2015/03/26

ネイティブ広告の用語定義でJIAAが踏み込んだ部分

「ネイティブ広告」の推奨規定、JIAAが新たに策定
http://japan.cnet.com/marketers/news/35061960/ 

書こうと思いつつ、このまま放置してたら何を書こうとしてたのか忘れそうなのでアップ。

このニュースは業界関係者でも一部の人しか興味が無い(注1)ものの一つで、それでもガイドラインを策定し発表に至ったことは素晴らしい限りである。

注1:ネイティブ広告の市場規模が小さいという事もあるが、意識が低いんだよね。

さて、ガイドラインはIABとの提携があってのJIAAだから、そう大きくずれたり相反していないはずだ。(そこは時間がある時に)
ポイントは、ネイティブ広告がどう定義されたのかというところで、とくに言葉には魂が宿るワケで用語定義ってスルーしがちだけど大切だと思う。
そんなわけでJIAAの資料(注2)を読むと・・・。


「タイアップ」の項目の下に「- タイアップ広告」「- スポンサードコンテンツ」が配置されており、一つの視点から説明をしている。
これは、タイアップ広告とスポンサードの違いが曖昧だった10年以上前からすると、「記事の制作主体」が明示されたぶん前進している。(その昔、スポンサードバナーっちゅう商品があったんだけど知らないよね。)
この後を読むと、それが明確になってくる。

特に最後「編集記事」の説明文がイカス。
広告主や広告代理店等から金銭等の授受が直接的にも、間接的にもなく、媒体社が自らの意思で企画、編集、制作された記事のことを指す。
これなら「タイアップ」も「スポンサード」も編集記事ではないという分類が出来る。
いや、まぁ、分かってない人向けに必要なのよ、こういう言い切った定義は・・・ね。
昔は「提灯記事」とか言ってたんだけど、広告掲載などの見返りとして媒体側が自主的に書かれたものはネット以前からあった。これが広告なのかというと、昔の人は違和感あるかもね。

さて、明確になった部分からガイドラインを読み返すと
バナー広告と同じレベルに「広告審査の範囲」「掲載の可否」はなっている。
だか、「留意する」「望ましい」などの語尾が気になる。

ネットでは編集記事と広告の違いを明確に判断する人を育ててない(注3)から、歴史を持つ媒体社から見ると当たり前のことを書いているようにみられるだろうが、ゲームアプリが媒体になる時代だからねぇ。

注3:役割があっても経験と知識が足りない。という意味ね。

とりま、ここまで。

2015/03/11

ネット広告業界に就職・・・したいのか?

採用活動解禁、広告界も「就活」スタート #アドタイ
http://www.advertimes.com/20150303/article184897/

政府要請により就職活動が後ろ倒しされて、今月から解禁となったが、就活しながら道を探していた学生には時間が無くなったな。
「どこに就職しても同じなんだから、グタグダ言わずに入れるところに入れ!」みたいな意見が背景にあるんじゃないかと思うくらい同情はする。
が、上場企業とか一流企業とかを狙って、たまたま大手の広告会社を受けようなんて人は注意した方が良い。いや、まぁ、広告とは言わず他の業種でも同じだけどね。

まず、華やかなイメージとか高給とか無いから。
ごく一握りのスタープレイヤー(本人の業績結果だでなく親が金持ちや著名も含む)だけだから、誰でもなれる訳じゃない。スーパーサラリーマンとか言われる人たちは、みな尋常じゃない努力をしたり、突き抜けた才能や能力を持っていたり、宝くじで一等を当てるくらいの強運を持っている。
とりあえずは、足元を見ようね。

採用には一切タッチしていないが、間違いなく優秀な人材を何処の企業も狙っているのは確かだ。問題は、何をもって優秀としているかなんだけど、それ、企業によって基準が違うからね。
恵まれた人は、インターン研修からの内定とか、コネからの内定が貰える。少なくは無いのが実態だ。(あくまでも私見、偏見)
残り枠を皆で争う事になる。
で、不思議なことに内定が出る人って、複数の企業から内定が出るんだよね~。
だから、企業側も少し多めに内定出すんだけど、これも波があって、どの程度多めに見積もるのかが業績、前年実績(採用数)で左右される。

業界別の勉強会とかで、必要とされる職種や必要となるスキルが出でくると思うけど、中途採用で補充できない職種を新卒で補充しようとするのは、社内育成システムが出来ている所でリソース(人、金)に余裕のある企業しかないからね。
ざっと周りを見渡すと、可能なのは数えられる程度だ。
ちなみに、ネット広告系だと統計、英語が出来ると有利だな。
統計(専用ソフトの習得が必要)ができると、「ビックデータ」「ログ解析」とかアナリストの需要が高い。
英語(バイリンガル状態)ができると、海外進出の要員としての需要が高い。
ただし、この業界はコミュニケーション能力が低いと評価はガクッと落ちるので要注意。
普通に日本語が話せればいいんだけど・・・。

ただ、流行で採用されると数年後が辛たん。
数年前はモバイルアプリの開発で理系の学生が高額大量採用されたけど、その後どうなっているのかOB、OG訪問で訊いてみようね。
うん、やはり、やりたいことが見つかっている人は強いよね・・・。

追記 2016.4.5.

結果として新卒を研修する側なんだが、理数系と英文科が新卒の多くの割合を占めている。なんと、院卒もいるぞ。例年に比べて偏差値の高い学校が多い。人数も倍いる。

2015/03/02

DMPの来たるべき未来

3rdパーティデータとしてのTV視聴データが流通する—業界人間ベム「2015年広告業界7つの予測」から by 横山隆治 @ryujiyokoyama #アドタイ http://www.advertimes.com/20150302/article183759/3/

ご存知、大御所の業界予測。
波乗りペンギンも知らないテレビ視聴率の現在が解説されていたため、じっくり読んでみた。

で、全数のテレビ視聴データが流通したり、マーケティング活用まで言及されているが、個人的には当分先の話だと思っている。
個人情報保護との兼ね合いがインターネットでも課題にされて久しいが、交通系カードのデータ利用も問題になったり、ガイドラインの策定や法整備など時間が必要なことがある。問題になるのは個人が特定できるか否かなのだが、事業者だって特定できない工夫をしているんだけど、それを認めるのは一般の方々(ココは突っ込まない様に)なので難しいのだ。

あと、一意性がない(あるという事は個人が特定されうる)ので、そこもデータとしてどうなのよという問題はある。

いずれ、購買した商品に応じて広告や販促が行われ、好みに応じたコンテンツが提供され、日々の行動が丸裸にされた気分になるだろう。
もう、インターネット広告ではなっているか・・・。

でもって、放送と通信は生活者ベースでは関係なくなっているのだが、テレビ局は「インターネットに許諾なく公開するのは違法です。」テロップ攻撃で防戦中。
まだ、媒体接触率で半分を占めるテレビとはいえ、危機感は強い。
調査によっては、若年層で追いつかれそうになっている。
ただ、減少する若年者層の人口、人口ボリュームはあるが高齢化した団塊世代、後十年以上すると違った世界になっているんだよなぁ。

【追記】2015.3.3.

“ネットフリックス脅威論”に7つの誤解(鈴木祐司) - Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/suzukiyuji/20150302-00043469/

こういう意見もあるので、参考まで。
直接は関係ないんだけど、そもそもプラットフォームは普及しなきゃプラットフォームにならないし。
 

2015/02/25

iabがネイティブ広告のAPI仕様公開

IAB、オープンなRTBプロトコルでネイティブ広告の自動取引を実現するAPI仕様を公開:MarkeZine(マーケジン)
http://markezine.jp/article/detail/21981

けっ、また英語だぜ。
このAPI仕様がアドプラットフォームで実装されると、アドネットワーク間でネイティブ広告が活性化する。
個別でコネクトすると手間掛かるからね。

だか、一方でビジネスでドライブが掛かると別なところにもドライブが掛かる。
例えば、広告を使った不正、不法広告の蔓延。
広告掲載はネットで完結するため、その存在がリアルで確認されることは難しい。
マルウェアや詐欺集団が、正規の広告主を騙る事も可能だし、架空の広告主で展開することも可能だ。
これは対応の手立てが難しい。
不正広告のアカウントを停止しても、新しいアカウント、別のネットワークからの侵入も可能で、イタチゴッコとなる。
不正なリンク先のデータベース構築や共有などの仕組みが必要で、しかも、世界各国に跨っているので一部の事業者が対策を取ったところで意味が無い。

それから、メディアやアドネットワークによっては、設定にあるカテゴリー内訳が統一されていないという問題もある。
カルチャーとか「どのサイトが該当し、該当しないかの線引きが不明」なのだ。
アドネットワークによってカテゴリーの振り分け方が異なるのだ。

あと、途中でコンテンツが変わるサイトがあったり、まぁ、奥深いんだよね。

2015/02/17

DMPに必要な「シナリオ設計」って誰やるの?

SIer主導の本格的プライベートDMPと「シナリオ設計」人材開発が始まる——業界人間ベム「2015年広告業界7つの予測」から by 横山隆治 @ryujiyokoyama #アドタイ
http://www.advertimes.com/20150216/article182476/

今回はDMPの導入の課題。
そう、シナリオ設計とかいう部分では、マーケティングオートメーションでも同じだが、クリエイターがいないのよね。
うーん、でもね、CDで数年前から似たようなことしてた人がいるよ。

どんな人かというとね、某大手広告会社のCRでトップにいた人。
あらゆるデータを漁り、分析し、納得するまで突き詰めるという・・・恐ろしい方。
まぁ、ネット全盛の今からすると昔話に区分されるケド。

要は、想像力のあるクリエイターが必要なわけね。
手に入るデータは結果であり客観的な数字でしかなくて、そこに血の通った人間や気持ちは無いわけ。
そこを埋め合わせるイメージを持てる人なんだけど、もともと稀有な人材だからね。

例えばWebアナリスティックで、どんな人が購買しているかデータがあったとしよう。
どんな経路から流入して、どのページを見て、どんな人が買ったか沢山のデータがある。
この中から、リアルにイメージできるユーザ像を描き出さなければならない。
32%が広告経由で、60%がスマホから・・・なので、スマホで広告打ってLPで刈り取るではダメなんだ。
ターゲットが見えてなければ、シナリオも書けない。
むろん、自動的な振り分けや登録メルマガの抽出からリスト作成してクーポンを送るという一連の作業が自動化されることを否定しているわけではない。
そこに顧客が見えているかどうかなのだ。

2015/02/13

古いけど、地域別スマホ利用動向

ヤフー調査「テレビを見ながらスマホを利用する64.2%」地域別のスマホ利用動向を8つの項目で分析 | Web担当者Forum
http://web-tan.forum.impressrd.jp/yahooads/2015/02/13/19314

はい、のっけからなんだが、このレポート見ても役に立たないじゃないかぁ~。
いえいえ、分かります。全部出すとモッタイナイし、いろいろ読み方が難しくなるので、ヤフーは厚意でサマライズしたんだろう。

いわゆるデモグラ分析なわけで、昨今のトレンドとは違ってコンサバ調査なのである。
ここから何らかの知見を得ようとすればローデータが無いとダメね。
調査設計書が無い気がするので、目的と設問、結果と集計方法、切り口がバラバラになったんだろう。

「利用傾向や意識を把握」することが目的という文言はあるんだが、母集団が人口分布に合せて設定されていながらも、回答にサンプルのライフステージが影響するものがあるため、「ながら見」が多いよね~という結論だけにフォーカスされてしまっている。
もったいないぞ。

たぶん、調査仮説で、地域別に見ると「ながら見」も偏りがあって地域特性が出るはず、というものがあったわけだろう。
で、地域っていうとエリア別(北海道、東北、関東とか)になっているわけだが、なんで県別にしなかったかというのがポイント。
たぶん、面倒だったんだろう。(いや、広告の販売と紐付いているはず)

じゃ、どうすりゃ良かったのさ・・・という話なんだが、収入と情報消費には一定の相関関係があり、環境と利用にも一定の相関関係がある、という仮説を持って切り分けるとよかったと思うのだよ。
つまり、エリア別に分けるのだったら、5大都市(東京、大阪、名古屋、福岡、仙台)と周辺地域との比較とか。
あと、ながら見もメディア接触(テレビ、パソコン)と行為(料理、家事、飲食とか)は分けるべきだろう。
~ながら、という言葉だけで括っては意味が無い。
それこそ、「用を足しながら」が何故ないという話になってしまう。

そこまでいうのは、携帯端末(モバイル)は特殊な情報機器だからだ。
一人一台(二台持ちも珍しくない)で、何かしながら使える端末なのである。
(ノートパソコンでも可能だが、すまんが特技に近いものなので省かせて貰う。昔、歩きながらやったことはあるが、当時は重くて数分しかできんかった・・・)

例えば、公共交通機関の発達した都市部と、廃線されてバイクや車で通勤する地方とは、使われ方が全く違う。(これこれ、車の運転をしながら、二輪に乗りながらは違法行為
子供がいるといなとでも違う。不審者情報や学校連絡網がモバイルメールになって久しい。
個々に追っていくと皆目わからなくなるが、だからってエリア別にしてしまっても混乱するだけである。

ちなみに、そういう調査は過去に見たことが無いし、今もないんだけどねぇ。

2015/02/10

マスとデジタルの垣根、マーケティングは変わったのか?

マスマーケティングの常識は通じない?デジタルがマーケティングを変えていく #アドタイ
http://www.advertimes.com/20150210/article181218/

ニューバランスの鈴木さんコラムをピックアップ。
前提をひっくり返してなんだけど、マスマーケティングは「マスメディアを使う広告のマーケティング」だし、デジタルマーケティングは「インターネットを使うマーケティング」だとすれば、比較対象にはならないし同じステージに上げて論じる物じゃないんよね。

まぁ、そんなことに目くじら立てているわけではない。
マーケティングは、「広告を主体としたマーケティング」で語られる(狭義または曲解)時と、「企業活動の根幹となるマーケティング」で語られる(広義または経営)時と、どうも、ゴッチャになっちゃうんだ。
何故か?
ごめん、それはリアル波乗りペンギンの新人研修用のコンテンツなので、非公開。でも、数百人に話したよ。

で、切り口は相変わらず素晴らしいので、このままリンク先のコラムを読まれることをお勧めする。

閑話休題。

従来のマスマーケティングのターゲット設定というのは、繰り返し改善して運用するモデルではなく、もっとも数が多いと思われる市場を的の中心に狙うという考えなので、実際はそのターゲットのデモグラフィックが正しくなくても機能していました。
痛烈な批判でもあり、たぶん事実。前後の文脈もあるので、引用抜粋部分だけで呑み込まないように。しかし、裏返せばメリットもあったのが「広告の無駄な半分」と言わせしめたのでもある。
デジタルマーケティングにおいてはむしろ、マスマーケティング時代のようにあらかじめ設定された仮説の正しさを「検証する」のではなく、その商品コンセプトやメッセージの潜在的な「可能性を発見する」ために使う方が適切のように思います。
素晴らしい・・・。そう、ターゲットを絞って追い駆けまわして焼き尽くす(焼野原をイメージするようで惨憺たる心持となる)ために、インターネットは使ってほしくないという個人的な願望も込みで感動する指摘だ。

ただ、この結論を表層のみ理解すると、マーケティングにおけるターゲットの設定が意味が無くなるというか、プロセスが違った方向で変わってしまう懸念が出る。
とりあえず商品やサービスを作って、ネットに投入して「マーケット」を発見できれば良し。発見できなければ開発中止・・・てな、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる方式?
あれ、ネットの商品開発事例みたいだよね。
結果的にヒットしても短命で、爆発的だけど、それで終わりというソシャゲみたいな感じかなぁ。