2019/02/26

日本の広告費2018が発表されていない、2月28日に発表されたよ。

記憶が確かなら、例年は発表されているはずの電通 日本の広告費 ですが、未だにリリースされていない。
期末ラッシュとなる3月の前にタイミングとしては外せないはずなんだけど・・・。

仕方ないので、日経広告研究所の情報を見てみよう。

2019年度の広告費予測(概要版) 広告費全体は前年度と比べ横ばい リスク要因増え、企業は慎重姿勢
https://www.nikkei-koken.gr.jp/research/research.php?research=0&recno=771

本文から抜粋すると、
18年度の広告費は0.2%減少する見通し。
アベノミクス、広告市場では頑張れなかったようだ。
つまり、日本経済は緩やかに下降しているんだな。ネットにより国境を越えやすくなった情報とお金は、どんどん海外流出していく。
国内で儲けて、上場して、海外進出した企業が、他国に資本を投下しても回収するどころか散在して、赤字撤退している。
そんな構造が、数十年も変わっていない。

他に、

マスコミ4媒体広告量(電通調査) 
http://www.dentsu.co.jp/knowledge/pdf/2018/_baitai1801-12.pdf

が公開されているので、こちらを見よう。
ええっと、テレビ番組 104.3%という昨対比で伸びている以外は、マイナスだ。
マス媒体以外はデータがないが、日経広告研究所ではインターネット広告費が伸びていると推計している。
OOHとかその他の媒体があると思うが、規模的には数十億から数百億なので、6兆円の広告費からすると誤差の範囲になる。

【参考】
特定サービス産業動態統計調査 
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result-1.html

ちなみに昨年の日本の広告費の冒頭では、
「2017年 日本の広告費」は6兆3,907億円、前年比101.6%
・総広告費は6年連続でプラス成長
・インターネット広告費は、4年連続二桁成長
と、あった。さて、今年は?

■2019.02.27.追記

今月もあと二日。
今日なければ、明日 28日しかない。
いや、金曜日の3月1日という線もあるが、それだったら発表はもっと先延ばししてもいいのである。

ということで、発表が遅れている理由が気になるところだ。
統計処理や手法に変更が生じて作業が遅れた(過去に推計範囲を拡大した事例あり)とか、であれば分かるけどね。

でも、統計調査自体は半年前から設計を始めているはずだし、本調査は昨年末までにアンケートを集めているはずなので、集計と分析を直前に変更なんてできやしない。
まぁ、推計なので「推し量れない部分」が問題として残ることはあるが、これも今更の課題でしかない。今年に限ってという事は考えにくい。

とすると、次の発表に向けて、今回の発表が何らかの布石となるため、発表に踏み切れない可能性がある。
これは、その問題の大きさも含めて、がリアルに融合していく中、推計できない部分の問題である。
まぁ、「電通総研カウンセル兼フェロー/電通デジタル客員エグゼクティブコンサルタント」という立場もある有薗氏が指摘している寄稿文書だ。じっくり読んでみて欲しい。

電通「日本の広告費」は、信頼できるのか!? 2020年9月からの日本を考えよう。https://unyoo.jp/2018/03/ari_column_3_september_2020/

さて、ここから妄想できるストーリーがある。
もし、日本の広告費2018を推計した結果、総広告費が伸びず、ネット広告も伸びが鈍り、オリンピック2020を前にしてボロボロの数字だったら、何とする!?
マスコミ4媒体広告量ではテレビ番組が前年比でプラスになっているのだから、総広告費がマイナスになることはないし、ネット広告費もテレビに匹敵する市場で伸びているハズだから、それなりにプラスになっていいはずだ。
なのに・・・、思ったより低い数字だよね・・・と。
原因を考えるはずだ。
そして、この原因を書くとして、次回から改善された統計ができるのか?
有薗氏の指摘通りだとすれば、どこまでがデジタルでマスでリアルなのかという整理が誰もできない可能性が高い。
すると、触れられないことになるよね。しかし、発表しないと影響も大きいし、影響が大きいだけに下手なことは書けない。
以上、妄想終わり。

■2019.02.28.追記

とうとう、2月最終日。公開されるとしたら、15時のはず。株式市場がしまってからね。
ただ、このタイミングまで引っ張るって、結構な憶測を呼ぶと思うんだよね。
このページすら、倍々のペースでPVカウントが伸びている。(笑)

個人的には、妄想通りなら、「サラッ」と数字だけ発表してしまえば良いんじゃないかと。
自然災害で経済活動が滞ったのは、日経広告研究所も指摘していたわけだし、納得の分析コメント要素もある。
メディアごとに分析コメントを書くのは藪蛇だし、あのコメントをちゃんと読む人って多くないからね。
(厄介な人が読み込むんだけどさ・・・波乗りペンギンとか?)

そういえば、マスメディアに含まれるネット広告費を決算発表の説明資料に記載していた。これね。まさか、後から分離とかしたんじゃ・・・ないよね。

2018年度 決算説明会 2019年2月15日

35ページにある「国内事業 業務区分別売上高の状況」だね。

■2019.02.28.追記 発表されました編

電通 2018年 日本の広告費が、15時過ぎにリリースされました。
妄想は妄想として、冒頭に書かれていたのは、
●日本の総広告費は、6兆5,300億円(前年比102.2%)となり、7年連続のプラス成長
●インターネット広告費は、1兆7,589億円(前年比116.5%)、5年連続の二桁成長となり、地上波テレビ広告費1兆7,848億円に迫る
●マスコミ四媒体由来のデジタル広告費※は、582億円(新設項目)
おいおい、新設項目があるじゃないか!!
「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」とはなんだ。引用すると、
※マスコミ四媒体由来のデジタル広告費とは、マスコミ四媒体事業社などが主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費のこと。新聞デジタル、雑誌デジタル、ラジオデジタル、テレビメディアデジタルのことで、これらのデジタル広告費はマスコミ四媒体広告費には含まれない。なお、テレビメディアデジタルの内訳である「テレビメディア関連動画広告」は、キャッチアップなど動画配信タイプへのインターネット広告費のことを指す。
 という意味が分からない説明なのだが、教えて北原さん!!

「2018年 日本の広告費」解説―日本の広告市場は前年比102.2%、7年連続のプラス成長
https://dentsu-ho.com/articles/6500

おお、理解できたよ。
マスメディアのサイトの広告売上、アプリの広告売上を切り出して推定したわけね。
それと、見逃し視聴サイトの広告売上も、併せて切り出したと。

いや~、お疲れ様でした。
で、テレビ媒体がマイナスなんですけど…。

●マスコミ四媒体由来のデジタル広告費:582億円(インターネット広告媒体費の一部)

気持ち的には、「マス媒体の広告費が下がっているというけど、ネット広告費に入っているんだからねっ!」(ツンデレお嬢様的に)
という新設項目。忖度されてますなぁ。(誰に?さぁ、そんなことなくてよ・・・。)


今後の集計が大変そうだが、なぜ「テレビデジタル」ではなく「テレビメディアデジタル」なのか、別に電通報で記事化してもらいたいほどである。
数字的には雑誌が頑張っているが、ラジオは・・・媒体として消えた存在価値をradiko.jpで大復活した後なので、収益面まで手が回っていない。音だけの広告制作は、これまたデジタル系の人には対応が難しいはずだ。

また、テレビは「テレビメディア関連動画広告」が別に集計されているが、見逃し視聴は課金モデルで始まったのが痛いわけで、がっつり無料の代わりに広告を見せることができていれば、稼ぎ頭だったかもしれない。(YouTubeとかあるので、現実は無理だったんだが) なにしろ、出演者や制作者の権利を金銭で充当する必要があるので、無法者の海賊さんたちとコストで戦えないのだ。

この別集計だが、今後データがたまっていくと・・・
・マス媒体は、デジタルだと収益が下がっていく
といった傾向が把握できそうである。

最後に気が付いたのだが、参考ではあるが追加されているものがあった。
DM広告制作関連市場(2018年推定):1,214億円
広告業からみたイベント関連広告市場(2018年推定):3,148億円
ポスティング市場(2018年推定):1,129億円
意味があるんだろうなぁ・・・と、眺めてみる。

■2019.3.8.追記

参考値で追加された推計分野だが、おそらくインターネット広告市場からテレビ関連が分離集計された経緯と似て、いずれ付加される候補ではないかと推測。
どのサービスが該当するのか、材料が手元に無いのであてずっぽうだが、マーケティングのデジタル化によって広告も影響を受ける。

メッセージング系の広告(LINEか)をデジタルにおけるDMとするなら、印刷物や電子メールが下降する中、別集計にする可能性はあるだろうか。

イベントも広告関連となると、オンラインでの広告キャンペーンのイベントとかVRも入ってくるのかな。Vtuberが主役となると必須だな。

ポスティングって何だろう。迷惑メール?いや、ちょっと違うか。


■2019.3.15.追記

恒例のインターネット広告の詳細分析です。

「2018年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」~D2C/CCI/電通が共同でインターネット広告媒体費の詳細分析を実施~
https://www.d2c.co.jp/news/2019/03/14/3378/

ザックリ、手法別では運用型が8割を占め、デバイス別ではモバイル広告が7割を占める。
で、「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」については、なんと注釈でサラッと「含まれている」という事だけしか触れていない。
デジタル側からすれば、媒体社がテレビ局とか新聞社とか関係ないからね。
今頃分離する意味が分からないという事だろうか。

残念なことに詳細分析で赤裸々な実態は出せない運命だろう。
マス媒体も含めて広告費全体がオリンピックを目前にして低調で、インターネット広告関連を除いてプラス材料が少ない。
災害などによる止むを得ない経済の停滞があったこともあるが、別の理由があると推測している。

電通的には言いづらいことだろうが、「働き方改革」という残業抑制による構造的な売上低下傾向である。
ネット広告が伸びているのは、もともと自動化しやすいことと採用が厳しいとはいえ、他の分野と比較すれば人手は確保されているだからだ。
労働基準監督署も厳しく目を光らせるようになってから、手作業的な業務と人海戦術で売りあげてきた媒体から低迷を始めている。

クリエイターには質よりも効率、入稿締切は早めになるので突っ込むこと(売上のために入稿期限を過ぎてから割り込ませること)が出来なくなるし、労務管理のために人員やシステムといったコストもかかる。
こういったことが、玉突き現象で起きている。
まぁ、不健全だと言われるとそうなんだが、工程がデジタル化されてネットで高速化しても、考えるのは人間だし確認するのも人間だ。

では、人間を性能アップして残業しなくても業務をこなせるようにする(生産性向上)には?
ツールや教育研修になるはず。
でも、ツールの導入も研修もコスト掛かるし、研修も業務時間に入るとすると残業抑制で調整が困難な中、どうしろと!?
といった声も中小トップから漏れ聞こえる。


以上

2019/02/06

ネット広告系の四半期報告2018年10-12

三年後なんて分からないよねぇ~。

■セプテーニHD

2019年9月期 第1四半期決算資料をみる。
補足資料が後ろにある、ザッと海外はダメっぽいし、国内の動画広告も思ったより伸びなかったはずだ。
外注費を半減させているが、内製にしたという事だろうか。
社員数は減っているので、何かが変わっているはずだ。善し悪しの判断は今できないが。

電通との資本提携で盛り返すという事で、電通デジタルとかカルタHDなど含めて、しばらくは調整ごとがありそうだ。

■サイバーエージェント

2018年12月期第3四半期決算説明会資料を見る。
いけると思ったけど、コスト分を吸収できなくて、ちよっと出直すねという感じ。
昔だったら、バンバン赤字出してたって、売り上げが倍増するから気にしないなんて風潮だったころからすれば、減益って言っても黒字だ。
広告の売り上げは上がっているが、利益率が低下している。
ま、そのあたりは説明をして予想を下げているのだから大丈夫だろう。

しかし、オリンピック後だよね。
abemaTVの売上と利益が激増しないと黒字も危ういかもしれない。

■オプト

2018年12月期第4四半期決算補足資料をみる。
昨対比から伸びている。数字は問題ない。
中小企業が伸びているらしいが、市場として縮小傾向にあるので、長期的には期待できないと感じる。
地方では、採用難(人がそもそも減っている)、高齢化(従業員だけじゃなく社長もね)、後継者不足(家業を継がない血縁者、第三者への事業継承も進んでいない)といった課題が放置である。
デジタルシフトできる地方企業は一体どのくらいあるだろうか。
また、某団体と話したが中小企業は収益が上がっているところと下がっているところの二極化が起きていそうらしいだが、そういった統計データはないそうだ。
ちなみに、地方の広告の案件単価は数万円から数十万円なので、ネット広告に百万単位で突っ込んでくれる地方企業が育成できるのか、かなり個人的に興味がある。
子会社にソルドアウトがある。こちらの調子もよいようだ。順調に営業地域も拡大しているようだ。

■アドウェイズ

2019年3月期 第3四半期決算説明会をみる。
装飾があるんだけど・・・。
前年同期比からは伸長している。前期比からはダウン。
人件費がダウンしているが、従業員数は傾向から減っているものの、前四半期と大きな違いはない。調整したんだろうか。
運用型広告の全自動化って、可能なのだろうか。
売上も2017年で山場だったように見える。

■GMOアドパートナーズ

平成30年12月期(20期)通期決算説明会(本資料)をみる。
数字は伸びているが、印象的には、伸び悩んでいる気がした。
11Pを見ると、感じてもらえると思う。
新商材で短中期では利益を伸ばしていくようだが、なんだ新商材って・・・。

カルタホールディングス

合併したてで、今回は無し。
というか、一年経つまで昨対比無いから。

でも、お知らせされたんで見ました。
2019年12月期 第1四半期決算説明資料、こちらです。

数字は良いです。需要期だたそうです。
過去最高ではあるけど、慢心したコメントは全くない。

さて、問題は業績推移をみると主力事業が右肩下がりの傾向にあり、また、上昇に転じる材料が乏しいと思える市場環境がある。
なんといっても、GAFAに日本の広告市場も搾り取られている状況に変わりはない。

それから、VOYAGE GROUPの子会社が多いわけで、過去に電通100%の子会社になるときにcciは整理清算したわけだが、今回はどうするのかだ。
もし、DACと同じ土俵に立つのであれば、いろいろ足りない(機能的にも)ところが出てくる。かといって、博報堂MPの矢嶋さんみたいなリーダーが電通側にいて、「全体を見た」整理統合が可能かというと・・・難しいんじゃないかな。
セプテーニとか電通デジタルとか、ちょっと今は触りたくない気がする。
メディアレップと広告配信プラットフォームとメディア(ゲーム)という構成だと、CAに近いこともあるが、体制的に機動性が確保できないからね・・・。
HD体制にしたので、様子を見て事業部門別に子会社ともども整理にして、アレしてアレになるだろうか。(妄想)


以上

ITで突き抜けるか、融合して拡大するかの選択肢

経営側にも焦りと迷いが見受けられる広告業界。
合併や経営統合は、対世界を見据えての足場固めとして国内もホールディングス化が大手で起こったが、今度はジンワリ進む世界的な高齢化社会と急速に進む国内の高齢化による環境変化に出口を見つけられずにネット広告業界も揺さぶられるだろう。

少子化で新卒採用が未達になり、人手不足感は大きくなっている。
人手不足による倒産が中小企業で増加し始めている。
広告業界内のデータはないのだが、
・採用数に到達しても、離職者が多い
・そもそも採用数未達
・やっと新卒採用しても育成できず
・中途採用も無理
といった話は結構多い。

さらに、ネット広告の知識や経験だけではデジタルトランスフォーメーションには対応できない。もとのアナログというか既存の仕組みや役割を知らないと転換できないからね。
とはいえ、中途採用で穴埋めをしようにも採用側に知識がないから見極めもできないだろうし、採用できても人材として使うことはできない。(若い上司でネット基準、実務はないが知識だけあるキャリア組、障害は多い・・・。はぁ。)
現実問題として、未だに効果的な対応方法はないし、あっても時間が必要なことばかりだ。(二十年過ぎたけどね。)

特に、意識改革しないとダメな問題があって、これがキツイ。
差別はダメなんだけど、LGBTに対する意識は変わったが、みんな老いるという事実を意識せずに年寄りを差別というか排除するんだよね。
働けない年寄りを養うのかよって言われるけど、その発言の発想がヤバい。
最前線にいる若者に比較すればITに弱いかもしれないが、半世紀以上生きてるだけで働けるよ。老眼と腰痛、体力はないがな。