2017/01/28

主な広告会社とデジタル広告系の動向、適宜追加

2016年に起きた事件が何か影響しているのか、業績から見ていこうと思う。
2016年10月-12月の四半期決算で、何か分かればいいのだが、広告は多くの広告主が年度末となる3月や新年度に当たる4月という部分があるので、後四半期二回分は何があるか分からない。

■電通 2016年度 連結決算概況と次期業績見通し(261 KB)

増収増益。国内の四半期売り上げは4,143億円。四半期利益は582億円。前年同期比ではプラス。メディア別では新聞と雑誌が二桁マイナス。ラジオとテレビは前年をわずかに上回った。ネットは二桁プラス。
この時点では影響は何もなさそうだ。

労働環境問題「最重要は法令順守と社員の心身の健康」--電通・山本社長が会見 #宣伝会議 | AdverTimes(アドタイ)
https://www.advertimes.com/20170214/article244290/

労務環境改善のため、山本新社長は60~70億円の投資をするという話もあるが、業務のデジタル化は作業フローの見直し(BPRって覚えてるかしら)も伴うので、難しいと思う。
システム化するところとしないところの切り分けもあるんだけど、外部システムもしくはデータの取り込みにおける定義の違いを、単独では決められない問題がある。
まぁ、部分的なものにならざるを得ないと思う。

後は、人員の増強と研修などの人的投資に振り向けるのが順当かしら。
ただ、デジタル子会社として切り出したので、本社との連携部分では「つなぎ役」となる組織や人材が必要と推察する。
いれば・・・だけど。

あとは、グループ組織の再編が必要かも。
デジタル軸の整理ね。

■博報堂DYHD 2017年3月期 第3四半期連結業績 決算説明会資料

増収減益。売上高 8,977億37百万円。四半期純利益 185億10百万円(同2.0%減少)。
テレビが維持したが新聞・雑誌・ラジオ前年同期で下回る。
ネット広告は二桁成長維持。
海外の事業拡大は、金額規模的に思ったより動いていないような印象。

DACを中心にネット広告系は強さを感じる。
三つの広告会社であった頃からメディア部門を独立会社化した事が、結果的に良かったのかもしれない。
今度のHDYMPHDトップはDAC社長の矢島さんだ。デジタルをガンガン進めていくんだよね。

■ADK 平成28年12月期 決算短信

四半期ではなく年間決算、連結売上高は3,526億71百万円(前年同期比0.2%増)、経常利益は86億88百万円(前年同期比1.1%増)と、前年度並み。
国内は増収増益だが、海外は減収減益。
デジタルは205億円/年、構成比6.5%、昨対比19.4%と、マスがダメダメなのは総合広告会社ではおなじみの傾向。
ただ、ネット広告の構成比が低い。

説明スライドがないのでポイントが分からないが、たぶんない。
外部提携はあるものの、デジタル強化の目玉としてアブソルートワンの扱いは文中でパッとしないし、1-10デザインとも何かシナジーが生まれたという事もない。
ADKはアニメでレバレッジを利かせていたはずだが、その辺もなさそう。

◆サイバーエージェント 2017年9月期第1四半期決算説明会資料

業績は好調。
だが、メディア事業はamebaからabemaTVへシフト。
一旦捨てようとしたネット広告事業が屋台骨であることに変わりはない。
起業家であり経営者でもある社長の藤田さんで成り立っている会社であり、ソフトバンクの孫さんのように、後継者問題が法人企業としての危うさであると思う。

さて、年間250億円と換算される広告費の支出がカギだと思われる。
媒体社としての価値は、ここにあるともいえる。
年間百億円以上の広告主となると、100社程度になるので希少さは分かるだろう。
広告ビジネスの神髄は消えてない。

投資時期だという説明は、過去の実績数値とともに説得力がある。
一方、abemaTVは中長期的に、かつ、戦略的な取り組みと思えるのだが、これを評価できる指標が定まっておらず、模索が続いていると見える。
MAUやWAUまでは理解できるのだが、ギネス記録を出すのは頂けない。
テレ朝はパートナー企業として、どう接しているのか本音が気になる。
波乗りペンギンなら、止める。
株主に提示する指標データに出すのは、危うすぎるのだ。
コンテンツの充実はありだが、オンデマンド配信の機能実装は、他のメディアとの差異化が難しくなる方向に進んだと思う。
最初のコンセプトを堅持するのは、良し悪しは別にして困難であるが、期待していた側からすると残念なプロセスだ。
ちなみに、若年層の視聴が多いというのは、スマホベースなので差異化にはならない。
ちよっと、ネット視聴率データとリアルを比べれば分かるはずだ。

動画に期待する向きもあるが、通信と放送の溝は技術的な問題が解決しても、「マスメディア」するというインターネットというかスマホにそぐわないワードが記載されている(P45)以上、概念的に乗り越えられていないと推察できる。
マスメディアになるのが目標だったら、テレビ以上にはなれないよね。

◆オプト 2016年12月期第4四半期決算説明会資料

売上は174億円/Q、昨対比 +11.6%の伸長。営業利益は5億47百万円/Q、昨対比▲6.2%減益。経常利益は5億7千万/Q、前年比+16.0%と増益。資料17Pから事業の好調さをアピールする内容。

P52から電通との資本提携解消の話。
あまり突っ込めない。法律的な意味で。

新生オプト!?は新しい価値創造をビジョンに掲げる。
デジタルでやっていくという話だが、数年前にCA藤田さんが自社の強みはデジタルなんだよね~って話を後追いした感じがする。

期待したいのはP37,P38の地方中小企業開拓。これは、手つかずというより事業的に美味しくないので大手が地域ネットワークを使って開拓できなかった部分でもあるが、かといってグーグルに大半の利益をもってかられるだけ。
運用型広告がメインでは厳しいと思う。時間と人材をかけられるのかどうか・・・。
経営的には売り上げ拡大を望めると思うが、事業利益率はマイナスの可能性も高い。
これはデジタルに限らずだが。


増収で先行投資へ突入。減益
海外は苦戦しているらしいが、スマホ広告と動画が伸びている国内でカバーできているように見える。推移(P11)をみていると、停滞期か。
他の事業は投資時期ということで、広告事業だけが頼り。
そのネット広告業界で影が薄くなっていないだろうか。
マーケットをけん引する側って、営業セミナーとか直接利益にならない部分での活動量に、比例するとは言えないが、関係すると思う。
余裕がなくなると、できなくなるというか、やらなくなる。

ネット広告では海外が四半期で20億円、国内が164億円。
動画広告の制作体制の強化(p13)という記載があるが、ピンとこない。
制作というのなら人員なのかシステムなのか、その辺りが見えない。それと、動画って静止画のバナーとかテキストと違って、編集があったりしてコスト的に厳しいところもある。(カット割りとか、テロップとか、端末によっては変えなきゃならない。)
効果指標についても課題も多いしね。


●ヤフー プレゼンテーション資料 (PDF 673KB)

業績は絶好調。四半期で2,213億円と年間一兆円突破もカウントダウンになってきている。
ヤフーショッピングの出店無料モデルによるシナジーを狙った形だが、大成功じゃないだろうか。

一方、事業は「マーケティングソリューション事業」「コンシューマ事業」「その他」三つに分けられているが、広告で成り立っているところは変わっていないのではないか。
ゲームの課金という部分は記載はないが、決済事業は手数料もあるので収益基盤として、ヤフーショッピングの成長に比例して伸びるのだろう。

これだけ業績を伸ばしていながらも、業界で相対的に影響力を落としているように感じるのは何故だろう。


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