2013/12/05

インバウンドマーケティングとは何ぞや

【インバウンドマーケティング対談】高広伯彦+大元隆志:第1回 インバウンディなマーケティング思考 - ITmedia マーケティング

ということで、業界で著名な二人の対談。期待を上回る内容に、ピックアップ。
やはり、こういう方たちは物事の本質を見抜いている。
スゲーよ、仕掛けた側が見透かされている気分を味わうのはキュンキュン来るね。

さて、その一節は
大元 確かにそうですね。2008年頃から通信事業者さんにモバイルマーケティングプラットホームを提案し始めまし た。まさに今でいうところのDMP基盤です。消費者が不要だと思う広告をDMで送り付けるのではなく、お客さんの趣味や行動を正しく理解した上で、彼らが 適切だと考えてくれそうな情報を提供しようと提案していたことを思い出しました。
うん、実は当初の段階から、そう設計していた。

その前に、広告接触の管理は最も気を使っていた部分で、広告の掲載場所や枠数、メールにおいては配信時間から頻度まで、実験と検証を何カ月もやってローンチしていた。
もう、それを知る人間は殆どいないがな。
(モバイル広告はJIAAのガイドラインに、その縛りが残っているのだが、ガイドライン集は有料なのでJIAAで買ってね。)

2000年の段階でPCインターネット広告の問題だと思ったポイントは
・広告が出過ぎていて五月蠅ので、コンテンツ見にくい
・広告見るためにアクセスしてると思われてるような鬱陶しさが気分悪い
・同じ広告ばっか面白くないし不愉快
という感じ。
だもんで、モバイル広告の商品設計の段階から実装の間に、メディア側への説明も大変だったが、説明してもわからない人の為に仕組化とルール化して強制改善をした。
具体的にはこうだ。
・ピクチャー広告(いわゆるバナー広告)は、「全階層に貼らない」「一ページに一つ」「ローテーションはランダム表示」など。
・メール広告は、「起床時間中に送る」「月に二回以上送らない」「同一広告は二週間空ける」「一つのメールに広告は一つ」など。
もともと小さい画面なのに、広告ばっかりになったら誰も見なくなる。コンテンツありきというより、媒体に乗っかるのが広告で、媒体が「主」なら広告は「従」であるという考えなんだけど、分かったくれたのはマス系の媒体出身者だけだったりした。
やはり、ユーザーはお客様なんだから、何をしに来たのかっていう目的を邪魔しちゃだめだよね。広告は媒体のお客様であるユーザーに、場所を借りて掲載されている立場なんだから、わきまえなきゃ。

この辺りを本で2001年に書いてはいるんだけど、もう絶版だよ。(苦笑)
パーミッションの考え方とか、原則化していたんだけど、少しは誰かの役に立ったのかな~。

そんなわけで、米国では一昨年から「ネイティブアド」というカテゴリーの広告が出ていて、昨年から日本でも散見されているので、興味がある人はインバウンドマーケティングとネイティブアドの位置関係とか調べてみると良い。
あ、語弊承知で言い切るとネイティブアドってネット版の「編集タイアップ広告(アドバトリアル)」だわな。

【追記】
語弊というか違うと言われたネイティブアドの説明。
うーん、第三者配信に対する自社配信という意味でネイティブなのかな?
どうか教えて下さい、高広さん♥(あ、そこキモいとか言わない。)

【追記】2013.12.16.
まだ、答えは無いので考えているんだが、
「ユーザーに違和感なく提供される広告」という解釈―ではどうだろうか。
 自然な感じで・・・という意味でネイティブを解釈するとなのだが、ユーザー主体であり企業側は有益なコンテンツを提供して見つけて貰うだけの存在とするなら、記事広告の形でなくともバナー広告であれ長文テキスト広告であれ、個人に最適化されたバナー広告を繰り返し見せられるのに比べ、遥にマシな体験にはなるはずだ。

と、ここで一つ思い付いた。
インターネットならではの広告というか企業とユーザーとのコミュニケーションという、インターネット発、インターネットに自生した、広告という意味かな。
マスに縛られた発想の「枠」というアナログ世界ではなく・・・。
うん、この方が座りが良いな。

年を越せても将来は暗い、格差拡大か?

正社員の年収はいくら? 4年ぶりにプラス (1/2) - Business Media 誠

という記事を見つけて、うーん、30代ピークで収入減少が明らかな時代だと確認。
マーケの領域ではあるが、ターゲット分析をする時に可処分所得と可処分時間の見立ては必要で、収入の多寡に依らず消費してくれる対象の洗い出しとか、まぁ、いろいろやるんだけど、デフレの歯止めは複雑な要因が絡まって、無理な気がする。

民間の調査だけで話は進められないので、行政の継続調査も見てみよう。

厚生労働省 賃金構造基本統計調査(全国)

ザックリ見ると、デモグラで分析しているので、「性別」「学歴別」「企業規模別」「産業別 」などがある。く、足りん。

片手間で書くには重たすぎるなぁ、もっと少し統計データを眺めてみないと何にも云えない。
が、推測程度はしている。裏付けるデータがある筈なんだけど、現場から離れると探し出せん。

アドテクで最適化してお終いという世界にいると、「仮説」という力が弱くなる。
いや、必要なくなるのか。やりながら修正できると思っている人が多いからな。
まぁ、その辺は大先輩の横山さんとホープの高広さんに任せよう。やはり、上手く説明できないや。俺も、アドテクに汚染されているかも。

で、 今はデモグラよりもライフスタイルであり、多様化した価値観を軸にして、コミュニケーションをするのがベターだと思う。
幸い、ネットの発展によって手に出来る情報は増えているし、大量のデータを扱って読み解くサービスも出ている。
とはいえ、データから未来が見える訳でなく、過去の事実の追認でしかない。
「仮説」を建て(骨組み程度でも良い)て、データから「立証」するべきだろう。
手元に何もないので何だが、ネット上での消費行動は大きく二つの傾向があると思っている。
・気分消費
・実利消費
(一昔前だと「モバイル型消費」「PC型消費」という言い方してたっけ。)

【気分消費】
ソシャゲとかコンテンツ系に多いが、流行りモノだったりの自己満足なサービスは利用者の気分によって決まる。
原因とか理由は個人によって大きく異なるので、デモグラで分析したところで「若い男性」にウケた程度のことしか分からない。実際は、幅広い年代や性差を超えて利用されている。

【実利消費】
ハード商品やサービスで、競争が激しいものに多い。比較できるもので、第三者の意見やデータによって決まる。
価格、品質、満足度というバランスで決まるのだが、どれが最適なのかは個人によって大きく異なるため、最適解は複数になったりコスト的に無理になったりする。

なお、どちらの消費にも共通するものとして、「価値観」というキーワードがあると考えている。一昔前は「ライフスタイル」ね。
置かれている環境や理想とする自分によって、形成される判断基準といった方が良いかも知れない。

【追記】2013.12.09.
認知度ゼロのZIMAを人気ブランドに変えた ” ファスト・エクスペリエンス ” 戦法――モルソン・クアーズ・ジャパン #アドタイ

ドンピシャなのか確認できていないが、消費者の価値観という視点を持って、コミュニケーション戦略を打ち立てていると部分で、参考になると思う。
そこには、テレビCMで認知を上げようとか、費用対効果の高いネット広告に絞ろうとか、そういうメディアありきの発想ではなく(メディア・ニュートラルという立場ね)、消費者側に寄り添って考えて店頭販促という話なので、良いかと思う。

当たり前の話かも知れないが、商品を認知させるのも売り込むのも、広告だけが手段や方法ではない。

2013/12/03

ネット販売の限界というが現実も変わらない、楽天叩きか

楽天、尾を引く「不当表示」 問われる最大手の覚悟 日本経済新聞

新聞社は視点を持った取材記事(調査報道というカテゴリー)をもっと打ち出せば、ネットでも十分価値が出せると思うと提言しているが、どうも一歩踏み込みが足りないというか、記者もデスクも読者をうならせてやろうとは思っていないようだ。

さて、薬事改正の問題で三木谷さんが気炎を上げてから、雲行きは急に怪しくなっているのだが、ここを孫さんみたいに乗り切れるかどうか・・・。
確かに楽天のチェックは最低限というか、店子をすべて見切れるはずがない。楽天側は一人で何店舗ものコンサルをしなければならず、システムによる自動チェックも限界がある。広告審査をすると、違法表示やら根拠の確認できないセール価格など、叩けば叩くだけでてくる。
もちろん、不法違法は絶対ダメだし、広告を出せる売上を上げる規模ならば、それなりに改善や修正の出来る環境があるのだが、それは一握りの店舗である。

 だが、この現象はネット通販のモールだけで起きている事ではなくて、リアルの商店街やスーパーだって起きている事でもある。
いつ見ても閉店セールの衣料品店とか、路上で「さくら」を使った叩き売り(偽ブランド)とか、街を歩けば沢山あるのだ。

今回の問題の本質は何処にあるのか、つまり、ネットとリアルでの販売について深く取材して考察して欲しいのだ。
この手の問題は、ネットが悪い、というお決まりの決着になりそうだ。
いやいや、現実世界でも起きているし、その防止や対策の為に法整備や監視機関の設置、国民への啓蒙などを行政機関が税金を使って、数十年掛けてやってきたはずだ。
そこのところをカットしちゃダメだよ。

まぁ、近代の日本史とか学ぶ機会がないってのも問題なんだが。
(学校の授業でも現代に近くなるほど事業時間の関係でカットされるからね)

2013/12/02

NRI市場予測、だが未来は見えないWeb制作は厳しい

電子書籍市場、成長続き2018年に約5000億円規模へ――NRI調査 - ITmedia eBook USER

どうせなら、制作の市場も調べて欲しいものだが、元になるデータが無いから駄目だろう。
なんとなく、スマホからウェラブルデバイス(グーグルグラス、iWatchとか)が、デバイス市場では幅を利かせそうという読みだ。
プラットフォームというカテゴリーに入っている広告は、収益の多様化(実は、当事者だけが自己満足的に言うだけだが)によって増加することになっているが、まだ、ソーシャルゲームが伸びるというのは希望が持てるところがあるんだろうか。
企業のWebサイトの制作は、他の市場が伸びると連動して伸びるものでもない。
ウェアラブルデバイス用のアプリ制作とか、食い扶持を確保する対応も考える人もいるだろうが、いや、それは制作プロセスが多岐に渡って面倒になるだけ。
ソーシャル対応だって、とりあえずプラグインは入れたところで、あんまり金にならない上にクライアント側のメリットも打ち出せない。

電子書籍は離陸しそうで低空飛行のまま揚力を得られていないと思うんだが、企業の社史とかマニュアルで電子化されれば、副業的に儲かるかも知れない。
本流ではないがな。

効果測定の名のもとに、いろんなタグをサイトに仕込んでいるものの、アクセス解析してレポートを定期的に提出しているものの、何となく同じことの繰り返しになっていて、昔みたいに技術的な問題やデバイス対応などの「理由」が無くなったために、フルリニューアルっていうマイルストーンが無くなっている。
遠因には、過去に制作したページを換装する費用とか、フラッシュガチガチで作った製品ページとかどーすんのよって話もある気がする。
日本てば、iOSデバイスが殊の外多いからねぇ。





2013/11/29

呆れた政策、他山の石

「街コン」に税金使っていい? 政府の少子化対策で浮上

自民党が呆れた対象なのか、森雅子少子化担当相を筆頭とする一部が呆れた対象なのか、どっちもなんだろうが、社会人からやり直してもらいたい。
出会いがあれば結婚もするし子供も作ると、思い込みだけで物事を進めているとしか思えない。
ちなみに、厚生労働省 少子化白書など、調査や統計資料はたくさんある。国会の答弁を見る限り、この手の資料は見ていないだろうし、考える能力がないと思うが気のせいかな。

これ、会社の事業施策でも同じことが起きるんで、教材として取り上げてみた。

さて、このことを広告に当てはめて置き換えよう。
「店頭割引するのに、会社の販促費(クーポン)使って店舗に補助しても良い?」という話だ。(リベートを原資とした店頭割引など、現実にはたくさんのやり方がある)

そもそも、製品が売れない原因は何かという前提が間違っている。
この場合は「価格が高い」、「一度買えば、再購買する」という事になる。
このケースでアンケート調査をすると大体は価格に問題はない。
価格以前の問題になることが殆どだ。
「そんな商品知らない」「他と似たり寄ったり」「誰得?」という御三家である。

専門的な言葉で誤魔化すならば、「商品認知不足」「商品の差異化がされていない」「顧客便益が無い」ということになる。
価格は「認知され」「理解され」「比較・検討」の段階にならない限り発生しない。
むろん、このステップをブッ飛ばして「価格が安い」という強引な割り込みが可能であるが、「安すぎると危険な感じがして買わない」場合もあり、価格訴求は万能でも特効薬でもない。(出典を忘れた、申し訳ない)

で、商品そのものの問題と顧客とのコミュニケーション問題に分けられるが、厄介なのは作ってしまった商品そのものの問題だ。
良い意味(高品質)で他社製品と差異化が出来ていない場合は、見せ方で差異化を図ることも可能だが、 悪い意味(低品質)で特徴が無いのは致命的である。優れたマーケターであれば、(売り込む方法を編み出すことは)可能であるが人として如何なものかという領域に入るからだ。広告人としては、そんなことをして家族に購買をさせたいのか、自問自答すべき倫理的な話だ。(デイビット・オグリビーの「ある広告人の告白」を読んでね)

お金にはなるかも知れないが、商品として成立しないレベルのものは広告してはならないと思う・・・という個人的な思い入れは別としても、そもそも商品が駄目なら安売りしてもダメなのである。消費者が購買の体験を基にメーカーごと「断罪」を下してしまった場合など、もう、目も当てられない状況に陥ることは明白だろう。
通常、企業としての存続を考えるなら、そしてパートナーであるならば、静かに処分することを勧めて手を引くべきだろう。

なお、低品質でどうしようもない商品やサービスを売り込む場合は、どうしても誤魔化しや虚偽になる。誇大表現が目立ち、胡散臭さ満載となる。
景表法でこれを禁じているのは、伊達ではない。
広告は無いものをあるように見せかけてはならない。あくまでも、事実を基に新しい見方や考え方をもって商品の魅力を伝えるべきなのだ。

2013/11/27

ビッグデータと個人情報

第4回 パーソナルデータに関する検討会

いきなり何のこっちゃ、と思った人が普通。
これ、首相官邸のサイトに掲載されているもので、安部総理の肝いり政策の一つって奴ね。高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)という名称なんだけど、まぁ、そんなものがある。

ここで、ビッグデータをビジネスに使えるように「個人が特定されない情報は同意なしに取得できる」方向で話がされているそうだ。
技術的に特定されないのか、一定の条件で特定できないようにするのか、この辺りは詰まっていないようだが、二年後には関連法案の改正がされる予定だそうだ。

広告関係者でも業界団体で対応していた人、周辺のメンバーしか知らないようなんだけど、BTAでガイドライン作ったり行政の検討会で広告に対する誤解や偏見と闘っていたわけで、それは今後の続くんだなぁと感じた次第。
来年はいろいろありそうだ。

この問題の根っこは、ユーザー側の不信感の払しょく、それに尽きる。
制度やシステムも、それを裏打ちするものでなければならない。
そう、初期メンバーでの認識があったはずだが、今はどうなんだろう・・・。
コストや運営面から、事業者側の理屈をこねまくったりしてないよね。
先人たちの苦労を無駄にしちゃダメだよ~
と、一応言っておく。

2013/11/25

ネットサービスってテレビ広告が効くのか?

 「ヤフオク!」7年ぶりのテレビ出稿、過去最大級のプロモーションを展開 #ブレーン #アドタイ

という記事に触発されて過去を掘り返してみたりする。
たぶん、この当時(2000年)でネットサービス(ポータルサイト)の広告出稿について、データを記載してのレポートは、なかなかないはずだ。
波乗りペンギンも若かったので、つたない文章とまとめはご容赦。

http://www.advertrial.com/old/Marketing/special/TVspot-netbiz1.html

左上にコンテンツへのリンクがあるが、Y!JとLycosの二つのテレビキャンペーン効果検証である。結果、アクセス数は伸びている。
ま、今とは環境が異なるので、だから何だという話はない。

ただ、ちょっとだけ後日談を書いてしまうと、今なら時効だろう、テレビ広告は一時的なアクセスを伸ばすことは可能だったが、定着はしなかったのね。
これって、販促キャンペーンでも似たことが起こるんだけど、サービスの利用や購買が継続するのは広告によって起きることではなく、体験によって期待値を超えた場合と言える。
一度は広告で見たり買ったり使ったりするんだけど、その体験が顧客のイメージ通りなのかよい意味で裏切ったものでないと、二度目はない。
結局、その後はテレビ広告などマスメディアを暫く使わなくなったという事実、サービスの充実に前出の二社は舵を切ったのだ。
なお、実はinfoseek(現、楽天の検索エンジン)もテレビ広告やったんだけど、惨憺たる結果だったようで・・・。(あ、傷口に塩塗っちゃったよ。スマン)

話を戻そう。
ヤフーがオークションのサービスを広告するってのも、過去の担当が残っていれば、無料化という部分だけでなくUIやUXの改善を併せていたはずで、やっていないとしたら効果はさほどでもないだろう。
ここからは想像だが、利用者はPCの場合は競合サービスを使っているか、オークションに興味はあっても手を出していないと考えると、「レア物が買える」というアプローチで制作しているが・・・如何なものかな。なんとなく、優位性や差異化が出来ていないまま、上辺だけでキャンペーン仕立てにしてしまっているように見える。

【追記】2013.12.03.
 テレビ広告に走るネット企業―ブランド構築に重要な役割 WSJ

なんてタイミングの記事だ。ま、10年経っても、米国でも、結論は変わらない気がする内容である。広告だけでブランドが作れるわけじゃないんだけどね~