2007/08/05

小脳仮説とスーパークリエイター

広告業界ではヒットを量産しているクリエイターが、極一握り存在している。
このブログでも別の言い方で取り上げてきたが、アカウント・プランナーという職種だ。

彼らの秘儀を学ぼうとする試みもたくさんあるが、成功した例は聞いていない。

そんな中で、一つの記事に引っ掛かった。
直感思考を研究するというものだ。

あるものを学習したり、考えると、大脳に観念や概念、思考のモデルが形成される。これが小脳に内部モデルとしてコピーされ、別の問題に対しても、小脳がモデルを使って考え続けるようになる。ところが小脳の思考は本人には意識されないため、直感思考としてあらわれる──というのが小脳仮説の骨子だ。

これが本当であれば、説明が付くことが多い。
短期的なセミナーや著書を読んだだけでは、スーパークリエイターの思考は学べない。
恐らく、広告業務以外の思考体験がモデル化されている場合、演習や実務を通じて得られるのは直感思考というブラックボックスを通過した結果だけだろう。

転じて、企業文化とも言われる思考様式や行動を身に付けるのも同様ではないだろうか。
小脳研究の世界的権威である伊藤正男氏をググると、「生命誌」27号(JT生命誌研究館)の記事が読めるので引用すると

小脳の学習では、考えていた結果にならなかった時に、間違っていたという誤差信号を送るのです。練習を繰り返すたびに、誤差信号が入ると、間違えたときに働いている回路が抑えられ、うまくいった時の回路だけが残る。
とあるので、先輩にビシビシと間違いを直され、身体で覚えさせられた思考様式は職人的な世界だけでなく、通常の企業運営の中でも大事なのだろう。
しかし、ベンチャー企業においては創立精神の継承と最適化の間で、思考様式そのものを変化させていくために、何が間違いだったかという抑制をする存在が要になりそうだ。

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