2021/02/26

電通 日本の広告費2020年、コロナ禍でインターネット広告だけ成長+ネット広告詳細分析

コロナ禍で災害級の落ち込みを見せた広告業界が数字になった。
もっと下がっている気がしたんだが。

電通ニュースリリース 2020年 日本の広告費

全体は6兆1,594億円(前年比88.8%)と、インターネット広告の2兆2,290億円(前年比105.9%)がなければ、過去最悪だったと言える。

グラフもある電通報の解説はこちら。

「2020年 日本の広告費」解説──コロナ禍で9年ぶりのマイナス成長。下期は底堅く回復基調に

後半は復調しているという記載もあるが、2021年は年初から緊急事態宣言パート2が発出されているため、ちょい厳しい予測が頭を過るが、一年後の推計が出る時まで考えないようにする。

インターネット広告以外が一割以上落ち込んでいるが、理由は書かなくても分かるレベル。

一方で、ジワジワとネット化で追い詰められた媒体は、コロナ禍で一気に追い詰められた格好になった。生き残っていくには決断を遅らせれば、会社が無くなってしまうだろう。
ネット広告でも、格差はあるし海外勢に大半を持っていかれている(グーグルやフェースブックの市場占有率はないよね~)ので、広告会社も媒体社も辛い。

問題は、この後どうするかだ。

打ち手としては、コストカットに繋がる効率化なんだけど、パソコンとインターネットで置き換えるだけではカバーできない。10%とかじゃ焼け石に水なので、半分の人員で2倍の業務を処理するレベルが要求されるはず。
たぶん、新しく会社を作った方が早いと思える。

コンテンツを作る、コンテンツを売る、コンテンツを配信する、機能別に会社を作って集約するしかないかも。
現状のままではペイしないから、構造や流通を変える必要があるだろう。

■追記 2021.03.12

恒例のネット広告詳細分析が発表。

2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析

動画広告が前年比121.3%(3,862億円)と伸びたが、運用広告が広がっている点も大きい。
また、SNSへの出稿も拡大しているので、コロナ禍で動画SNSをしていたんだというユーザ動向も大きいだろう。

今後もこの傾向は続くものと思われる。
ただし、動画広告は強制視聴(コンテンツの前、途中)タイプと広告スペースには配信されて流れるだけのものがあって、効果/評価が難しい。
あと、媒体の売上構成比率とか欲しいよね。Youtube一択なんだろうが。

最後に、2021年の予測があって、

1兆8,912億円(前年比107.7%)

うむ、DXが促進されたら2兆円に行ける感じの予測。

2021/02/04

2020年10-12期の広告会社四半期、随時追加

 

○サイバーエージェント 2021年9月期 第1四半期決算説明会資料

全体では、
売上高: 1,310億円 YonY 13.3%増
営業利益: 70億円 YonY 8.7%減

広告事業は、
売上高: 765億円 YonY 13.8%増
営業利益: 57億円 YonY 0.8%増

コロナ禍による低迷期が明けた感じ。でも、広告事業の営業利益が伸びていない。
P16で営業利益率の推移をみると、金額的には伸びているので気にすることはなさそうだ。

なんとなく、あっさりした内容に感じる。
コロナ禍で熱量を上げた取り組みができないからであろうか、それとも何か仕込んでいるんだろうか。
このコロナ禍でも社員数は増えている。

P6 連結役職員数] 12月末 5,549名

すごいなあ。

○セプテーニホールディングス 2021年9月期 第1四半期決算説明会資料

収益は5,275百万円(前年同四半期比20.9%増)
営業利益は1,205百万円(前年同四半期比110.4%増)

電通の子会社になって大正解という構図(P14参照)。増収増益。
コロナ禍で在宅勤務により販管費が減少したとのこと。
「データ・ソリューション領域への拡張」(P15)ということで、DXの文脈で成長をしていくそうだ。
うーん、親会社もグループ子会社もDXだから、シナジーが出るのか食い合いになるのか、気になるところ。
マンガからアニメ化は厳しいと思われ、子会社設立か・・・。

○博報堂DYホールディングス 2021年3月期 第3四半期決算説明会資料(決算パート)

2021年 3月期 第3四半期(累計) 連結業績は、
                実績                対前年同期比
売上高         883,038     -185,176         -17.3%
営業利益     18,860         -18,832         -50.0%
経常利益     21,402         -18,401         -46.2%
(金額:百万円)            

国内は、
売上高             778,096     -174,620     -18.3%
売上総利益        163,994     -23,109     -12.4%
売上総利益率     21.1%     +1.4pt
営業利益         29,153        -15,432     -34.6%

というこでは、前四半期より回復はしているが、対前年同期比ではマイナスからは脱していない。
p23から業種別売上高と前年比が掲載されているのだが、コロナ禍で直接打撃を受けた観光から波紋のように影響が広がっているように思える。
広告しなくても売れる状況もあるし。

○カルタホールディングス 2020年12月期通期 決算説明資料

ということで、
四半期でみると、10-12月 売上 61.66億円 前年同期比 -6,8%と、引き摺っていることが分かる。
どこかの会社と同じようだが、電通と頑張るって戦略なので、もともとグループ内の整理統合と合理化でコスト効率を上げるにも限界があることが見えている。
かといって、これだけ大きくなった会社が喰っていけるだけの新規売上は、そうそうないんだよね。ページ数は多いけど、後半は会社統合の話だし。


P6にある前年同期比で      
売上高   11,961 +2,835 +31.1%
売上総利益  2,192 +512   +30.5%
販管費   1,795  +219  +13.9%
営業利益     396 +293   +282%
経常利益     438  +275  +168.9%
伸びている。一年前の赤字体質改善。
HDYMPの資本業務提携が効果的ということか。
好調の原因として「スマートフォン向け広告サービス「UNICORN」の機能学習が更に向上し、高い広告効果を得られることで認知度が高まり、広告主(クライアント)や当社以外の代理店からの広告費が増加した」という記述が第3四半期決算短信にある。
商材の準備があったという事実も大事だろう。


全体では、
売上総利益 (百万円)    835,042    -9.8%
調整後営業利益 (百万円)    123,979    -10.6%
という状態で、p6にエリアごとに記載がある。

電通国際情報サービス    37,472    12.2%
電通デジタル    25,102    15.6%
デジタル系は二ケタ台の成長ということで、コロナ禍でDXという大義が与えられたシステムが強いISIDは伸びている。電通デジタルもネット専業並みに伸びた。
立場的には、本体のDXが急務だろうか。P20から記載がある。ただ、今年も、五輪が・・・。

あと、P31の人材問題。コロナ禍による急速なデジタル化もあるが、資産であるはずの人脈を持った年齢高めを切り離してきたために、腹芸が使えない。
他の部分では新興企業の方が圧倒的に優位だからね。同じ土俵で戦うと、内外の軋轢で急減速するんじゃないかという危惧がある。

ちなみに、報道では「大赤字」という見出しになっていたが、海外進出に失敗して数倍の損失を出したことを知っているので気にしなかった。