2016/02/24

2015年 日本の広告費、微増というか誤差的なレベル

2015年 日本の広告費
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0223-008678.html

「2015年 日本の広告費」解説―インターネット広告費がリードし4年連続でプラス成長を達成
http://dentsu-ho.com/articles/3708

ポジティブな見解は電通のリリースと解説をご覧あれ。
波乗りペンギンは、ネガティブ側だ。(本音とか事実ではない。ネガティブなのだ。)

媒体別「日本の広告費」(2012~15年)
※出典:電通報

過去三年を見ると、数字的には2014年が良すぎたという部分はある。
2015年の数字を前年対比だけで語るのも意味が無さそうだ。
全体のパイは変わらず、メディア配分が変わっているのが読み取れる。
4マスが減って、販促も減って、その減った金額をネット広告は受け取ったような数字になっている。
ホントにそうか?
広告ではないカテゴリーに企業のお金が使われているんじゃなかろうか。

「日本の広告費」推定範囲
※出典:電通報

電通報の記事でも後半はその点に触れている。
が、ネットに釣られて広告の定義を拡大して推計拡大すると、別の市場推計になりかねない。もう、広告捨てちゃおうって話になる。
広告主のオウンドメディアは推計に入らないと思うが、その記事がネイティブ広告として掲載されるという流れだと、制作費は「広告」で計上されてなかったりするだろう。按分するのか?
メディア別だと見えないけど、元原稿はデジタルデータなので、アナログ時代に比べると制作部分のローコスト化は激しい。純粋に媒体費が減っているだけじゃなく、周辺の収入もメディアは減っているはずだ。

インターネット広告費の「制作費」だが、
インターネット広告費の内訳※出典:電通報

順調に数字が伸びている。
一体何が伸びているのかが気になる。
サイト制作のページ単価は上がってはいない。(体感)
運用型広告費が伸びているので、LP制作費だろうか。SEO対策のサイト改修費だろうか。
それとも、昨年後半からジワッと来ている動画広告制作だろうか。スマホ対応にリニューアルした広告主が多かったのだろうか。発表に加えて欲しいなぁ。

ということで、次の集計を改定する時は、広告会社のだだっ広くなった業務の市場推計ではなく、積み上げ式に推計される個別市場の動向が追えるように舵を切って貰いたい。
でないと、最後の調整で盛ったりしてるんじゃないのかという違和感が残ってしまう。
会社の売上が若干伸びても、給料は下がるだけだしなぁ・・・。はぁ。

○参考

ネット広告制作費が伸びている中に、キャンペーンとかじゃないのにオウンドメディアのコンテンツ制作費が含まれてんじゃないかと思うのよ。
ま、アンケートによる市場推計なので、数字がゴチャゴチャになるんだよね。コンテンツマーケティングってネット広告制作費に入っているのが、普通(何をもって普通なのか分からん)なのかな。

「コンテンツマーケティング1,000人実態調査」 他社の予算は? 人員は? 外注は? | Web担当者Forum
http://web-tan.forum.impressrd.jp/yahooads/2016/02/24/22140

○蛇足

電通報 - 複雑な統計をシンプルに読み解こう!「日本の広告費」編
http://dentsu-ho.com/articles/3720

なんか、一部で不評だけど、らしくない業界風テイストが不味かったか。
笑ってあげてチョ。

2016/02/16

広告代理店は要らない

将来も残り続ける「広告代理店の価値」はどこにある? | AdverTimes(アドタイ)
http://www.advertimes.com/20160216/article217497/

テーマとしては目新しいものではなく、波乗りペンギンも若いころは会議や飲みの場で議論したものだった。(遠い目)
今は、そんなこと若い人たちはしているのかな。

さて、広告代理店の存在価値=不要論に終息するかどうか?
波乗りペンギンの結論は「広告代理店は要らない」だった。
そして、大手の広告代理店は自らを「広告会社」と分類し、「代理」からの脱却を模索したのが20年前だ。
広告は無くならないが、価値創造をしていくので「代理店」の看板を外して「広告会社」と言い始めたんだ。

欧米では3大広告グループに統合され、機能ごとに特化された会社群に組織形態が変わった。これは、一業種一社制という日本にはない商慣習があっての事。
日本では一社一強、同業種取扱いが普通なので、同列に論じられないんだ。

で、広告会社の存在価値をどこに求めるのかは多種多様が現実の現在進行形。
確かにクリエイティブ(CR)は比重が高い気がするんだけど、単なる表現物の制作じゃないデザイン(社会の中での有り様をデザインする)を志向するようになっていると思う。
ただし、難度が高いんだよね。ある種の哲学が必要な領域だから・・・。

2016/02/15

アドテック東京が初心者向けになる?

数年前からアドバイザリーボードに業界の重鎮が消えて行き、半分は知らない方たちになって待った。
微妙な布陣なんですけど・・・。
あれ、御大のYさんいない。Eさんは復帰しても良いはずじゃないのか。あれ、大手広告会社が担当ドンピシャのセクションじゃないし、業務ラインが違ってないか?(部者や役職ではなく、「人」なのがアドバイザリーボードのはずだっけ。)
なんか、このイベントは何処に行きたいのか分からない人選になりつつあるような気がするのは、現場はずれて久しい波乗りペンギンの受け止め方ががオカシイのだろう。

初期からすると出展社も数倍になっているので、イベントとしてターゲットが広くなったはずだ。
当然、プログラムを見ると、初心者向けのトラック「Beginners」が出来ている。
・・・?
アドテックの「テック」って「テクノロジー」じゃなかったっけ。
テクノロジーのトラックはないのか・・・。

これは、
1.アドテクは普及してテーマとしては適さなくなった。
2.アドテクのテクを押しすぎて、「アド」がどっか逝った反動。
3.成り行き。
のどれだろうか。

そもそも初心者は、「広告」なのか「テクノロジー」なのか不明だな。
最初のセミナー「デジタルマーケティング」がタイトルに入っているので、「デジタル・マーケティング」の初心者か・・・。
そのあと、ビッグデータとかCRMとか、いや、体系的に意味わかんないです。
スポンサー枠なら納得できるけど。

ということで、商業的な成功は素晴らしいと思う。

2016/02/08

イナモト氏新会社にDG出資

ゼロtoワンのクリエイティブ レイ・イナモト氏新会社方針 #宣伝会議 | AdverTimes(アドタイ)
http://www.advertimes.com/20160208/article217046/

世界的に有名なイナモト氏が新会社を作って、デジタル・ガレージが出資したというから、何か新しい試みが行われるはずだと記事を見る。

「デザイン・テクノロジー・データの3つを融合させて、新たなビジネスを生み出す企業にしたい」――と、レイ・イナモト氏は話す。
電通ブルーとかHDYのSIXと何が違うんだろうかと。

データから見つけた問題に、デザインとテクノロジーで、これまでになかった答えを出す。“新たな答えを出すもの”として、「これからデザインやテクノロジーの力がさらに増すのは間違いない」とイナモト氏は話す
伊藤穣一さんに聞いたら、どんな解釈が戻ってくるのか、聞いてみたい。
ここで言われている「デザイン」が構図という狭義の意味合いではないだろう。
言葉一つとっても、文字のままに読むのはキケン。

メディアや広告ビジネスの前提となっているのは、広告枠を売り、その枠に収まるアイデアを作るということだ。数十秒のCM枠や白いページ、広告看板に当てはまるモノを作るのがクリエイティビティだと唱えられてきた。
4マスの広告制作であれば確かに。
メディアニュートラルという志向もデジタル時代に出てきたんだが、これに対しての揶揄は含んでいるんだろうか。ニュートラルではあるものの、メディアを使うという意味では大差ないからね。

これからの本当のクリエイティビティはゼロから始まる必要があると思う。いずれにしても、クリエイティブであることが、生き残る術だ。クリエイティビティこそが、最後まで人間が人工知能に優る点だと思う
人工知能・・・やはり危惧はしているのね。
その、AIでは代替できない創造力は0から1であって、1から2ではないと。
0であるなら、前提はない。
うん、広告である必要もない。

広告である必要があったクリエーティブ・ブティックやホットショップとは立ち位置と成り立つ要素が異なるのだろうか。
だか、広告枠の販売を超えるという方向性は10年前から、欧米では20年前から動いていたように思う。それは、戦略とかブランドとか別のキーワードで括られているけど。
(アカウントプランナー、ブランドコンサル・・・とか、色々あったよ~)

さて、データから問題を見つけるという事でデータ・アナリスト(Webの場合はWebアナリスト)の解析一つで出発点が変わってしまう恐れがあって、優秀な分析者(データの読み方、マイニングが天才的な人)の有無で成否が分かれそうだと思う。
課題の発見と解決のビッグアイデアが必要という点では、過去と何も変わっていない。

永遠に解決しないテーマでもある。

2016/02/05

googleの実力行使、広告ブロックのアプリ削除と代替策?

広告ブロックの問題なんだけど、一応流れがあるんで最近の所だけまとめておこうかと。
遡れば15年前くらいから、「ポップアップ広告」「ポップアンダー広告」から始まるんだが、主流なのはモバイル広告の方なので割愛。

さて、グーグルは広告ブロックのできるアプリをガンガン削除して抹殺しているらしい。
もちろん、グーグルは正当な契約の上で、違反しているアプリを削除しただけでしかない。グーグルが大企業になったエコシステムの崩壊を防ぐためであり、メディア(自分たちの利益が損なわれるので)も非難したりしていない。
もともと、サムソンが仕込んだものだが、やはり対アップルなんだろうね。
以下、記事参照。

Google、広告ブロックアプリ「Adblock Fast」をGoogle Playから削除 - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1602/04/news113.html

参考:Samsung、Android版Webブラウザに広告ブロック機能追加 - ITmedia Mobile
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1602/02/news068.html

これで終わりだと、エビルなグーグル、となるわけだが代替策(!?)をちゃんと用意してある。
その強化が記事として出てきた。
以下、記事参照。

GoogleのSafe Browsing、ユーザーをだますコンテンツを阻止へ - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1602/05/news061.html

グーグル、「Safe Browsing」適用範囲を拡大--合法サイト上の虚偽広告も対象
http://japan.cnet.com/news/service/35077423/

たが、そもそも違法な広告や詐欺を掲載するなんて、言語道断でしかないわけで、広告は生活者から嫌われたら終わりなんだという前提がぶっ飛んだ話になっている。
つまり、代替策は代替になっていない。問題は解決していない。
なぜ、ヤフーからグーグルに検索エンジンがシフトしたのか。
その生活者心理を忘れてしまったようだグーグルは。

もちろん、業界団体は分かっている。
分かっているから、受け入れられる広告にしましょうという運動を開始した。
以下、記事参照。

ネット広告業界団体IAB、“容認できる広告”の指針「L.E.A.N. Ads」プログラム立ち上げ - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1510/16/news054.html

アドテクによって広告掲載は効果効率がアップしたように見えて、それは広告主のメリット(ROIを高める)にはなっても、生活者(ユーザ)に負担というかツケが回っただけ。
本来、発信側と受信側はサーバを基点に相互接続負担している平等な関係であり、コンテンツを無料とすることが広告閲覧と相殺されて、成り立っている。
ところが、「無料にしてやってんだから、容量がデカくて遅い広告素材を大量」に送りつけて良いかというと、ユーザからすれば「我慢にも限界があるぞゴルァ」ということだ。
対価として成立するバランスがあるだろうと。

その上に、送りつけられる広告が「ろくでもないもの」だったり、広告ではない雰囲気で記事みたいに出てくるんだから・・・。

そんなわけで、米国で消費者運動に発展しないことを祈りつつ。
(※米国で消費者団体が動き始めて法制化されると、日本も右ならえっすよ。)

2016/01/26

記事より広告がバズったらブームになる

ヤフーと合弁で日本に上陸したバズフィード。
ま、広告に対する幻想というか、誤解もあるんだろうけど、媒体在っての広告なんだけどなぁ。

日本版BuzzFeed、目指すは編集部が書いた記事よりも「バズる広告」
http://www.advertimes.com/20160120/article215293/

と思って記事を読んで一安心。
広告の販売はヤフーが独占。販売の開始時期については、「まずはユーザー増加に力を入れていく。まだ時期は明言できない」(高田氏)とした。
いきなり広告展開はしないようだ。
波乗りペンギン的には正しいと思う。
信頼のない面白い記事の集まった媒体という位置づけって、まとめサイトとか個人のブログで十分なのよね。いや、下手すると書き手によっては個人のブログの方が信頼できる内容だったりする昨今、食べておいしいネタをプロとして用意して貰いたいものだ。

BuzzFeed日本版会見は"意識高い系"祭だった #BLOGOS
http://blogos.com/outline/155954/

と、ここでブッ込んでいる記事があったので続けよう。
競合想定と目標値が質問であったらしいのだが、うやむやにしたそうだ。
いや~、そういうオチか・・・。

2016/01/25

グーグルだけで7.8億件/2015年も削除した悪い広告

グーグル、2015年に悪質広告7.8億件を削除--1000人以上を投入
http://japan.cnet.com/news/service/35076730/

まず、数の多さにビックリ。全世界で掲載されている広告の数からすると少ないのだろうか?グーグルの2015年、総掲載件数が分からんので、何とも言えない。

で、記事に書いてある通りなんだけど、グーグル(ダブルクリック)のアドネットワークがブロックしても、他のアドネットワークは別なのよね。
ブラックリスト形式だと「広告主名」「ドメイン」「登録者」「代理者」なんかを変更するとイタチゴッコになって、詐欺サイトへの誘導やマルウェアの仕込を根絶できない。
もちろん、リンク先のコンテンツ(ウィルス)チェッカーの自動プログラムを走らせるとか、AI的な判定ソフトの導入で数は減らせると思うが、世界中にたくさんある広告配信業者のすべてが、コスト負担してまで運用してくれるかというと、過去を見る限りないね。

しかも、個人が広告掲載できるインターネット広告(特にグーグルの広告)は、悪質な広告を阻止しようとすると広告収入が激減してしまう。
グーグルは掲載後の対応が基本であって、掲載前の広告審査は無いのだから。
もし、事前審査すると膨大な広告審査を短時間で行わなくてはならなくなる。審査員の数も数万人単位で必要だろうし、現時点では不可能だろう。(いずれAIがやってくれるだろうが)

当面、広告表示すると悪いことが起きる=広告は悪いもの、というネガティブなイメージが拡大しているので、編集記事に見せることで誤魔化すしかないのかなぁ・・・。