2021/11/03

2021年7-9期の広告会社四半期または2021年度決算

 緊急事態宣言も終わって、感染者数が激減するも理由は不明という不気味な今日この頃。

○サイバーエージェント 決算説明資料

通期売上高: 6,664億円 YonY 39.3%増
通期営業利益: 1,043億円 YonY 3.1倍

ウマ娘で激増の営業利益、主軸の広告事業も増収増益だ。

通期 広告事業 売上高: 3,213億円 YonY 19.3%増
通期 広告事業 営業利益: 225億円 YonY 7.1%増

で、P13にある利益率の推移補見ると、7.0%に下がっている。
売上は増えているので、利益額も増えているんだけど、2018年8.7%から1.7%落ちている。
ネット系なので利益率は15%以下になるのは仕方ないのだが、良い商売とは言い難い状況になっている。
ということで、P17の拡大施策ということだろう。どっかの会社も、こういった手の打ち方は参考にした方が良いんじゃないか。

連結売上高 4Q 1,797億円 (YonY 48.7%増)
連結営業利益 4Q 268億円 (YonY 400.4%増)

四半期で見ても、ウマ娘で跳ねてしまっているので、数字としては参考にならない感じ。
これ見ると、ヒットしたコンテンツの収益力が恐ろしい。

○セプテーニホールディングス 2021年9月期 第4四半期(通期)決算説明会資料

こちらは、電通グループの増資後(52%)に子会社になる。
電通Gでの立ち位置というか、役割がどうなるのか気になる。電通デジタルとか、カルタホールディングスとか、電通テックとか、似た役割と機能があるからねぇ。

以下、決算短信より抜粋
売上高 976億円  前年比27.6%
営業利益 36,5億円 前年比60.5%

決算説明会資料のP8にあるとおり、電通からの取扱いが太くなっている。
また、クリエイティブの外注費が増えているようなので、制作部隊を抱えて内製化するという方向もあるだろう。ということで、電通ダイレクトに制作機能はあるのか?
P32には、ダイレクトマーケティング領域に出ていくようなので、ここが役割ということになるのかな。


2022年1月にグループ再編だそうで、HDが直接子会社を監督する組織になる。
運用型テレビCMのテレシーは、順調なようだ。ナショクラも積極的に利用するようになると世界が変わりそう。スポットを打ちまくる大型キャンペーンとか、ちよっと、今後は想像できないんだけどね・・・。
あとは、コンシューマー事業で1,000万人規模の媒体が欲しいところ。

売上高   :58.3億円(前年比+12%)
売上総利益 :52.1億円(前年比+14%)
営業利益  :  6.1億円(前年比+4%)
EBITDA   :  9.6億円(前年比+25%)

〇博報堂DYホールディングス 2022年3月期上期決算説明資料

グループ全体では復調して、コロナ前を上回る。
「計画の前提となる経済/広告市場の見方に大きな変動が生じたため、中期経営計画の数値目標は取り下げ」なので、第六波を考えると手放しで喜べる状況でもない。
HDなので細かいことは書かれていないが、デジタル事業に関して1Pだけというのも寂しい。
あと、アドウェイズにHDYHDからも資本を入れるとのこと。HDYMPと合わせて議決権ベース15.42%になるそうだ。

2022年3月期第2四半期 全体 P16より抜粋
売上高 3,344億円  前年同期比 +22.5%
売上総利益 884億円  前年同期比 +35.9%
営業利益 161億円  前年同期比 +1053.1%

 地域別業績(日本:投資事業除き) P19より抜粋
売上高 2,912億円  前年同期比 +19.0%
売上総利益 678億円 前年同期比 +30.2%
営業利益 196億円 前年同期比 +170.6%

〇電通グループ 第3四半期 説明会資料

山本さんが退任し、五十嵐さんへ社長をバトンタッチするとのこと。
電通コーポレートワンを設立し、パックオフィス系を一元化。
「通期の業績予想を上方修正。2019年度比で、売上総利益はプラス、調整後営業利益は20%以上成長の見込み。」ということで、好調。

全体 第3四半期
売上高 13,227億円 前年同期比 +29.8
売上総利益 2,558億円 前年同期比 +32.5

電通 日本国内
売上総利益 1,165億円 前年同期比 +51.6

電通 日本国内 第3四半期
インターネット売上高 735億円 前年同期比 +35.6

以上




2021/07/30

2021年4-6期の広告会社四半期または2021年度決算

 東京五輪は開催されたけど、緊急事態宣言下の東京。コロナ感染は拡大と日本代表の活躍で、悲喜こもごもの日々。

○サイバーエージェント 四半期決算資料

もう、ウマ娘でフィーバー状態。

売上高: 1,922億円 YonY 70.3%増
営業利益: 445億円 YonY 5.4倍

広告事業だけ見ても伸びている。売上で前年同期比3割アップ。
P16で売上推移をみると、コロナ前の水準を上回っての過去最高とのこと。すごい。
ただし、P18の営業利益をみると、利益率が6.4%と低下している。
効率が悪くなっていそうだが、P20でのAI自動化で運用広告は労力をかけなくて済むようにしそうだ。

売上高: 818億円 YonY 27.3%増
営業利益: 52億円 YonY 9.7%増

人員も新卒が入って約6千名。大企業だ。

[連結役職員数] 6月末 5,958名 (4月に新入社員300名入社)

気になるのは、メディア事業かな。AbemaはDL数は伸びても、売上と利用者数が伸びていない。媒体力は何人が見ているか(アプリを使っているか)が大事だが、細分化されているネット世界だと、集客力のあるコンテンツを自前で用意するのは大変だ。

○セプテーニ・ホールディングス 決算説明資料

2021年9月期第3四半期
収益 159億円 前年同期比 23.1%
営業利益 32億円 前年同期比 153.1%

デジタルマーケティング事業、つまりネット広告は

収益は14,036百万円(前年同四半期比23.9%増)、Non-GAAP営業利益は5,348百万円(前年同四半期比52.6%増)

かなり伸長している。だが、P15見ると営業利益率はガクッと落ちている。
前四半期が41.1%→30.8%と、低下している。しかし、コロナ前を上回る数字であり、実数で見ると復調したとみるべきか。もっとも、P17で電通からのテコ入れが効いているからだろう。

課題は、広告以外をどうするか・・・。

〇博報堂DYホールディングス 決算説明資料

売上高 3,236.8億円 前年同期比 +26.6% 前前年同期比-2.0%
売上総利益 750億円 前年同期比 +26.6% 前前年同期比+7.3%

と復活。コロナ前に戻った感じだ。
メディア別(P7)見るに、テレビが伸びてネットも伸びている。
リアル系の比率が高いはずなので、人出が戻ってきている感はある。
感染者は爆発的に増加しているけど・・・。(執筆時点の2021.8)

広告主業種は、情報通信が突出して伸びているが、テレワークや楽天参入に5Gと宣伝合戦になっているタイミングなので、しばらくは出稿量も落ちないはず。
とはいえ、メディアでは雑誌だけが落ち込んだままだね。

〇電通グループ 決算説明資料

売上高  12,270億円 前年同期比+31.6%
売上総利益  2,180億円 前年同期比+20.0%

日本だけで見る(P49)と、テレビとインターネットが二桁で伸びて回復。
なんか、五つの輪っかの影響が見える気がするメディア別は今一つな感じだ。
同じく日本の広告主の業種別を見る(P50)と、食品・飲料・嗜好品が最も大きく、次に情報・通信・マスメディア・ソフトウェアとなっている。
海外と比較(P51)すると、業種の伸び率が違っているので、日本と海外の経済回復の違いが見える気がする。(※国によって違うので、海外でまとめると、気のせいになる。)

〇カルタホールディングス 第2四半期決算資料

売上高 6,146億円  前年同期比+18.9%
営業利益 1,265億円 前年同期比 +73.5%

コロナ禍前より売り上げ利益とも上昇。(P8,P11)
広告事業系は好調だが、コンシューマー向けが厳しくなりつつある感じだ。
統合から二年が経ち、数字を見る限り上手くいったのではないだろうか。

これから、個人特定ができなくなる環境(2022年4月)に向けて、広告配信は先行きが見えない(P41)ので、広告以外の柱はやっぱり大事だと思われる。

〇デジタルシフトHD 第2四半期決算説明会資料

売上高 192億円 前年同期比 +7.4
営業利益 -5.97億円

デジタルシフト事業、つまりDXへ主軸を変えつつあり、四半期の営業利益はマイナスになったが、1Qで利益を出しているので問題はなさそう。(P16)
DXのプラットフォーマーになろうという理解で良いのかわからない(P21,P22)が、広告を配信するのか情報なりコンテンツを配信するのかって軸で言えば、同じなのかもしれない。
ただ、結局はシステムは自己増殖してくれないので、人が問題になってしまうんだよね・・・。

広告事業は一桁前半台の伸び率(P11)になっているが、地方が主軸のソウルドアウトは厳しかったんじゃないだろうか。コロナが収束しない限りは、今後も続くだろう。


以下、適宜追加。

2021/07/20

何故に。東京五輪はトラブル続きなのか・・・と、トヨタの判断。

 コロナ禍で一年延期からの叩かれまくりで東京五輪が開催される。
もはや、一週間前を切った状態で

小山田氏が音楽担当辞任 過去のいじめ発言、批判浴び―東京五輪〔五輪〕

時事通信の記事を選択したが、末文が効いている。同期時から抜粋すると、

大会の式典をめぐっては、クリエーティブディレクターの佐々木宏氏が出演候補者だった女性タレントの容姿を侮辱する演出案を出したことで批判され、3月に辞任している。

ちなみに、新国立競技場の設計問題やら、エンブレムの問題やら、どこぞの企業みたいにトラブル続きである。どうしてこうなった・・・。

一方で、読売新聞オンラインでは

五輪テレビCM、味の素は「流すかどうか未定」…最高位スポンサーのトヨタは見送り

スポンサーであるトヨタが、五輪用のCM放映を取りやめたという。
また、開催地である東京が、緊急事態宣言下であることからスポンサーの一部は参加を見合わせたとのこと。

リスク管理という点では、トヨタの判断は素早かった。
取るべきリスクを把握しているわけで、他のスポンサーは協賛費の元を取ろうというリスク管理になっている気がしているのだが、大丈夫だろうか。
調査時期にも因るが、概ね日本国民のうち、
開催に対してい否定的:開催はやむ無し、が拮抗している感じだ。

そもそも、広告ってヘイトを稼ぐためにするものではないからね。
確かに、表現的にはインパクトを与えるために突飛な演出で話題を作る手法もあったが、インターネットの登場によって、マイナスの感情が増幅され易い環境に変化したのだ。
(※生活者が発信力を持った一方で、企業側の情報発信力は相対的に低下したと思う。)

組織委員会が何とかしてよ、というのがスポンサー側の気持ちだろうけど、開催にネガティブなメディアや生活者が狙っている状況なので、今後とも神経を使うだろう。
現在のトレンドだと、生活者の購買体験をよくするといったCX視点を重視したマーケティング活動が増えているので、流れで判断する必要があると思う。


2021/06/11

アフィリエイト広告等に関する検討会の開催

 どうやら、アフィリエイトは提携販売ではなく、「成果報酬型の広告」としてfixされて規制対象になったようだ。

第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2021年6月10日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_003/024308.html

いわゆる法令違反のデパートともいえるアフィリエイト広告は、検討会の資料にも事例が上がっているような状態だ。
管理できない広告主にも、開き直っているアフィリエイターにも、相応の法的な処分が及ぶ方向

この先に、炎上動画で稼ぐユーチューバーとかタレントも、規制対象になるのだろうか。
ん?広告関係してないから飛躍してるって?

いやいや、広告収入はガッポリ入ってますやん。BANされない限り。

2021/06/07

YouTubeプレミアムのCMで広告はユーザに不都合な存在と訴求

 インターネットにおける広告はどうあるべきなのか?
環境が変わりつつある事象の一つです。
徳力さんが記事にしてます。

議論を呼ぶYouTubeプレミアムのテレビCMから考える、動画広告の未来

これをテレビでやると、広告会社とスポンサーが激おこ、になるのだが、ネット広告ではならない。もう、この時点で世界は変わっているということだ。
昔、トイレはCM中に、と発言したタレントとテレビ局が謝罪したなんて話もあった。

一方で、解決できない課題もクローズアップされてきた。
・「アドフラウド」「ビューアビリティ」「ブランドセーフティ」のアドベリフィケーション
・ユーザによる広告ブロック、嫌悪感の増大
・ネット広告によるウィルス感染(マルウェア)、犯罪への間接関与(資金供給)

いやいや、ネット広告じゃなくても課題だよって分かってらっしゃかる先達たちは、もう少なくなってしまったかな。

たとえると、課金したら広告がなくなるというのは、書店で販売されている雑誌や新聞だと広告がなくなるということだ。
テレビだと、国営は受信料、民法はCMが収入になっている。そして、ネットに通じる部分としては、受信料を徴収している(課金している)国営は広告は流さない。(過剰なほど、企業の宣伝になるところは消してましたが、現在は緩い気がする。有名なのは、山口百恵のプレイバックパート2の歌詞。)

で、購読料を取っていながら広告も載せている紙媒体ですが、どういう理屈で広告を掲載しているのか気になって調べた人はいるのかな。
今まで見たことないなぁ。(※波乗りペンギンは口頭で教えて貰ったことはあるが、その根拠となる文章とか記録は入手できなかった。)

ということで、購読料/視聴料/課金と広告の関係は媒体社の収入の問題でもあるが、編集/記事/編成と広告といった主権だったり、広報と広告といった分類だったり、曖昧としていたものの明確な境界線が求められていることでもあると思う。
たぶん、この議論ができる人は多くないんじゃないかな。
もっとも、生活者から見た場合は、「騙すな、嘘つくな、馬鹿にすんな」ということで片付けられることだろう。

2021/06/02

一般社団法人 デジタル広告品質認証機構

 時間を要した3団体によるJICDAQ設立。

サイトはこちら

広告主側のイベント記事なんかもある。

ネット広告の不正問題から身を守るには? デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)の設立の背景と狙い
https://webtan.impress.co.jp/e/2021/05/11/39623

問題は、アナログ媒体と違って目視確認できないインターネット広告の特性にあるのだが、根本的な解決策はない。

■自己申告でOK

媒体や配信会社は、第三者の検証が必要なレベルと自己申告の二階層になっている。(※細かくは海外認証があるので三階層)
広告主については、賛同を表明するだけである。

参照 https://www.jicdaq.or.jp/information.html

まぁ、やらないよりは、やった方が良いといった感じがする。

■厳しくすると、悪貨が良貨を駆逐する

実際問題、第三者が検証したものをホワイトリスト形式で管理し、広告主にも発注制限をかけるとなると、この枠組みに入ると共倒れになってしまうのだ。
そのため、確信犯的に登録しない事業者(ネットは海外との境がない)との競争で、負けないようにしておく必要がある。

プラットフォームをGAFAに取られてしまったので、これ以上の打ち手はないともいえる。

また、某国のようにネット回線を遮断できる政府であれば、法律で規制して強制的に海外との制限も可能なのだが、これができない。
下手に国内の規制をすると、海外から好き勝手されるだけになる。(あ、今と変わらないか・・・)

むむっ。

2021/05/31

2021年1-3期の広告会社四半期または2020年度決算

 ○博報堂DYHD 2021年3月期 決算説明会資料

昨年よりマシになったけど、ネット広告でプラスにならなかったのは残念なところだ。
ただ、資料は通期で第4四半期の数字がP19の補足資料までページ送りで面倒だ。

日本4Q 売上高 3,650.07億円
日本4Q 営業利益 825.44億円 

日本売上高 通期 11,431.03億円 対前年-158,287 、-12.2%
日本売上総利益 通期 2,465.39億円 対前年-14,332 、-5.5%

インターネットメディア
日本売上高 通期 2,470.68億円 対前年同期比 -7,497 、-2.9%
日本4Q 売上高 749.84億円 +7.0%

ネット系広告会社は二桁の成長になっていることを考えると、総合広告会社系は構造的に動けなかったところがありそうだ。 

P23以降に業種別の回復がグラフで見られるので、市場には追従していると思える。
ただ、コロナ禍によって各業種業態が変革をし始めているところもあり、また、変革ができずに低迷しているところもある。
三度目の緊急事態宣言からの延長、オリンピックで盛り上がらないとすると、今年も厳しい状況になりそう。

○電通グループ IR財務資料ページ

湿った雑巾なら、搾れるもんなんですよ。

日本4Q 売上高 4,487億円(前年同期4,976億円)
日本4Q 利上げ総利益1,073億円(前年同期1,037億円)

環境はHDYHDと変わらないのだが、ここは金融機関系も手掛けるISIDがあったりして、ちょっと有利かもしれない。
まだ、広告に多額の投資をするタイミングじゃない。また、基幹システムもクラウドなど低額なものにシフトしている様子。

○サイバーエージェント 第二四半期決算資料

なんでしょうね。コロナが追い風になっているという業績。

売上高: 1,634億円 YonY 26.6%増
営業利益: 258億円 YonY 2.1倍

大きな勝因は「スマホゲーム」で、ウマ娘。万馬券だったね。
広告事業も復調って、それも二桁かよ。(P19)
メディア事業の-34億もダメージにすらなっていない。(P35)
俺Tueeeeee、無双状態である。
しかし、「中長期で応援してもらえる企業を目指す」としているので、これも過程に過ぎないと・・・。
AbemaTVが黒字化したら、次は何を仕掛けるんでしょうね。
エイベックスの次ね。

○デジタルホールディングス 第一四半期決算資料

利益がイレギュラー。

売上高 35,785 +52.9%
営業利益 10,571 +2,133.7%

広告事業だけだと、
売上高 21,809 +1.8%
営業利益 1,209 +27.4%
と、利益が二桁伸び。
あの事件が響いたのだろうか・・・。
デジタルシフトに社名まで変えて挑んでいるので、広告事業はプライオリティが下がっているのかどうか不明だ。

金融投資で保有株を売却したそうで、
売上高 12,054 +8,312.3%
営業利益 10,107
これが、異常値の原因だね。

課題は、デジタルシフト事業が軌道に乗るのかどうか。
地道に社内から変えて、社外へと・・・という感じらしい。(個人の感想です)

○カルタホールディングス 第1四半期決算資料

統合は大変だよね。(P5)

売上高  6,483 +9.1%
営業利益 1,675 +32.6%

「ブランド広告もコロナ影響から回復し、大幅な増収増益」(P8)とあるが、これは一時的なものなのか継続的なものなのか、どっちだろうか。

あと、大化けしそうな事業があるんだろうか。
ネット広告業界で一定のシェアを維持するのであれば、二桁成長し続ける同業他社の開発投資に負けないようにしなければならないから。

○セプテーニHD 第2四半期決算説明会資料

電通から流入も増えてなにより。(P17)

収益 5,367  +20.8%
営業利益 1,039 +122.5%

やはり、広告事業が中心。(P7)
メディアプラットフォーム事業は赤字でも、カバーされてしまうのは幸いだったか。
新たな事業が望まれる。

2021/04/25

ハウスエージェンシーが増えるのか、広告業を定款に入れるのか

 普通、そんなことは妄想しない。
そんな妄想を毎日している波乗りペンギンです。

さて、引っかかったニュースが

【独自】三井住友FGと電通が広告新会社設立へ…銀行アプリに広告表示
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210420-OYT1T50082/

独自ってなんだよ・・・という突っ込みはさておき、広告会社というより媒体社なんじゃないかと、おじさんは思った次第。

銀行のハウスエージェンシー出身としては、今更、銀行が広告子会社を持っても目新しいことはない。
しかし、都市銀行が合併を繰り返していくなかで、グループ内利益の環流だったり天下り先の確保だったりという意味合いで、ハウスAgがデジタル対応できるかと言ったら、困難であったのかもしれない。

とすると、銀行に限らずデジタル化が進みDXとなっていくと、収益機会を増やすという意味でアプリやサイトに広告を出すというのも、手掛けやすい事業だと言える。
(※コカ・コーラパーク、サントリーのアド缶など似たアイデアは過去事例がある)

ただし、本業で収益が出なくなったという理由だけで、収入の多角化を図るというのは宜しくないと思う。
顧客側のメリットがないよね。
今回の銀行アプリに広告が出たり、広告メールが来るとしよう。
セキュリティ的に大丈夫なのか、ただでさえ偽メールでログイン無効とか釣りが多い中で、危険が増すと思われる。
金利も十分につかないし、いろいろ支払いを集中しても、多少ATM手数料が安くなるだけだ。取引がないと、口座維持費用も取られるようになる。
なんていうか、ゲームの課金ユーザみたいな扱いだよね。

それと、トラッキングができなくなる未来が近々やってくるので、本体でファーストパーティクッキーを使うことを考えたら、別会社にしない方が良いかもしれない。
許諾や管理含めて、収益に見合うのか・・・と疑問もある。
ATMに広告出すというのも、コロナ禍で滞在時間を減らさなきゃならないので、難しいはずだ。うん、店頭に来てもらっても困るしね。(店内のディスプレイ広告とか、手続きの待ち時間に見てもらうものは、視聴数も稼げない。)

2021/04/19

広告は必要か、常に心に留めておくべき問題

 コロナ禍で、すっかり事業環境が変化してしまったこの頃。
在宅勤務だと通勤がないのと業務パソコンがあるので、ついつい、忘れていたことを思い出したら仕事をしてしまえる。波乗りペンギンだけじゃないみたいだ。

さて、今回は良いコラムを見つけたのでピックアップ。

広告は必要か?ニュースが教えてくれた答え
https://www.advertimes.com/20210419/article347153/

ニュースを届けられるのは広告のおかげ、では終わらなかったところにある。

とはいえ、企業とユーザの良好な関係を築くプラットフォームは、難しいチャレンジだよね。
なかなか、成功しない。バランスをとれずに炎上したり崩壊したりだ。

どうしてなのかという話は書籍にも書いたんだけど、ユーザは受け手じゃなくなってしまったからだ。送り手でもあるのね。
だから、媒体側の送り手視点でモノを言っても、受け取ってもらえなくなってしまったし、下手すると反発されて炎上しちゃうんだよね。

広告会社の人なら媒体特性の分析とか、一覧表にして提案書の資料として使ってたと思うけど、「双方向性」という文言の深みを考えたことがある人は少ないよね。

2021/02/26

電通 日本の広告費2020年、コロナ禍でインターネット広告だけ成長+ネット広告詳細分析

コロナ禍で災害級の落ち込みを見せた広告業界が数字になった。
もっと下がっている気がしたんだが。

電通ニュースリリース 2020年 日本の広告費

全体は6兆1,594億円(前年比88.8%)と、インターネット広告の2兆2,290億円(前年比105.9%)がなければ、過去最悪だったと言える。

グラフもある電通報の解説はこちら。

「2020年 日本の広告費」解説──コロナ禍で9年ぶりのマイナス成長。下期は底堅く回復基調に

後半は復調しているという記載もあるが、2021年は年初から緊急事態宣言パート2が発出されているため、ちょい厳しい予測が頭を過るが、一年後の推計が出る時まで考えないようにする。

インターネット広告以外が一割以上落ち込んでいるが、理由は書かなくても分かるレベル。

一方で、ジワジワとネット化で追い詰められた媒体は、コロナ禍で一気に追い詰められた格好になった。生き残っていくには決断を遅らせれば、会社が無くなってしまうだろう。
ネット広告でも、格差はあるし海外勢に大半を持っていかれている(グーグルやフェースブックの市場占有率はないよね~)ので、広告会社も媒体社も辛い。

問題は、この後どうするかだ。

打ち手としては、コストカットに繋がる効率化なんだけど、パソコンとインターネットで置き換えるだけではカバーできない。10%とかじゃ焼け石に水なので、半分の人員で2倍の業務を処理するレベルが要求されるはず。
たぶん、新しく会社を作った方が早いと思える。

コンテンツを作る、コンテンツを売る、コンテンツを配信する、機能別に会社を作って集約するしかないかも。
現状のままではペイしないから、構造や流通を変える必要があるだろう。

■追記 2021.03.12

恒例のネット広告詳細分析が発表。

2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析

動画広告が前年比121.3%(3,862億円)と伸びたが、運用広告が広がっている点も大きい。
また、SNSへの出稿も拡大しているので、コロナ禍で動画SNSをしていたんだというユーザ動向も大きいだろう。

今後もこの傾向は続くものと思われる。
ただし、動画広告は強制視聴(コンテンツの前、途中)タイプと広告スペースには配信されて流れるだけのものがあって、効果/評価が難しい。
あと、媒体の売上構成比率とか欲しいよね。Youtube一択なんだろうが。

最後に、2021年の予測があって、

1兆8,912億円(前年比107.7%)

うむ、DXが促進されたら2兆円に行ける感じの予測。

2021/02/04

2020年10-12期の広告会社四半期、随時追加

 

○サイバーエージェント 2021年9月期 第1四半期決算説明会資料

全体では、
売上高: 1,310億円 YonY 13.3%増
営業利益: 70億円 YonY 8.7%減

広告事業は、
売上高: 765億円 YonY 13.8%増
営業利益: 57億円 YonY 0.8%増

コロナ禍による低迷期が明けた感じ。でも、広告事業の営業利益が伸びていない。
P16で営業利益率の推移をみると、金額的には伸びているので気にすることはなさそうだ。

なんとなく、あっさりした内容に感じる。
コロナ禍で熱量を上げた取り組みができないからであろうか、それとも何か仕込んでいるんだろうか。
このコロナ禍でも社員数は増えている。

P6 連結役職員数] 12月末 5,549名

すごいなあ。

○セプテーニホールディングス 2021年9月期 第1四半期決算説明会資料

収益は5,275百万円(前年同四半期比20.9%増)
営業利益は1,205百万円(前年同四半期比110.4%増)

電通の子会社になって大正解という構図(P14参照)。増収増益。
コロナ禍で在宅勤務により販管費が減少したとのこと。
「データ・ソリューション領域への拡張」(P15)ということで、DXの文脈で成長をしていくそうだ。
うーん、親会社もグループ子会社もDXだから、シナジーが出るのか食い合いになるのか、気になるところ。
マンガからアニメ化は厳しいと思われ、子会社設立か・・・。

○博報堂DYホールディングス 2021年3月期 第3四半期決算説明会資料(決算パート)

2021年 3月期 第3四半期(累計) 連結業績は、
                実績                対前年同期比
売上高         883,038     -185,176         -17.3%
営業利益     18,860         -18,832         -50.0%
経常利益     21,402         -18,401         -46.2%
(金額:百万円)            

国内は、
売上高             778,096     -174,620     -18.3%
売上総利益        163,994     -23,109     -12.4%
売上総利益率     21.1%     +1.4pt
営業利益         29,153        -15,432     -34.6%

というこでは、前四半期より回復はしているが、対前年同期比ではマイナスからは脱していない。
p23から業種別売上高と前年比が掲載されているのだが、コロナ禍で直接打撃を受けた観光から波紋のように影響が広がっているように思える。
広告しなくても売れる状況もあるし。

○カルタホールディングス 2020年12月期通期 決算説明資料

ということで、
四半期でみると、10-12月 売上 61.66億円 前年同期比 -6,8%と、引き摺っていることが分かる。
どこかの会社と同じようだが、電通と頑張るって戦略なので、もともとグループ内の整理統合と合理化でコスト効率を上げるにも限界があることが見えている。
かといって、これだけ大きくなった会社が喰っていけるだけの新規売上は、そうそうないんだよね。ページ数は多いけど、後半は会社統合の話だし。


P6にある前年同期比で      
売上高   11,961 +2,835 +31.1%
売上総利益  2,192 +512   +30.5%
販管費   1,795  +219  +13.9%
営業利益     396 +293   +282%
経常利益     438  +275  +168.9%
伸びている。一年前の赤字体質改善。
HDYMPの資本業務提携が効果的ということか。
好調の原因として「スマートフォン向け広告サービス「UNICORN」の機能学習が更に向上し、高い広告効果を得られることで認知度が高まり、広告主(クライアント)や当社以外の代理店からの広告費が増加した」という記述が第3四半期決算短信にある。
商材の準備があったという事実も大事だろう。


全体では、
売上総利益 (百万円)    835,042    -9.8%
調整後営業利益 (百万円)    123,979    -10.6%
という状態で、p6にエリアごとに記載がある。

電通国際情報サービス    37,472    12.2%
電通デジタル    25,102    15.6%
デジタル系は二ケタ台の成長ということで、コロナ禍でDXという大義が与えられたシステムが強いISIDは伸びている。電通デジタルもネット専業並みに伸びた。
立場的には、本体のDXが急務だろうか。P20から記載がある。ただ、今年も、五輪が・・・。

あと、P31の人材問題。コロナ禍による急速なデジタル化もあるが、資産であるはずの人脈を持った年齢高めを切り離してきたために、腹芸が使えない。
他の部分では新興企業の方が圧倒的に優位だからね。同じ土俵で戦うと、内外の軋轢で急減速するんじゃないかという危惧がある。

ちなみに、報道では「大赤字」という見出しになっていたが、海外進出に失敗して数倍の損失を出したことを知っているので気にしなかった。

2021/01/26

日本語でOK、説明会動画が増えて気になること

 ども、波乗りペンギンです。

緊急事態宣言二回目中だが、一回目から在宅基本の企業も増えた影響かオンラインセミナーが激増した。
お陰で、動画セミナーを視聴する機会も増えたのだが、気になることも増えてしまった。

まず、日本語が話せていない・・・。
リアル参加のセミナーでは気にならない事でも、動画で視聴していると何が言いたいのか不明なことがリプレイで確認できてしまう。

気にしていないのかわからないが、頭文字三文字、カタカナの略はハッキリ発音したりスライドで図示してくれないと、何の説明をしているのか混乱する。
SNSと言ってみたり、UGCと言ってみたり、統一した方が良い。
ソシャゲは会話ではいいけど、ビジネスセミナーではソーシャルゲームの方が良いと思う。

それと、言い間違いなのか読み間違いなのか誤用なのかわからないのが、
顕著化する・・・顕在化する、だよね。
ユーザーが流入したくなる・・・ユーザーがクライアントサイトを見たくなる、だよね。
みたいな、ケースかな。

こういう言葉遣いとか言いまわしって、広報担当者でも気にしない時代なのかプレスリリースでも散見されるので、昔気質の広報人が見たら卒倒しそうである。

それから、話す人はマイクを使おうね。