2015/12/07

勝手にネット広告重大ニュース2015

ども、本当に首が回らなくなって治療中の波乗りペンギンだす。
4本の置き針効果で、小康状態になったので久々に書こうかと思った次第。

さて、タイトルが「重大」で「10大」ではないのは間違いではなく、駄洒落でもなく、単に10個選ぶという行為が面倒だったから。
では、偏見と妄想に基づく「重大ニュース2015」を始めよう。

■ネイティブ広告は広告なので広告表記をすべし

もうね、編集記事だから広告表記イラネーとか、PR業界の慣習だからとか、広告と書くと効果が落ちるとか、社員がJIAAでガイドライン策定してるのに周知してなかったとか、面白い記事が出るわ出るわ。
とりあえず、ガイドラインは読んどけ。
一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA)ネイティブ広告に関するガイドラインを策定
といっても、読まないしスルーするし、そもそも倫理観の土台が無い世界では無意味な展開が想像される。
最悪のシナリオは
・広告規制法を整備し、広告業務を認可制にする。
これなんだけど、戦中に行われた5社統合の話を知らない人にはピンと来ないだろう。
心配しなくていい、ネット広告ベンチャーは潰れるしかないのだ。
もちろん、ネット広告を収入源とした媒体やらアプリも瀕死する。
今の政治体制だと、本気になられたら可能なだけに厄介である。
特にマイナンバーを盗もうとする連中に利用(それに広告が悪用)されるとか、クリティカルな事象があれば、業界団体も対応できないだろう。
困ったことに、オリンピックのエンブレム白紙撤回では、大手広告会社がビハインドを背負ってしまった。政治的には、18才からの選挙権とかで若者に分かり易くアピールできる材料が欲しいし、まぁ、どう転ぶか分からないが広告が悪いことにされそうな気がしないか?

■動画広告は離陸できず

一昨年から注目していたのだが、今年も飛躍の年ではなかった。
どっちかというと、動画ビジネス自体が動き始めたよね~って感じ。
Netflixが日本上陸、アマゾンとかも動画サービス始めたし、主なプレーヤーが揃った程度。え?動画広告は動画コンテンツじゃなくても出来るよねって・・・、それで盛り上がんなかったわけなんだけど、分かってるかな。
コンテンツが消費されなければ(コンテンツを媒介としなければ)、広告は伸びないのだ。

動画はテレビと違って致命的な欠点というか、ユーザー側のコスト問題があるのね。
それはデータ通信なのよ。
スマホで動画視聴が多いとは言われても、Wifi環境が整っている所という条件をクリアしないと、LTEとか使うとパケ死できる。
ゲームだけでもデータ通信の消費(バッテリーもな)が激しいんだから・・・。

ということで、放送と通信の融合は、キャリアの従量課金の復活によって、実は足踏み中。いろいろ、空洞化が見えてくるのが来年かな。
うん、逆にチャンスを掴む既存メディアが出てくるかもしれない。短時間化するか、店舗で環境を用意するか、方法は限られるけど。

それから、動画再生のプレーヤーもアドビのフラッシュからHTML5へ各サイトが切り替えを始めた。アップル(iPhone)は最初からフラッシュ対応していないが、グーグルは広告動画のフラッシュをHTML5変換するとか、ブラウザのフラッシュ再生を止めるとか、フェースブックも年末にHTML5に切り替えたという話だった。
フォーマットが統一されると制作側も楽になる(動作検証の数が減る)のだが、フラッシュが無くなるのを惜しむ声もある。(技術的に実現できることは大差ないはず・・・と突っ込まない。)

■次は(IoT)だな

ネットニュースでも新聞でも、今年結構出ていたネタなんだけど、スルーしてしまった自分に腹が立った一か月前。
IoTのプラットフォーム競争は始まっている。広告的にモナー。

ええ、うっそー!とか思った人は、
IoT推進コンソーシアム
の法人会員リストを見て見て。
主要プレーヤーは入っている。たぶん、幾つか意義があってのことだと思うが、クライアントが入っているからという視点だってあるだろう。
というか、メンバーの数が凄いな。(法人会員 1143  ※2015年12月2日現在)
逆に、入っていない広告会社ってヤバいんじゃないかと思える。
あ・・・。
個人的な気付きはともかく、IoTはデジタルマーケティングを更に進化させるツールになることは想像に難くない。広告に使ったらダメだと思うんだけど、この辺りの話は割愛しよう。

現代では国策で盛り上がったためしはないが、日本が主導権(最終的には規格なんだけどね)を握った産業分野(この際、小さくても良い)は零(ゼロではないぞ)なので、何とかしたいところ。

■業界再編の波

いつも波打っているネット業界なので、今更みたいな感じではあるが、
幾つかニュースを書き出しておくと
Microsoft、広告事業のほとんどをAOLに委託、Bingマップ事業の一部をUberに売却 - ITmedia ニュース
ベライゾン、総額44億ドルでAOL買収を完了 @cnet_japan
グーグル、組織再編を発表--新会社「Alphabet」設立、グーグルが子会社に @cnet_japan
米Yahoo!が本業のネット事業を売却? 観測強まる - ITmedia ニュース
てな感じで海外は、次のフェーズに進もうという意志が見える。
他にも、日本の広告会社も提携とかじゃなく買収を盛んにやっているので、
・電通(本体より電通イージスのリリース見た方が良い)
・HDYH
特に電通の買収攻勢は加速している。

全体の傾向として集約されてきているので、資金に余裕があるところは売り上げ増大を目指して買収を繰り返して拡大し、シナジーを生まないとか規模的に採算を取れないと判断された事業は分離されて本体の生き残りを図りはじめている。
この後は、重複部門の整理や人員削減など、人的リソースの流動化が待っている。
だが、システム化されて少ない人手で業務プロセスが最適化されつつあるので、新たなスキルを身に着けるかIT化が進んでいない業種に鞍替えするか、厳しいものになりそうだ。
いつでも、人手は余っているのだ。足りないのは「人材」なの。

この先に何が起きるのかってのが問題で、一兆円を超えたネット広告がマスメディアを飲み込んでいくだろうことは予想可能だが、今日明日にマスメディアが無くなるわけがない。(山手線の新型車両でも中吊り広告は残ったように)
併存というか共存状態は、当面継続するのね。
ネット広告の最先端とか、中心にいる見えてない人が多いけどさ、世の中の普通からすると、あんたら、まだまだ外れにいるんだからね。
広告だって、登場してから先輩諸氏の努力が百年掛けて、産業として認めてもらったのは最近のことだ。技術進化は指数関数的に上がったとしても、人の心や意識は簡単に変わる物じゃない。

■デジタルリードエージェンシー

また、新語かいなと。
IMJ、BMWのデジタルリードエージェンシーに~デジタル領域に特化したマーケティングを支援
MBOした後の展開は順調なようで、CMO啓発にも力が入っている。
この勢いでBMWのデジタルの指定広告会社を獲得。
マスとデジタルが分断しちまうじゃねぇか・・・というのは旧来広告会社の視点であって、分断した方がビジネスとしてアリなんじゃないかと思った次第。
もし、マスメディアが衰退して、予算のほとんどをデジタルに使うようになるとしたら、戦略的には分断した方が良いわな。
とか、いろいろ考えてみるきっかけになった事件なんだけど、そこまで考える人は少ないか・・・!?

一応、制作や媒体買付など、指定代理店制度はあったんだけど、これは広告主が管理できる能力を持っていることが前提だった。
これが広告主内にある時は宣伝部、外に出るとハウスエージェンシーになるんだけどね。
どんな立ち位置が有利なのかは広告主や業種によっても異なるんだけど、ヒット商品や資金がない会社は、別の方法で生き残ることも考えないとね。

以上

追記、2015.12.14.

■マーケティングオートメーション

イメージ的には統合システムだったんだが、マーケターを支援するデジタル・プラットフォームとして日本企業が使うにゃ敷居が高すぎて、イマイチな一年だった。
これはCMO不在論とオーバーラップするんだけど、モノづくりニッポンが顧客為のモノづくりではなく作るために作る・・・メーカーが、売りまくった高度成長経済期の発想そのままに組織体制(発想から経営まで)が存続してるので、「マーケティング=広告」という概念が崩されていないのが根本原因と妄想している。

アドビ、セールスフォース、マルケト、エクスペリアン、etc.
どれも組織や担当の壁を超えるのが大変そうなもので、サイト制作のついでにタグ貼ってアクセス解析するのとは難度が高すぎる訳ね。
まぁ、予算的にも?(笑)

じゃあ、他に代替できないのかっていうと、人力でやれば良いじゃん・・・という考えもアリなわけだ。社内にないものは社外にリソースを求める。
社内で使えないものは社外に切り出し売り払う。
でも、そもそも欧米と日本は経営自体が異なるわけなので、日本的な対応というか解決策みたいなものがある筈なんだけど、どうして出てこない!?
株の持ち合いやグループ経営(財閥の名残の方ね)とか独特なものが沢山あるから・・・。
本社を海外にしたり、国外から社長を招聘したり、というのは大手の一部だけにとどまっているしな。
欧米信仰(ジャパン・アズ・ナンバーワンは何処行った)の為せる習慣だろうか。

そもそも、広告主も広告会社も媒体も、社内機能がバラバラで縦割りになっているのに、システム統合だけで何とかなるってのも無理がある。
と、ここで話がCMO不在論に戻ってくるわけだ。

そんなところに「統合デジタルマーケティング」とかイミフなワードを突っ込んでくる懲りない連中も再び沸いてくる。
波乗りペンギンは勧めてないぞ。ずっと、否定派だ。
だいたい、統合アナログマーケティングとかない。(笑)
デジタル側だけ統合したマーケティングって、コンピュータ上でシミュレートされた世界ならあるかも知れないが。
ま、まさか・・・それを見越しているというのか!!
マトリックスの世界が、AIが世界を征服した後に来るというのか~
<以下、妄想が暴走したため自粛します>


2015/12/03

日本ではIMC適応組織の構築は無理

広告大量投下だけでは勝てない時代に重要な3つのテーマを、ドン・シュルツ教授の講義から考える
http://www.advertimes.com/20151124/article209957/


何とも悲しいお話を徳力さんが書いてます。
シュルツ教授に聞いて答えが戻ってきたのが凄いんだけど、まぁ、日本は日本の考え方を作れって事だと思う。
そもそもマーケティングは西洋経営学だから、日本は日本独自のものを作れって事なのかもしれない。

似たよなところで、CMOとか存在しないのでIMCが日本では浸透しなかった。
いや、CIOすら、だね。
でも日本の会社が全滅したかといえば、そんなことはない。
何とかなるのだと思う。(今回も思いたい・・・)

2015/11/19

こっそり、突っ込んでおくTIAAの件

杉山恒太郎さんに聞いてみた「日本のデジタル広告黎明期って、どんな様子だったんですか?」 #アドタイ
http://www.advertimes.com/20151119/article209313/

文中後半にTIAAのエピソードが出るんだけど、
あれね、猫の鈴に首付けるネズミが居なかったんで、
続ける結果になったという現場側の諦めもあって、
惰性で続いたような部分があったそうな。

だってさ、あの大クリエイター「杉山」さんだぞ。
だれも、「毎回大赤字だし、部門構成はガタガタで誰のプライズ分からなくなってきましたし、そろそろやめましょうよ。」なんて言えない。

結果的にTIAAはACCに戻って行ったようなものだが。
ネット広告の現実は、技術的創造が主力で、芸術的創造は従属しているに過ぎない。

2015/10/30

CAが過去最高の営業利益とな?

サイバーエージェント、営業益47.4%増で過去最高に スマホ関連が売上高の8割に迫る - ITmedia ビジネスオンライン
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1510/29/news132.html

記事を見て、へぇ~。
いやいや、それで感心してしまったらダメだ。

財務面はコメントできないので決算短信はスルー、決算説明資料を見る。
注目点はアメーバ事業だね。
あんだけリストラして黒字転換したのも束の間、減収に転じたら歯止めが掛からない。
セグメントの変更をして、儲かっている事業に埋め込んでの再投資。

それが悪いのか?
いや、良いんじゃない。良い時もあれば悪い時もある。
3つの事業があれば補完できるわけだし、景気に左右されやすい広告事業だけじゃないサイバーエージェントに転換したわけだし、ね。

問題は、一時期社名をアメーバにしたいということで中核事業とされていたのが、中核になりきれずに来た事かな。
メディアを作るって、コミュニケーションプラットフォームを作るのとはステージが違うからなぁ。
ドワンゴとか、その意味ではウマかったよ。

2015/10/19

広告は地域(文化)によって変わるし

Advertising Weekで見えてきた日米マーケティングの違い #アドタイhttp://www.advertimes.com/20151007/article205875/

CMOの普及活動がIMJの方向性と合致して、偉い勢いでフォーラムが出来てイベントがはじまった。このまま、日本で1%程度しかいない(大企業)とされるポジションが確立されるだろうか。

日本でCIOすら多くない状況でCMOが増えるというのは環境的には厳しい。
いまのCMO増やそうのアプローチは、デジタルが基盤の話だからだ。
もっと、アナログな部分も含めてマーケティングの重要性が認知され、企業の主軸たる活動にならないと、ヘッドが重くなるだけの話で一蹴されてしまう。
うん、過去はそんな感じで増えなかったんだよね。

日本組織構造の問題もあるし、商習慣とか、米国と比較して相違を認識するのは確かに大事なんだけど、その上で、日本にあったCMOは何なのか?
という話にならないと、難しいんじゃないかな。

一般に、日本の製品のモデルチェンジは海外のそれに比べて頻繁である。
社名と製品名が一致しないなんて話は普通だ。
嘘だと思うなら、山手線ゲームで「○○会社の製品」というので何個言えるかやってみると良いだろう。

2015/10/16

ステマにネイティブアドに・・・ザクザク問題発生中

インフォバーンとかメディアジーン、ベクトル社のステマ営業の具にされてブチ切れ
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2015/10/post-0fcf.html

切り込み隊長というハンドルネームがしっくり来るわけですが、やまもといちろう氏のブログをピックアップ。
最後の指摘が怖いんですが、法規制は避けられない気がしてきている。
広告って、広告そのものに法規制が日本ではないので、着地点によってはベンチャー総倒れの許可制もあるだろうなんて杞憂もある。

業界内部でもガイドライン策定や自主規制って話は過去にも沢山あるのだが、
・技術的に出来るけどコストが合わない
・やっているけどユーザには難解すぎる
ということで、難しいことをやり過ぎて、しっぺ返しな状況が10年近く続いている。
ふつうに広告枠を設定してバナー貼っとけよ・・・で済んだ昔が懐かしい・・・。

愚痴はさておき、現実的に自主規制が出来るのは団体の会員という対象だけで、法律と違って拘束力や義務なんてものが発生しない以上、各社の善意と誠意でしかない。
いやなら脱退すれば終わりである。
上場しているならば、たぶん、業界団体加盟者よりも利益を伸ばした方が株価も上がるし、会社としては儲けが優先になる。
いやいや、それはダメだろうという事でCSRとかあるんだけど、ぶっちゃけ上場狙いのベンチャーには綺麗ごとなんだよね。上場しても、すぐには変わらないし。(最近のネイティアド関係の記事を探すと良い。JIAAの加盟企業がガイドラインを発表したにもかかわらず、策定メンバーだったにもかかわらず、ルール違反を継続していた。)

では、アナログ時代はフェールセーフ機能があったのか?デジタルでは出来ないのか?という話は誰もしていない。
ま、話が出来る人が、デジタル側にはいないというオチなんだが。

2015/10/08

DNP、マーケティング情報サイト

DNP、マーケティング情報サイト「生活者潮流」オープン~独自データ分析し、最新の消費動向を発信:MarkeZine(マーケジン)
http://markezine.jp/article/detail/23227

いわゆるオウンドメディアである。
DNPは印刷会社ではないという側面を強く打ち出している流れの一環か。
ま、波乗りペンギン世代は大日本印刷でしかない。

さて、他にも多様な企業が自社の調査データを公開しているが、これを引用して事業企画書に入れるのは良いんだけど、よく読んで理解してから使おう。
たとえば、主婦がスマホシフトしているという話。
主婦のコミュニケーションを広げる、スマホシフト
これだ、主婦向けにスマホサービスをヤルゾー、オー!
とかやんないでね。
ま、シード出資で(事業内容や商品自体が)切り口が面白ければ、誰も指摘はしないと思うが、この調査はどんな調査だろうね。

調査概要を調べてみよう。

DNPメディアバリュー研究「コミュニケーション接点に関する調査」
まず、オンライン調査ではない。「専門調査員による訪問留置法」とある。
今時珍しい・・・。
調査員の質とか回答に影響を与えないような配慮とか、大丈夫かしらとは思う。
調査時期は「毎年10月」なのだが、はて?今月調査したものがすでに集計分析されているのか?
まぁ、タブレットでペーパーレスでやりゃ何とかなるか。
次に「首都圏50km圏内在住の男女」が対象、サンプルの収集場所となっている。
東京駅から50キロ圏内なのか、都庁なのか基準は別にして関東の一部である。
関西でも福岡でもないので、拡大推計しないように。
対象年齢は「15~69歳」とかあるけどさ、年齢ごとの内訳はどうなっているんだろうね。
全国平均に合せてウェイトバックしているのかしら。

どうだろう、これが東京の会社が一都三県在住者を対象にした事業であれば、なんか使えそうな気がする。
でも、都市圏とか、全国となると難しいと思わないか?
そもそも、主婦って一括りに言っているけど、どんな人?
とか突っ込んだら崩壊しそうだけどな。

まぁ、あるモノは使って良いと思うが、ケースバスケースだよ。