウジングなのかな。
あと、気になるのは、オフラインでの使われ方なんだよね。
最近のスマホゲームでさ、例えばモンスターストライクとか、リアルに集まって協力プレイとかあるでしょ、スマホをネタにしたコミュニケーションが鍵を握っているような気もしている。あ、ガラケー時代もあったからなんだけどね。
ただ、想定されたシチュエーションと現実は違うのが、ネットの世の常だが・・・。
オヤジが若い娘を口説くツールで使ってたりして。

【追記】同日

スマホゲーム、黄金時代に 成長支える日本の流儀  :日本経済新聞
http://s.nikkei.com/19FUFpK

新さんがちゃんと書いているので、こっちもチェック。
やっぱ、パチンコの件を出したか。
ガラケー時代に目の敵にされたのは、時計メーカー、自動車メーカー、パチンコだったんだよね。 他にも、ガチャの辺りは据置ゲームとか、まぁ、いろいろ言われたもんだ。

でも、ガラケーがスマホの時代になって、まぁ、次の時代もあるわけで、企業は潰れずに生き残れれば先はある。
もちろん、その企業に在って自分がリストラされずにいられるかは別だ。