2022/02/24

電通 日本の広告費2021、インターネット広告費は2兆7,052億円、前年比121.4%でマス4媒体を抜く。

 ども、通常のタイミングで発表されました「日本の広告費2021」です。
今回は、ネット広告がマス4媒体をまとめても市場規模が大きくなったという触れ込みです。

電通のニュースリリースはこちら

そして、ネット広告費の中に「マス4媒体」が分類されるという演出方法が生きてます。
素晴らしい配慮です。
そして、対象プラットフォームはアマゾンと楽天とY!ショッピングで良いのか不明な「物販系ECプラットフォーム広告費」が不気味です。

■コロナ禍は色濃く

今回の推計もコロナウィルス感染対策の影響が出ている。
オリンピックという大イベントでマス媒体やプロモーションは「ググッ」と伸びたはずなのに、炎上も相まって低調な感じ。

全体ではコロナ禍前が、6兆9,381億円(2019年)で昨年が6兆7,998億円(2021年)なので、戻りきってはいない。
構造変化が2020年から一気に来ているので、数字的には戻っても中身は別物になっている。

■電通報の解説

「2021年 日本の広告費」解説-広告市場は大きく回復。インターネット広告費がマスコミ四媒体の総計を初めて上回る

以上

○蛇足

広告分類が変わっていてるので、遡って比較するのが難しくなってしまっている。
気が付かずに使うと痛いよ・・・。あ、業界関係者も注意してね。
推計範囲の拡大もあったことも忘れないように。


2022/02/15

2021年10-12期の広告会社四半期または2021年度決算

 〇サイバーエージェント 決算説明会資料

売上高 878億円 前年同期比+14.7%

営業利益 57億円 営業利益率 6.5% 前年同期比+0.7%


「営業利益率6.5% AIやDXへの先行投資を継続」ということで、広告事業の利益率は過去を見ても低くなっている。NTTコミュニケーションズ、ヤマダ電機、サツドラHDと事業提携も布石として進んでいる。仕込みは早くしておかないと、既存の広告商材が失速してからでは間に合わないので、さすがである。どっかの子会社には見習ってほしい。


〇博報堂DYホールディングス 2022 3月期年連結決算概要説明資料

売上高 9,117億円 前年同期+1336億円 前年同期比+17.2%

売上総利益 1,992億円 前年同期+352億円 前年同期比+21.5%

「国内ではインターネットメディアが引き続き強い伸びとなっている」ということで、2,169億円(+26.1%)とグッと伸長している。同時に発表されたソウルドアウトの買収など、事業強化も進んでいる。
「計画の前提となる経済/広告市場の見方に大きな変動が生じたため、中期経営計画の数値目標は取り下げ」ということで、先行きは不透明感が強い。
半導体不足による自動車、精密機器への影響が怖い。このまま減産や工場の操業停止となると、広告活動もなくなることから、悪影響は必至である。

〇デジタルホールディングス 2021年通期決算説明会資料

売上高は761億円 前年度比-0.1%
営業利益32億円 前年度比+88.8%

広告事業からDX事業への転換で、業績的にも利益が増えているようだ。
ソウルドアウトも売却するので、いろいろ加速するんじゃないだろうか。
課題となってるDXけの事業転換だが、社内の人材育成はどうなっているのか資料から読み取れない。商材はうれているようだが、広告主名がわかる導入事例は一件だけである。
せめて、3件は出すものだと思うが・・・。


〇アドウェイズ 決算説明資料

国内売上高 115億円 前年同期比+17.0%
うち、スマホ 76,91億円、PCとモバイルWeb 38.19億円

海外売上高 52億円 前年同期比+37.6%
営業利益(国内+海外) 5.07億円 前年同期比+13.7%

「博報堂DYグループとの協業案件の増加」ということで、回復。販管費(採用・教育)が増加している。会社としては、どうなっていくのか見守り期間かな。


〇電通グループ 2021年度決算説明会資料

国内事業
売上総利益 4,159億円 前年同期比+19.2%
営業利益 953億円 前年同期比+52.0%
※本社ビル売却益1,189億円を除く。

国内インターネット 10-12四半期
売上高 862億円 前年同期比 +23%

こちらもネット広告が伸長したのと、テレビ広告の復活でプラスに戻った。
バックオフィスをまとめるために「電通コーポレートワン設立によるコーポレート基盤の高度化&効率化」と、事業部門の再編とは別の動きもある。
P9「2021年度 電通ジャパンネットワーク 業績」にあるCT&T(カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー)構成比をどう見たらいいんだろう・・・。

以上

2021/11/03

2021年7-9期の広告会社四半期または2021年度決算

 緊急事態宣言も終わって、感染者数が激減するも理由は不明という不気味な今日この頃。

○サイバーエージェント 決算説明資料

通期売上高: 6,664億円 YonY 39.3%増
通期営業利益: 1,043億円 YonY 3.1倍

ウマ娘で激増の営業利益、主軸の広告事業も増収増益だ。

通期 広告事業 売上高: 3,213億円 YonY 19.3%増
通期 広告事業 営業利益: 225億円 YonY 7.1%増

で、P13にある利益率の推移補見ると、7.0%に下がっている。
売上は増えているので、利益額も増えているんだけど、2018年8.7%から1.7%落ちている。
ネット系なので利益率は15%以下になるのは仕方ないのだが、良い商売とは言い難い状況になっている。
ということで、P17の拡大施策ということだろう。どっかの会社も、こういった手の打ち方は参考にした方が良いんじゃないか。

連結売上高 4Q 1,797億円 (YonY 48.7%増)
連結営業利益 4Q 268億円 (YonY 400.4%増)

四半期で見ても、ウマ娘で跳ねてしまっているので、数字としては参考にならない感じ。
これ見ると、ヒットしたコンテンツの収益力が恐ろしい。

○セプテーニホールディングス 2021年9月期 第4四半期(通期)決算説明会資料

こちらは、電通グループの増資後(52%)に子会社になる。
電通Gでの立ち位置というか、役割がどうなるのか気になる。電通デジタルとか、カルタホールディングスとか、電通テックとか、似た役割と機能があるからねぇ。

以下、決算短信より抜粋
売上高 976億円  前年比27.6%
営業利益 36,5億円 前年比60.5%

決算説明会資料のP8にあるとおり、電通からの取扱いが太くなっている。
また、クリエイティブの外注費が増えているようなので、制作部隊を抱えて内製化するという方向もあるだろう。ということで、電通ダイレクトに制作機能はあるのか?
P32には、ダイレクトマーケティング領域に出ていくようなので、ここが役割ということになるのかな。


2022年1月にグループ再編だそうで、HDが直接子会社を監督する組織になる。
運用型テレビCMのテレシーは、順調なようだ。ナショクラも積極的に利用するようになると世界が変わりそう。スポットを打ちまくる大型キャンペーンとか、ちよっと、今後は想像できないんだけどね・・・。
あとは、コンシューマー事業で1,000万人規模の媒体が欲しいところ。

売上高   :58.3億円(前年比+12%)
売上総利益 :52.1億円(前年比+14%)
営業利益  :  6.1億円(前年比+4%)
EBITDA   :  9.6億円(前年比+25%)

〇博報堂DYホールディングス 2022年3月期上期決算説明資料

グループ全体では復調して、コロナ前を上回る。
「計画の前提となる経済/広告市場の見方に大きな変動が生じたため、中期経営計画の数値目標は取り下げ」なので、第六波を考えると手放しで喜べる状況でもない。
HDなので細かいことは書かれていないが、デジタル事業に関して1Pだけというのも寂しい。
あと、アドウェイズにHDYHDからも資本を入れるとのこと。HDYMPと合わせて議決権ベース15.42%になるそうだ。

2022年3月期第2四半期 全体 P16より抜粋
売上高 3,344億円  前年同期比 +22.5%
売上総利益 884億円  前年同期比 +35.9%
営業利益 161億円  前年同期比 +1053.1%

 地域別業績(日本:投資事業除き) P19より抜粋
売上高 2,912億円  前年同期比 +19.0%
売上総利益 678億円 前年同期比 +30.2%
営業利益 196億円 前年同期比 +170.6%

〇電通グループ 第3四半期 説明会資料

山本さんが退任し、五十嵐さんへ社長をバトンタッチするとのこと。
電通コーポレートワンを設立し、パックオフィス系を一元化。
「通期の業績予想を上方修正。2019年度比で、売上総利益はプラス、調整後営業利益は20%以上成長の見込み。」ということで、好調。

全体 第3四半期
売上高 13,227億円 前年同期比 +29.8
売上総利益 2,558億円 前年同期比 +32.5

電通 日本国内
売上総利益 1,165億円 前年同期比 +51.6

電通 日本国内 第3四半期
インターネット売上高 735億円 前年同期比 +35.6

以上




2021/07/30

2021年4-6期の広告会社四半期または2021年度決算

 東京五輪は開催されたけど、緊急事態宣言下の東京。コロナ感染は拡大と日本代表の活躍で、悲喜こもごもの日々。

○サイバーエージェント 四半期決算資料

もう、ウマ娘でフィーバー状態。

売上高: 1,922億円 YonY 70.3%増
営業利益: 445億円 YonY 5.4倍

広告事業だけ見ても伸びている。売上で前年同期比3割アップ。
P16で売上推移をみると、コロナ前の水準を上回っての過去最高とのこと。すごい。
ただし、P18の営業利益をみると、利益率が6.4%と低下している。
効率が悪くなっていそうだが、P20でのAI自動化で運用広告は労力をかけなくて済むようにしそうだ。

売上高: 818億円 YonY 27.3%増
営業利益: 52億円 YonY 9.7%増

人員も新卒が入って約6千名。大企業だ。

[連結役職員数] 6月末 5,958名 (4月に新入社員300名入社)

気になるのは、メディア事業かな。AbemaはDL数は伸びても、売上と利用者数が伸びていない。媒体力は何人が見ているか(アプリを使っているか)が大事だが、細分化されているネット世界だと、集客力のあるコンテンツを自前で用意するのは大変だ。

○セプテーニ・ホールディングス 決算説明資料

2021年9月期第3四半期
収益 159億円 前年同期比 23.1%
営業利益 32億円 前年同期比 153.1%

デジタルマーケティング事業、つまりネット広告は

収益は14,036百万円(前年同四半期比23.9%増)、Non-GAAP営業利益は5,348百万円(前年同四半期比52.6%増)

かなり伸長している。だが、P15見ると営業利益率はガクッと落ちている。
前四半期が41.1%→30.8%と、低下している。しかし、コロナ前を上回る数字であり、実数で見ると復調したとみるべきか。もっとも、P17で電通からのテコ入れが効いているからだろう。

課題は、広告以外をどうするか・・・。

〇博報堂DYホールディングス 決算説明資料

売上高 3,236.8億円 前年同期比 +26.6% 前前年同期比-2.0%
売上総利益 750億円 前年同期比 +26.6% 前前年同期比+7.3%

と復活。コロナ前に戻った感じだ。
メディア別(P7)見るに、テレビが伸びてネットも伸びている。
リアル系の比率が高いはずなので、人出が戻ってきている感はある。
感染者は爆発的に増加しているけど・・・。(執筆時点の2021.8)

広告主業種は、情報通信が突出して伸びているが、テレワークや楽天参入に5Gと宣伝合戦になっているタイミングなので、しばらくは出稿量も落ちないはず。
とはいえ、メディアでは雑誌だけが落ち込んだままだね。

〇電通グループ 決算説明資料

売上高  12,270億円 前年同期比+31.6%
売上総利益  2,180億円 前年同期比+20.0%

日本だけで見る(P49)と、テレビとインターネットが二桁で伸びて回復。
なんか、五つの輪っかの影響が見える気がするメディア別は今一つな感じだ。
同じく日本の広告主の業種別を見る(P50)と、食品・飲料・嗜好品が最も大きく、次に情報・通信・マスメディア・ソフトウェアとなっている。
海外と比較(P51)すると、業種の伸び率が違っているので、日本と海外の経済回復の違いが見える気がする。(※国によって違うので、海外でまとめると、気のせいになる。)

〇カルタホールディングス 第2四半期決算資料

売上高 6,146億円  前年同期比+18.9%
営業利益 1,265億円 前年同期比 +73.5%

コロナ禍前より売り上げ利益とも上昇。(P8,P11)
広告事業系は好調だが、コンシューマー向けが厳しくなりつつある感じだ。
統合から二年が経ち、数字を見る限り上手くいったのではないだろうか。

これから、個人特定ができなくなる環境(2022年4月)に向けて、広告配信は先行きが見えない(P41)ので、広告以外の柱はやっぱり大事だと思われる。

〇デジタルシフトHD 第2四半期決算説明会資料

売上高 192億円 前年同期比 +7.4
営業利益 -5.97億円

デジタルシフト事業、つまりDXへ主軸を変えつつあり、四半期の営業利益はマイナスになったが、1Qで利益を出しているので問題はなさそう。(P16)
DXのプラットフォーマーになろうという理解で良いのかわからない(P21,P22)が、広告を配信するのか情報なりコンテンツを配信するのかって軸で言えば、同じなのかもしれない。
ただ、結局はシステムは自己増殖してくれないので、人が問題になってしまうんだよね・・・。

広告事業は一桁前半台の伸び率(P11)になっているが、地方が主軸のソウルドアウトは厳しかったんじゃないだろうか。コロナが収束しない限りは、今後も続くだろう。


以下、適宜追加。

2021/07/20

何故に。東京五輪はトラブル続きなのか・・・と、トヨタの判断。

 コロナ禍で一年延期からの叩かれまくりで東京五輪が開催される。
もはや、一週間前を切った状態で

小山田氏が音楽担当辞任 過去のいじめ発言、批判浴び―東京五輪〔五輪〕

時事通信の記事を選択したが、末文が効いている。同期時から抜粋すると、

大会の式典をめぐっては、クリエーティブディレクターの佐々木宏氏が出演候補者だった女性タレントの容姿を侮辱する演出案を出したことで批判され、3月に辞任している。

ちなみに、新国立競技場の設計問題やら、エンブレムの問題やら、どこぞの企業みたいにトラブル続きである。どうしてこうなった・・・。

一方で、読売新聞オンラインでは

五輪テレビCM、味の素は「流すかどうか未定」…最高位スポンサーのトヨタは見送り

スポンサーであるトヨタが、五輪用のCM放映を取りやめたという。
また、開催地である東京が、緊急事態宣言下であることからスポンサーの一部は参加を見合わせたとのこと。

リスク管理という点では、トヨタの判断は素早かった。
取るべきリスクを把握しているわけで、他のスポンサーは協賛費の元を取ろうというリスク管理になっている気がしているのだが、大丈夫だろうか。
調査時期にも因るが、概ね日本国民のうち、
開催に対してい否定的:開催はやむ無し、が拮抗している感じだ。

そもそも、広告ってヘイトを稼ぐためにするものではないからね。
確かに、表現的にはインパクトを与えるために突飛な演出で話題を作る手法もあったが、インターネットの登場によって、マイナスの感情が増幅され易い環境に変化したのだ。
(※生活者が発信力を持った一方で、企業側の情報発信力は相対的に低下したと思う。)

組織委員会が何とかしてよ、というのがスポンサー側の気持ちだろうけど、開催にネガティブなメディアや生活者が狙っている状況なので、今後とも神経を使うだろう。
現在のトレンドだと、生活者の購買体験をよくするといったCX視点を重視したマーケティング活動が増えているので、流れで判断する必要があると思う。


2021/06/11

アフィリエイト広告等に関する検討会の開催

 どうやら、アフィリエイトは提携販売ではなく、「成果報酬型の広告」としてfixされて規制対象になったようだ。

第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2021年6月10日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_003/024308.html

いわゆる法令違反のデパートともいえるアフィリエイト広告は、検討会の資料にも事例が上がっているような状態だ。
管理できない広告主にも、開き直っているアフィリエイターにも、相応の法的な処分が及ぶ方向

この先に、炎上動画で稼ぐユーチューバーとかタレントも、規制対象になるのだろうか。
ん?広告関係してないから飛躍してるって?

いやいや、広告収入はガッポリ入ってますやん。BANされない限り。

2021/06/07

YouTubeプレミアムのCMで広告はユーザに不都合な存在と訴求

 インターネットにおける広告はどうあるべきなのか?
環境が変わりつつある事象の一つです。
徳力さんが記事にしてます。

議論を呼ぶYouTubeプレミアムのテレビCMから考える、動画広告の未来

これをテレビでやると、広告会社とスポンサーが激おこ、になるのだが、ネット広告ではならない。もう、この時点で世界は変わっているということだ。
昔、トイレはCM中に、と発言したタレントとテレビ局が謝罪したなんて話もあった。

一方で、解決できない課題もクローズアップされてきた。
・「アドフラウド」「ビューアビリティ」「ブランドセーフティ」のアドベリフィケーション
・ユーザによる広告ブロック、嫌悪感の増大
・ネット広告によるウィルス感染(マルウェア)、犯罪への間接関与(資金供給)

いやいや、ネット広告じゃなくても課題だよって分かってらっしゃかる先達たちは、もう少なくなってしまったかな。

たとえると、課金したら広告がなくなるというのは、書店で販売されている雑誌や新聞だと広告がなくなるということだ。
テレビだと、国営は受信料、民法はCMが収入になっている。そして、ネットに通じる部分としては、受信料を徴収している(課金している)国営は広告は流さない。(過剰なほど、企業の宣伝になるところは消してましたが、現在は緩い気がする。有名なのは、山口百恵のプレイバックパート2の歌詞。)

で、購読料を取っていながら広告も載せている紙媒体ですが、どういう理屈で広告を掲載しているのか気になって調べた人はいるのかな。
今まで見たことないなぁ。(※波乗りペンギンは口頭で教えて貰ったことはあるが、その根拠となる文章とか記録は入手できなかった。)

ということで、購読料/視聴料/課金と広告の関係は媒体社の収入の問題でもあるが、編集/記事/編成と広告といった主権だったり、広報と広告といった分類だったり、曖昧としていたものの明確な境界線が求められていることでもあると思う。
たぶん、この議論ができる人は多くないんじゃないかな。
もっとも、生活者から見た場合は、「騙すな、嘘つくな、馬鹿にすんな」ということで片付けられることだろう。