2015/10/08

結局のところゼネラリストが不在

ネット広告は、もはやシステムで管理しなければならない程、膨大なデータと向き合うようになって久しい。
市場が大きくなるにつれ、専門職が増えている。
インフォメーション・アーキーテクトとか何する人か知ってる?

そんな中でアナログでもデジタルでも「スペシャリスト」が増えてくると問題になることがある。
コミュニケーションの問題は一時的なモノだが、チームが大きくなれば会議で共有される情報も受け取り方や理解度が異なるワケで、少数精鋭でやっていた頃の様に「あ・うん」の呼吸で片付けようとすると破綻するわけで、効率を重視すると役割分担して機能的に動けるようにするしかない。
うん、仕事ってどれも同じだよね。

で、問題はココから先の話。

専門家集団になると言語が変わって思考も変わる。
やはり、営業は広告主に染まるし、メディアは担当する業界や媒体に染まる。
エンジニアは合理的だし、制作は感覚的だし、アナリストはロジカルになる。
それが求められた役割であったりすれば尚更。
問題は、それぞれに合せた説明をしないと、方向がバラバラになること。
これを避けるには、知識と経験のオーバーラップをさせて共通言語を持たせないといけない。でも、離職率が高い・・・中途採用ばっかりやってると、知識も経験もバラバラ。

そして、デジタルしか知らない、デジタルがわからない、マスメディアの経験がない、販促の経験がない、印刷の経験がない、そんな人が集まることになる。
幸い、広告主側も異動ローテがあって状況は同じなので、あまり問題視されていないけど、全体として筋の通ったマーケティングができるのか?
ということを考えていくと、各スペシャリストと話ができるゼネラリストが必要とされ、いずれ統合される方向に流れが変わると思うのだ。
マーケターがゼネラリストにはならないかもしれない。

広告の過去を見ると、クリエイターから生まれるはずだ。温故知新。(意味わかんないと思うけど、アカウントプランナーって立場があるのよ、でもネットで検索すると説明が足りてない。まぁ、本が一冊書けることなので仕方ないし、欧米のスタープレーヤーに密着しない限りは知りえないことだったので、書籍も少ない。すまん、俺の知識というか情報源は書籍からじゃないんだ・・・。当時、一般的に公開されていた書籍は一冊だけ覚えている。青山学院の小林先生が執筆した本だ。)
もう、数人が活躍しているから、そう遠くない未来だと思う。
みんな、大手の総合広告会社出身というか職歴にある人たちだったりするんだが。
こればっかりは、ある程度の期間で網羅的に経験できる環境が整わないからなんだけど、仕方ないよね。それは昔も今も変わらない。
年間予算1億円と100億円じゃできることも全く違うし・・・。

もし、転職できる能力がある人は、なるだけ大規模な企業にいって経験してほしいと思う。
そして、過労で死なないように。

2015/09/02

前代未聞の大失態、五輪エンブレムの使用中止

「五輪エンブレム新たに公募」 組織委、佐野案は使用中止  #アドタイhttp://www.advertimes.com/20150901/article202193/

深刻な事態に発展してしまったわけだが、舞台裏は業界関係者なら想像つくはずなので省く。大変だな、Dさん。いや、オリンピックに向けてはHさんの方が大きなビハインドを背負ったと考えるべきだろう。

さて、一部の報道にもあるようにスポンサー問題。
読者の方にも掲載エンブレムの緊急差替え、広告の出稿停止やら原稿差替えなど、四苦八苦された方も少なからずいるはずだね。
でも、デジタルは短時間対応が可能だから、まだ良かった。

大変なのはリアル世界の制作物。
店内装飾やPOP、商品パッケージ、パンフやチラシ、看板やポスターなど印刷が絡んでいたり、物理的な制約で対応に時間と費用が掛かってしまう。

通常、タレントを使う場合はリスク管理の手法として、差し替え原稿を事前に用意しておくんだけど、五輪のエンブレムが使えなくなるなんて想定は難しい(でも、直前対応で準備はしたはずだ)わけで、雑誌などの印刷メディアは出ちゃうんだろう。

はて、この費用は誰が負担するのか。
そうです、五輪組織委員会を通じてIOC負担のはずですが、そう簡単にはいかないはず。
スポンサー費用の減額か実費負担が落としどころだろうが、巨額費用が掛かる大イベントなので、億単位の世界だ。胃が痛くなるを通り越して死んでしまいたくなる。
運営費を調整してねん出することになると思う。
もちろん、過去に例が無いはずなんで、どうなるかは分からない。

あと、責任問題の行方も気になる。
どう飛び火するのか見えないが、人が変わるとゼロから組み直しの人間関係やら運営の見直しが入るわけで、時間もないし金もなくなっちゃう。
早く清算しないと次の一手も打てないのだが、政治も絡んでるから(誰に責任を取らせて、誰に次を任せるかという事だけど。)、お沙汰が出るまで悶々とした日々が続きそうだ。

最後に、国立競技場に続く失態で、ブランドが毀損された五輪と日本の名誉挽回が出来るのか。成功すれば、開催後にドキュメンタリー番組(プロフェッショナルの仕事?プロジェクトX?)が作られると思うが、窮地からの復活劇を期待したいところだ。






と、当たり障りなく書き終えたところで、蛇足を付け加える。
普通のデザイナーとかで著作権法とか知っている方が珍しい気がする。
もちろん、社内研修とか業界団体セミナーで定期的に「著作権」はやっているはずだ。
会社により異なるが、大手だと受講必須となっている。
パクリとパロディーの違いとか、著作権的に考えるなんてしないしね。
国によっても著作権の効力が及ぶ年数も違うくらいは知ってるはずだが・・・。

ちなみに、SNSのプロフィールで使っている画像とか、パクっている人は著作権を知らないと思う。
波乗りペンギンのアイコンは作者のNagaiさんから使用許諾いただいて使っています。
 というか、わざわざ作って頂いたんです!

2015/08/11

広告賞の取り方

つくり手が意識を変えれば、賞は獲れる——電通 澤本嘉光さん #ブレーン
http://www.advertimes.com/20150807/article200068/

カンヌは審査側に回ったことが無いし、裏側を見てないので知らん。
しかし、国内ならあるぞ。

どっちにしても、賞を獲るつもりなら広告主と「そのつもりで」企画から組んだ方が経験上、良い思う。
これには、理由が幾つかあるんだけど、ビジネスマナーとして、という大人な見解を書いておくことにしとく。

それから、いきなりカンヌとかスパイクス、ワンショーとか海外を狙うんでなく、国内で経験してからがおススメ。
やってみないと分からんと思うが、応募するには準備が必要だ。
企画意図とか、結果とか、客観的な材料も含めて必要なので、関係者間で確認しなきゃならない。特に、広告効果やプロモーション結果は、広告主のものなので、代理店や広告会社が勝手に出せるものではないし、出さなきゃ応募は出来る程度でやるだけ無駄だ。

さらに、フォームにテキスト打ち込んで終わりだと、国内はともかく、ファイナリストは難しい。
プレゼン用に特別制作したビデオ(動画)が必要だ、英語の・・・な。
国内でも、ほとんどが動画によるプレゼン資料が付いてくるのが普通だ。

とはいえ、国内の広告賞は「入門者にやさしい」ので、団体で主催しているものは狙ってみると良いだろう。
なお、応募する前に、主催者説明会に出るか、担当と会ってレギュレーションや傾向を聞くという手間を惜しまないと、良いことが起きやすい・・・らしい。

乗っ取られました、すみません。

2015年8月8日。
twitterのアカウントを乗っ取られた。
リンク先はコピー商品のECサイト。
ロクなもんじゃねぇが、これがネットの実情。

パスワードの変更をして、インチキ商品へのリンク投稿を全削除して、先ほど復旧。
うーん、端末指定認証(通常はモバイル端末、スマホが多い)とかあると便利なんだがなぁ。

幸い、というか業務用端末の修理に出した時、すっかりパスワード忘れてて、再設定していたので、被害拡大せずに済んだ。
盲点は、あんま使っていないtwitterで、これだけ抜けてたんだよね。

さて、他にも同様の投稿をされている人が、おすすめ、でタイムラインに表示されるんだけど、二次被害だな。
この影響は当面続きそうだ。
はぁ・・・。

2015/07/27

今更のキャリア3社の決算

携帯大手3社の決算比較から考える競争力 - ケータイ Watch
http://k-tai.impress.co.jp/docs/column/mca/20150522_702981.html

もはやガラケー時代と異なり、キャリアの動向がモバイル広告に与える影響は無視できるほどである。キャリアレップも死語となり、絶滅した。
では、なんで取り上げるのかという事だが、実はソフトバンクがインモビなど海外のモバイル広告配信プラットフォーム企業を買収しているのだ。
上手く行っていないようだが、ソフトバンクは海外へ軸足を移しているので、その流れの一つだろうとは思う。
ロボット事業が将来主軸になるそうなんで、間繋ぎ程度のことかもしれないけどね。

ドコモはリアル系企業を買収しているが、本体とのシナジーは???
過去の株主説明会で5千万契約という資産を有効活用するためだと言っていた気がするが、マーケティング的に間違ってしまったような気がしているのは波乗りペンギンだけだろうか。
おそらく、ボリュームゾーンの消費行動に合せたはずだが、食材宅配とか通販とかマスを生かせるものではなく、dメニューを増強するにはコンテンツとして開発されていないし、ベンチャー投資との連動も感じられない。
やはり、総合プロデューサー不在が大きいのだろう。
これだと、ユーザのロイヤリティは下がり、アクティブなほどドコモのサービスから離脱若しくは疎遠になる。メディアとして見た場合は影響力の低下が起きる。(利用者数が大きくても影響力が無くなることがある。社会現象となるブームも、対象は数百万人程度だったりするわけで、難しいのだ。)
ここから先は言わんでも良いだろう。
対策はない。

KDDIはズルいほど上手くやっている。
iPhone取り扱いと同時に攻勢を掛けて、有線回線とのセットで離脱率を抑え、2年するとキャンペーン価格の期限が切れて収益を押し上げる。
有線契約が絡んでいるのがミソで、通常の解約と異なり面倒だ。
ちなみに、波乗りペンギンもその一人。
年収が毎年下がっているだけに、面倒とは言ってられない状況もあるので、ドコモのお帰り割りでも使おうかと考えている。
それと、ベンチャー育成はドコモに比べると成果は上がっているようだが、ソフトバンクには全く歯が立たない。
会社の設立背景や株主を考えるに、やりようは有る気がするんだが、大人の事情なので深くは突っ込まないでおこう。

で、MVNOが数年で伸びているんだけど、海外に比べると数的には足りない。
うーん、個人的にはMVNOとかMNOとか増えても、最終的なユーザ側のメリットが見えないんだよね。
一方で、企業側はメリットが見え始めているようで、DMMとか楽天とか後ろに何やら、ちらちら見え隠れしている本体事業とのシナジーが見て取れる。
こういうのが拡大すると、広告って先が無いように見えたりするんだよね。
ポイント上げるから広告見ろなんて話が始まっちゃうからさ。

2015/07/17

コードアワード2015贈賞式

ヤフートレンドコースターほか秀逸なデジタル施策が集結——コードアワード2015贈賞式が開催 #宣伝会議
http://www.advertimes.com/20150717/article198285/

ちょっと縁があっての参加。
残念ながら前半だけとなってしまったが、アワードらしい演出で良かったんじゃないか。

さて、受賞作品は公式サイトに掲載されているので、そっちをみてちょ。
他のアワードにも間接的には関わってきたのだが、まぁ、アワードって難しい。
一定のレベルを超えた作品になると、優劣の基準が「より主観的」になるからだ。
誰の主観?そりゃ、関係者と審査員。

今回のグランプリは、ヤフー トレンドコースター
審査員長によると”消費者にデジタル体験を提供する側の「クリエイティビティ」を競う賞”らしいので、その代表作といったところだろう。
ギミックも素晴らしい。
だが、なんか違和感あるんだよね。

ベストイノベーションとパブリックベストのダブル受賞した フリー素材アイドル の方がしっくり来るんだ。
もちろん、控室でMIKA★RIKAが緊張の面持ちで壁に向かって並んで座ってる「かわゆい」姿を見たからじゃなくて。
デジタル=インターネットではリアル体験部分(ジェットコースターのバーチャル装置)が造形物として中心に立っているより、生身の人間がインターネットで仮想的に盛り上がっていく方が、0と1の世界にありうるべき世界なんじゃないかと思うワケだ。
広告予算0ってところもな。

いや、主催のD2C的には広告費が掛かってないものをグランプリにできねぇという、話は一切ない。もはや、広告アワードではないから。
だとすると、何処を目指してるんだろう・・・。
ヤフーのインターネットクリエイティブアワードは広告だけど。

そんなことを考えながら、うっかり名刺入れを落としたことは内緒だ。

2015/07/15

会社をつぶす社長・・・潰れる会社

帝国データバンクが明かす「会社をつぶす社長」の10大トレンド ――藤森徹・帝国データバンク情報統括部長|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/articles/-/74861

今回のネタ元は帝国データバンクの出版PR絡みの記事。
タイトルが刺激的だったのと、波乗りペンギンもネット界隈の社長さんと少ないながらもお付き合いがあったので、自分の知見と照らし合わせようと思った次第。

さて、内容は確かに思い当たる節がある指摘が続くのだが、節操なく社員を切る経営も会社を弱体化させるし、離職率が高い会社も危機的状況に陥る。
ベンチャーは顕著なんだけど、少人数で個々の能力で成立しているので、誰かが欠けると業務が回らなくなるのよね。
特に営業よりもバックオフィス側で、フロントを支えている人が居なくなるとボディーブローのようにジンワリ効いてくる。
それをカバーするための業務改革とか業態変化は、結局何のカバーにもならないんだけど、その部分までは踏み込んでないな~。

でも、中小企業の経営者の高齢化、跡継ぎ不在により会社が無くなるケースが増えているというのは気になる。

帝国データバンク 第7回:全国「休廃業・解散」動向調査(2014年度)
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p150408.html

うーん、レポートを読む限り推測に近い書き方なんだけど、統計分析的にはアリなのか?
ただ、経営者の高齢化は後継者がいないという問題もなんだが、IT化に対応できない経営者側の問題が未だに続いているのではないかと想像させるものがあり、思ったよりもネット広告が東京以外では伸びてないと感じるのは、この辺りにも原因がありそうだ。

帝国データバンク 業界動向(天気図)
http://www.tdb.co.jp/report/industry.html

で、そんなネット広告は「晴れ」な予想らしく、自分の周りを見ると曇りがちなんだけどなーなんて愚痴が零れてしまう。
広告主となる各業種が盛り返してくれれば、俺の首(ペンギンの首は長い)も、もう少し繋がってくれているだろうか。


帝国データバンク 倒産集計 2015年上期
http://www.tdb.co.jp/report/tosan/syukei/15kami.html

ということで2015年上期を見ると、倒産件数や金額は減ってきているようで、数字上は改善に見えるが政府のテコ入れによる融資増強が延命させている会社もあるわけで、安心材料になるわけでもない。
会社の運転資金に回って、広告には流れてこないもんね。

帝国データバンク “本業”の現状と今後に対する企業の意識調査
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p150703.html

じゃ、どーなんのよ、という意識調査があったので読む。
伸び悩む本業からの脱却・・・あれ、デジャブ。(すまん、独り言だ)
いや、意識はともかく成功する会社は少ないんだけどね。
特に「広告」は変化継続中であるというのがレポートからも読み取れる(PDF 3P)んだけど、電博2強が変わらないので、茹でガエルみたいな気分である。

帝国データバンクの資料を見ながらの話はココで終わり。

それで日本最大の売り上げを誇る電通は何処に行こうとしているのかと言えば、資料を見る限りよくわからん。
海外の売上比率を高くして、日本の市場シェアを上げて、デジタル化していくようだが、問題はどうやってなんだけど・・・、買収?

次にHDYHD、決算説明会資料を見ると電通より明確に書いてある。
うん、「生活者データ・ドリブン」ね。
中期経営計画の先はないけど、電通と方向はおんなじようだ。

大手がデジタルに巨体を振り向け始めたが、回頭が終わるには時間が掛かる。
広告主もデジタル対応に向けて、ようやく手を付け始めた(Web広告研究会のメンバーは先駆者であり、数的にもごく一部なので、そこを基準にしてみると痛いぞ)ころなので、丁度いいのかも知れない。

とはいえ、オリンピックが開催される2020年を境に、デジタル対応(するにしても、しないにしても)によって潰れる会社は激増すると思っているんだが・・・。

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デジタル対応ってパソコンが使えるというリテラシー的な対応って意味じゃなくて、マーケティングのデジタル対応と噛み砕いた方が良いだろう。
販売データとか顧客データとか、中小企業でも活用している例は沢山ある。
でも、俗人的なんだよね。
人材育成とか数年や掛かるんだから、今から始めてないと間に合わない。
で、組織体制とか研修とか人事のキャリアプランとか、結構手を入れないといけないんだけど、そこまでやれている会社は多くはない。
コストが掛かる事(人財投資)、だからね。